2013年11月23日土曜日

Dungeons & Dragons Annual Convention 2013の話その2:『レピドスタッドの怪物裁判』1日目の話。

 前日宿泊である分直前の移動による疲労や寝不足を考えずに済むのは非常に有り難く、朝食後のんびりと準備を済ませて会場へ移動する。

 既にかなり日が過ぎていることもあり、シナリオの裏話的な部分を主に書いて行くことにする。
参加してくれたプレイヤーとキャラクターは以下の通り。
プレイヤー名前種族クラス
しゃおシュトレイバー人間ファイター(ポールアーム使い)
宿命特徴〔怪物を追う者〕を持ち、レピドスタッドのハーグスタッグ農場出身の足払いファイター。
AscAマイア強化人間(ARGオリジナル)モンク(無数の型の達人)/ニンジャ
宿命特徴〔奇形の逃亡者〕を持ち、出自どころか人間かどうかすら不明な(ダメ)強化クリーチャー(外見はサイロック@X-men)。打撃力はほぼ無いが鉄壁の防御力を誇る。
:elpis-kiraフレイ=マルフォード キツネオラクル/バード
宿命特徴〔法定弁護人〕を抱え、物語前半の主人公である”勝ち無し”の渾名を持ち、自身の正体を隠した弁護士。
MAYAラルアンドロイドメイガス(黒剣/ケンサイ)
宿命特徴〔不明確な出自〕を持つ機能不全を起こし記憶を失ったアンドロイド。パーティーのダメ前衛その2。
CANEジョン=ヘンリー=ホリデイ 人間クレリック
宿命特徴〔怪物を追う者〕を抱える、兄の復讐に燃えるラガシエル信徒で銃使いの巡回僧侶。
へんくまアリーシャ・ロロミール アアシマール(ペリ血統)ウィザード(力術/混合)
宿命特徴〔ロロミールの系譜〕に名を連ねるロロミール教授の養女。プレイヤー的にもパーティーのまとめ役というか苦労役というか。

 尚、以下はPathfinder Adventure Path #44『Trial of the Beast』前半に関するネタバレを含みます。また、シナリオは所処変更されています。


0.そもそもの経緯
 去年龍舞亭にてGMを担当したAdventure Path”Carrion Crown”中の1シナリオである『Trial of the Beast』が大変面白かったのだが、時間の都合で前半の山場である裁判パートを掲示板セッションで解決してしまったのが心残りだったのと、次回龍舞亭で行うAdventure Path”Jade Regent”がどちらかといえばキャラクターロールを重視した内容になっており、その辺りをきちんとやってみたかったというのもあった。

 基本的な部分はAdventure Pathなのだが、色々なネタを叩き込んだ結果ああいう感じのシナリオとなった。シナリオ自体の流れは”フランケンシュタインの怪物”+”逆転裁判”で、現場を巡り証拠を集め、敗訴必至の裁判に勝つことが前半の目的となっている。


1.ハーグスタッグ農場の子供殺し
開始直後の話し合いと情報収集の結果、まず最初に行く事に決まったのがハーグスタッグ農場の事件だったが、様々な意味で最も重要な場所かつ一番弄った場所でもあった。
殺人の発端であり、シュトレイパーの父の死の原因となった「子供の嘘が1人の男の人生を破壊した」は映画”偽りなき者”が元ネタだったが、ウースタラヴの寒村での閉鎖的な雰囲気には合っていた…もう1つの元ネタは鬼女板某スレだが。
元のシナリオでは只の少女だったエリサはヴァリシア人の母を持つウィザードの女性としたが、彼女の死こそが事件をややこしくする原因であり、また随分な奇人である為本人(のゴースト)に出会い真相を聞き出す迄プレイヤーは混乱していた様子だった(レイスにより耐久力を奪われ自身もレイスとなり人々を襲うぐらいなら迷わず自分に”とどめの一撃”を使用する、というのは肝が据わっているというより最早奇人の類だろう)。因みに逃亡中のエリサの場所が”囁きの道”に発覚したのは大学で借りた本「内海地域動物誌:人造」(しかもそのまま持って行く予定だった)のせい。

エリサと検事レイリ=エッジワース(エッジワースの名前や外見は海外版逆転裁判での御剣怜侍から)の関係については実は使用すると農場の裁判では勝利出来るが、弁護士の身分偽装で逮捕される場面でレイリが助けてくれずに最終的に敗北する一種のトラップとして用意していたが使われなかった。
エリサについてはシナリオの終了辺りでレイリが費用を出して蘇生させる予定だったが、裁判の最中に蘇生出来たのは一応頭にはあったがそれでも予想外で、シナリオにも大きく影響を及ぼした。
ファントム・スティードのワンドとバッグ・オヴ・ホールディングはセッション中にも言った通りエリサが”怪物”(”スマイリー”の命名主も彼女。命名のセンスは皆無)国外逃亡する為の準備だったが、勿論プレイヤーが使用する事で不可能だった全ての現場検証を成立させる為のアイテムでもあった。
流石に散々警告していたこともあり、何者かの儀式によってレイスと化したシュトレイパーの父とその犠牲者である子供達は(アリーシャによる《呪文越境化》ウェブで捕らえたこともあり)一匹も逃さずに倒す事に成功。因みにシナリオ上は子供達のレイスは逃しても影響は無い(心情的には別だろうが)。


2.モラストの10人殺し
ジョンの前日譚については映画パシフィック・リムの影響。ここは元シナリオからほぼ弄っておらず、強いて言えば本来道中で発生する”歪な親類達(所謂奇形のサーカス)”の一座とフェイズ・スパイダーとの遭遇をまとめた程度。団長カレブは個人的にも気に入っており、なかなかにおいしい部分を持って行く場面が多く動かしていて楽しかった(私がやると些かエキセントリックさが足りない気もするが)。彼から返礼としてゴーレムベイン・スカラベを貰った時の一行の「これを待っていた」&「やっぱり要るのか」という微妙で複雑な表情が印象的だった。

 ドワーフの旅行者の犠牲者は全くの無関係だったのだが、妙に引っかかっていた模様。放棄されていた外科医道具や墓掘りの道具を発見したことで捜査が大きく進展するが、こういう推理系シナリオでのブラッド・バイオグラフィのなんと便利なことか。


3.カルブ島の”聖域”の放火
此処はマイア絡みの場所だが、元々の設定として”非合法な人体実験を繰り返している”という設定があった為、実はそれほど設定を弄っていない。
マイアの名前は略称であるというネタはプレイヤーの出してきた設定を受けてのネタだったが、Magical and Alchemical Enhanced Artificial(魔術と錬金術による強化人造体)というのは我ながら良く思いついたもんだったが(本当はMAYIAにしたかったがYの単語が思いつかず)。キャラの元ネタ宜しく恐らくマイアの記憶も複数の存在の記憶が混在した、或いはフランケンシュタイン的(ある意味マイアもフランケンシュタインの怪物的な存在であることを考えると、最後の展開はなかなか興味深くあった)な元の存在の記憶から創り出された代物かも知れず(その割に東方色が強い辺りもどの辺から死体を引っ張ってきたかが透いて見えるが)。


4.ヴォークスタグとグリンの練金工房
このシナリオは事件現場を廻ることで”怪物”の無罪、そして真犯人の存在が浮かび上がるようになっているのだが、特注の医療鞄については今回もケンドラ嬢(このセッションではダラミド判事の娘だが…まあ、そういうことである)が半日で調べ上げてくれた。彼女の装具マニアという設定はこことラルの修理に関するネタ振り。

 グリインの待ち伏せを撃退した後は伏線ということで、チョーカー、チュール、エターキャップ、クローカーの死体の出荷記録を見せ、地下の遭遇を大きく弄りロロミール教授の死を再現した冒涜的な芸術(但し頭を押し潰していたのはドレッドワイト・ガーゴイル)を追加し、更にジョンの兄のアルケミカル・ゾンビ(反抗的な態度だった為に調整剤を与えられず知力を失っていた)も登場させる。

 もう1人いる真犯人をいかにしておびき出すかをダラミド判事に相談したところ真っ先に出た提案が「脅してゆさぶれ」だったのは彼女が若い頃にどんな事をしていたのかを端的に伝えている。


5.裁判1日目:モラスト村の10の殺人
裁判は4版の技能チャレンジ形式のような感じで、証拠を〈交渉〉を用いて示し、それが重要なものであれば高い点数が付いて最終的に10点を稼ぐ事が出来れば無罪の判決となるが、間に3回失敗(判事の「異議あり」による阻止は含まず)すると有罪が確定するという形式だったのだが、弁護士役のフレイが援護有りでのtake10でも〈交渉〉が証拠を示す事が出来る値に達していないということに気が付かずにtake10を選択し続けた為、いきなり初戦で敗退する危機に。
この辺りはもう少し直接伝えておくべきだったか。
事件の真相は、レピドスタッドで錬金術工房を経営するグリインとヴォーグスタグが、ある時モラスト村の死体が腐らないことを発見したことより始まる。そしてレピドスタッドの下水に住むマングラルマンの首領を殺してその部下達を工房の人足にし、更に首領の皮を被り伝説の”レピドスタッドの怪物”の名を悪用し、墓場を掘り起こし死体を売り始める。
しかし、程なく墓場の在庫が尽きた為に今度は生きた村人達を殺し死体として売り出すことにした。

危ういところだったものの必要な証拠品を提出し、何とか無罪を勝ち取る。


6.裁判2日目:ハーグスタッグ農場の子供殺し
 この事件の発端は随分と以前に遡る。離婚し、教師として息子であるシュトレイパーと共に暮らしていたルーカスは、ある時村長夫人フリッチトより誘惑(村長であるギャローは不在がちで、農場の退屈な生活に飽きていた彼女はこれを繰り返し行っていた)を受けるが、貞節を佳しとするルーカスはこれを断る。その結果フリッチトのプライドを傷付け、彼女を怒らせることとなった。結果彼女は自分の義娘カリンに「自分はルーカスに乱暴された」と偽の証言をさせ、「子供は嘘をつかない」という古い教えを盾にルーカスを追い詰め、遂には抗議に訪れた彼を籠絡した村人を使いリンチにより殺害(拘束し全身に蜂蜜をかけた上で養蜂箱の近くに置くというもの)し、死体を丘の頂上にある穴の中に破棄した。
 その後、カリファスの大学に留学していた村長の娘であるエリサは死霊術と神秘学に没頭しすぎた為に”囁ける道”の幹部の1人の正体を知ってしまい、結果逃亡し途中で途方に暮れていたレピドスタッドの怪物(”スマイリー”と命名)を連れて故郷へと戻ることに。しかし、”囁ける道”による執拗な追跡の結果、レピドスタッド大学で借りた本によって居場所が発覚してしまう。

彼女の逃亡先を突き止めた”囁ける道”の幹部オーレン=ヴラッドは丘の上の洞窟にあった亡骸をレイス”群れの主”として蘇らせ、村の子供達やエリサに襲い掛からせた。エリサはその時ヴァリシア迄スマイリーを連れて逃亡する為のマジックアイテムの作成をしており、防御呪文も満足に揃えていなかった。

結果としてエリサはスマイリーの目の前で自分の身体に刃を突き立て、一縷の望みを抱いて死体を村人の前に運んだレピドスタッドの怪物はエリサ殺し、またその他の子供達を殺した犯人として村人に追い回され、逃げ出すこととなった。一方、カリファスでのエリサの友人であったレイリは、彼女の突然の失踪と故郷での死に対してその真相と真犯人を突き止めるべく行動を開始した。

本来ならエリサにスピーク・ウィズ・デッドやブラッド・バイオグラフィ等を使用し(死霊術アレルギーのウースタラヴ市民の反感を買いながら)証拠を提示するという流れだったのだが、ラルが「金も脚(ファントム・スティードのワンド)も足りているならエリサを蘇生させましょう」の一言で疲労しないラルが死体をホールディングバッグに詰めて近くの大都市に運ぶこととなり、検討の結果ウースタラヴ国内では不可能だが、ラストウォールかベルグゼンならば可能と判断し、結果としてまさかの被害者自らが証言台に立つというある意味d20世界の裁判らしい解決方法となった(裁判開始刻限になっても到着せず、開始の銅鑼が鳴ると同時にテレポートで飛んでくるというのも良かったか)。勿論裁判は瑕疵無き勝利を得ることとなった。

エリサが生きており、その話を聞いたことでレイリはこの裁判での検事としての関与を取りやめ、また発覚したフリッチトの悪行を裁くべくその検事席に立つ事を約束したがそれはまた別の話となる。


7.裁判2日目夜:市民の暴動
本来ならば有罪確定となり処刑される様を見るのを楽しみにしていた市民達は、余所者達が裁判で勝ち抜く様を見て遂に”正しき裁判”を取り戻そうと暴動を起こす。しかし、裏には市民に化け、”レピドスタッドの怪物”を完全なる有罪にしようと目論むヴォーグスタグの扇動があった。
裁判所の前に集合した市民達と対峙し、今にも一触即発の雰囲気が漂う中、唐突に現れた赤いコートに白髪の男、”歪な親類達”の団長カレブが市民達を甘言で惑わし誘導し、更に残された暴徒達もフレイの説得で戦意を喪失して暴徒達は散り散りとなった(因みにこれは別に〈威圧〉でも問題無かった)。折角トループスルールが出たので試してみたかったところだが残念である。
しかし、この隙にヴォーグスタグは裁判所へと侵入、囚われていたグリインを開放し、更に携帯型の”怪物操作機”(外見としては正太郎君のアレ)を手に怪物を意のままに操ろうとしていたところでレイリに発見され、顔を切り裂かれ正体であるスキンスティーラーの顔が露呈し追い詰められるも密かに背後に忍び寄ったグリインにより急所攻撃を受け昏倒する。
易々と拘束を破壊し、一行に猛威を振るう怪物をシュトレイパーが食い止め、その間にヴォーグスタグの手にある怪物操作機を落として奪い取り、劣勢を見て逃げだそうとしたヴォーグスタグも怪物の間合いに足を踏み入れた為に捕まり、握りつぶされそうなところでマイアにより阻止された。

この後、前々より興味を持っていた装具マニアのケンドラと腕の立つウィザードでやはり変人のエリサによりラルが拉致され修理され記憶と機能を取り戻する。ラルの正体は世界最強のリッチであるタル=バフォンの復活に関する情報を集めて、”囁ける道”の計画を阻止させるべくイネヴァタブルが人間世界の調査用に作成した端末だった。

 時間の都合で1日目は此処で終了となったが、あと30分あれば次の裁判も片付いたのでやっておけば良かった。

0 件のコメント:

コメントを投稿