2014年6月22日日曜日

2014年06月の竜舞亭セッションの話。:Jade Regent#09-The Hungry Storm中編(2)

 前回諸事情あり竜舞亭では初のセッション休止となってしまい2ヶ月振りのセッションとなる今回だが、前回が微妙に良い処で終わってしまった為、そこからの再開となる。

 これは常々言っている事で私事の余談となるが、TRPGはルールにより程度の差はあれ、本当に効率の悪い遊びである。最大限に楽しむにはある種の才能(特にコミュニケーションと社会性/社交性に関する)と知識(ルールも勿論だが、それ以上に話題への下地として)が必要となり、参加する皆は多大な時間を要求される。だが、それも「楽しい遊び」であるからこそ忍耐が許容も出来るのであり、そうでなければ、苦痛の先に苦痛しか無いのであれば誰もやらないだろう。ましてや、相手を恫喝するような者と卓を同じくして仲良く、なんてことは到底望めない。
何かあったのか? については…察せよ。

 それはさておき、今回の参加者は以下の通り。2ヶ月振りということで様々あったが、それでも矢張り皆で楽しく遊べるというのは良いものである。

プレイヤー名前種族クラス
Pomtaケーン=タッカー=クララ人間ファイター(両手武器使い)/バーバリアン
攻撃こそ最大の防御と言わんばかりにACを下げアルドーリ流のナギナタ裁きで敵を葬る突撃兵。気が付くと斃れている被害担当その1。
Waiz南条飛勇鶴(ナンジョウ=ヒュウカク)人間/ウールフェン人(ARGオリジナル)インクィジター(魔女狩り師・伝道者)
ミンカイの初代皇帝の魂が宿ると言われる妖刀”翠閃”を振るうパーティーのまとめ役。何故か女難に縁がある被害担当その2。
Makkouシオン(紫苑)=カイジツドラコニックヒューマン(ARGオリジナル)モンク(気功師/無数の型の達人)/ファイター(武器の達人)
たまにその血統を忘れられるアメイコの妹。《鶴翼》と高レベルモンクの防御力で軽傷がせいぜい。
2xxPサチアアシマール(自称)クレリック(伝道師)
主な役割は爆撃担当なサーレンレイ信者の自称天使のクレリック。最近漸くパーティーの被害に対する回復力が釣り合ってきた
雅士ジョナサン=サイズモア人間ガンスリンガー
死地に飛び込んでは気概を充填して殺戮を楽しむ元少年兵のピストル使い…ドM?
ろうなむ幻術のセルバンデスノームモドキ(ARGオリジナル)ウィザード(幻術師)
幻術の神シヴァナーを信仰する謎多き幻術師。出目の悪さ故か何故か気が付くと大ダメージを受けている被害担当その3。
尚、以下はPathfinder Adventure Path #051『The Hungry Storm』中盤に関するネタバレを含みます。また、シナリオは随所変更されています。

0.”カティヤナ(Katiyana)”の物語
 彼女の父は”トーナック(Tornaq)”という名のシルフのウィザードで、空気のエレメンタル・プレーンから”世界の冠”を訪れ研究する学者でもあった。ある時、彼はアラバスタライン山脈で”無銘の石碑群(Nameless Spires)”と水晶から成る謎の装置群を発見し、またそこで南から来たという”クロイク(Croicu)”という名の美しい女性学者と出会い、親交を深めた。

装置の研究が進み”世界の冠”の秘密が明らかになり、トーナックがクロイクと充分に親しくなった頃、クロイクはその正体がサキュバスであることを明かしたが、その時には既にトーナックはあらゆる意味でクロイクの虜となっており、サキュバスの意のままに操られる奴隷となっていた。クロイクは失墜した元デーモンロード”シスフッド”の数少ない信奉者であり、また彼女とトーナックの間に生まれた娘であるハーフフィーンド・シルフ”カティヤナ”も自然とそうなり、死霊術と人の心を操る術に傾倒していった。

カティヤナはデーモンロードの復権という野望を果たすべく、父親より受け継いだ知識で”嵐の尖塔”を操り、世界の冠に玄武岩のモノリスを建て、”飢餓嵐”モロズコスを、死者達を冷気のアンデッド”ホアーフロスト・スピリット”として支配し、そして老人ツヌアックを母親譲りの技術で堕落させ、イクァリアットを、ひいては世界の冠全土をシスフッドに生贄に捧げるべく暗躍していた。

…つまるところ、この章での仇敵となるカティヤナはミンカイとも”五襲の暴風”とも全く無関係なのである。




1.”嵐の尖塔(The Storm Tower)”中層での戦闘後
 ツヌアックとの戦闘後、正気を取り戻したナクゥーンから今後の戦闘で役立ちそうなアイテムを譲り受け、更にこの階の探索をすることになる。奥にあった滑らかな(高品質の)扉、更にはアーケイン・ロックで厳重に施錠されたの扉の解錠に苦戦し、ジョナサンが銃で錠前破りを試みるも失敗した為に結局ノックで開ける事に。
 そこには、床を這い回る地のエレメンタル・プレーンの生物である水晶の外骨格を持つ蠍のようなクリスマルと、壁一面に何枚も張り付けられた羊皮紙ほどの大きさの水晶の板があり、板には灰色と黒の斑の他に階下や塔の外の様子が映し出されていた…要するに監視室である。水晶板の技術は一行が手出し出来ない程の超越したものだったが、クリスマルが反応しないのを見て水晶板を眺めていると、(星のカードが使われた為)画像が切り替わり、上の階の様子が映し出された。
そこには、恍惚の表情で塔の頂上よりも更に上にある巨大な雷球を見上げる翼の生えた刺青の施された青い色の肌を持つ女性が中空に浮かんでおり、その翼と長い髪は吹き荒れる風にも関わらずなびきもしていなかった。

 そして壁に埋め込まれたクリスタルより時折放たれる電撃が雷球へと吸い込まれると、外の風音が一団と高まる音が塔の外壁を通して聞こえてきた。
外から見ると無闇に高い塔だったが、次が最上階と知ったことで安心して一行は[電気]への耐性も含め強敵との戦闘準備に取りかかっていた。


2.カティヤナとの死闘
 そして、準備が終わった一行はツヌアックの時のように戦闘中に突然床が消えないようにと、パーティー内で唯一まともに〈魔法装置使用〉を使えるサチにより入念な設定(達成値35)がされた力場の床へ乗り上の階へ。風除けの青く輝く力場の壁によって保護されながら、多数の敵が待ち構える最上階へと辿り着いた。
因みに達成値が足りなかった場合、力場の壁が作動せず暴風に曝されるだけでなく力場の床がそのまま上空にある雷球に突っ込む(18d6[電気]ダメージと1d4ラウンドの朦朧化)という素敵な仕掛けもあったのだが。

上階には監視室で見ていた通り、多数のホアーフロスト・スピリットとババウ、そして全身から角が生えたデーモン、カラヴァカスが待ち構えており、更に上空には闖入者へ僅かに眉を顰め一行を睥睨するハーフフィーンド・シルフ”カティヤナ”の姿があった。
嵐の発生を支えていると思わしき壁のクリスタルをまず真っ先に破壊しようと巨大化したケーンが高台へと飛び移ろうとするが、其処に用意周到に仕掛けられていたグリフ・オヴ・ワーディングが発動し、ビストゥ・カースがケーンを縛ろうとするも、これは残念ながらセーヴされる。そして暴風により動けない為ヒュウカクに背負われたセルバンデスの爆撃がホアーフロスト・スピリット達を退け、敵と何より暴風の影響を遮ろうと巧みに力場の壁を操作するサチにより初手は優位に進んでいた。
しかし、敵の魂を隷属させ、自在に操ることを得意とするカラヴァカスがジョナサンに目を付けた。対してジョナサンはハロウ・カードを切りながら何とか霊魂奴隷化を防ぎ、力場の壁が消えると同時に射撃を雨と叩き込み、次いで巨大化したヒュウカクによる一撃を受けて真っ二つにされた。
ケーンが高台の上から粉砕撃(実はこの能力が使用されるのを初めて見た)でクリスタルを破壊すると、電撃の爆発が発生し僅かに傷を負うが、上空の雷球が僅かに萎み、またカティヤナも大きくダメージを受けたように見えた。此処を攻め処と判断したセルバンデスがクリスタルを破壊しようと呪文を放つ…ライトニング・アークを。クリスタルは電撃のエネルギーを即座にカティヤナに伝え、強大な力を与えてしまう事になる。嘲笑するカティアナであったが、雷撃を受けたクリスタルは過負荷による暴走状態に陥っており、近くに居たヒュウカクによって易々と破壊されてしまう(具体的には硬度を0として扱った)。
ババウはシオンの苦痛を怖れぬ攻撃で粉砕され、風力も弱まり流石に不利を見たカティヤナはコール・ライトニング・ストームを伴い襲い掛かり、紫苑お得意のアンカリング・シュリケンをフリーダム・オヴ・ムーヴメントの効果で無効化しあと1歩のところまでヒュウカクを追い詰めるが、ケーンによって3つ目のクリスタルが砕かれたことで呪いと嘆願の言葉を叫びながら絶命した(クリスタルが砕かれることでカティヤナは負のレベルを負っていた)。
カティヤナが絶命したことにより、残っていた全てのクリスタルも砕け散り、外の嵐も急激に収まっていった。地表へと戻るとキャラバンに残っていた者達が一行を待っており、暫くの間この英雄的な行動は彼らの間で語り草となり、後にアメイコが得意とする詩の1つとなった。
…しかし、一行はまだこの時は知らなかったのだ。カティヤナは既に儀式を通し”飢餓嵐”モロズコスと強すぎる繋がりを持つが故に死してその魂がどうなったかを。


3.”死者の円蓋(Deadman's Dome)”での防衛戦
 その後暫く穏やかな気候が続き、また当面の危機も去っただろうということで案内人であるウルフの提案により本来の交易路”アガンヘイの路”へと戻るべく、合流地点にある”死者の円蓋”を目指すことに。途中、ウィル・オ・ウィスプによって危うくクレヴァスへと落とされそうになったり、飢餓嵐の影響による悪路で足を取られたりはしたものの、概ね旅は順調に続いた。

 しかし、目的地に近付くにつれ地平の彼方にアンデッドの大群を目撃し、それらが明らかにキャラバンへと迫っていることを知るとウルフは一旦”死者の円蓋”にて体制を整え迎え撃とうと提案し、これが受け入れられる。危ういところでアンデッド達の追撃を振り切り”死者の円蓋”に到着、キャラバンに大きなダメージを受けながらも襲い来るホアーフロスト・スピリットの群れを撃退し、次の集団が来る迄の間に修理を行い何とか凌ぐ。
そして第2波が一行へと迫ろうとしていた時、かつてこの地にいた巨人の軍隊を塔を崩すことによりたった1人で己の命と引き替えに滅ぼしたミンカイの勇敢な戦士の霊が一行の前に姿を現す。サチによる説得と、一行の中にミンカイの姫君が居ると知った戦士は迫り来るアンデッド軍団を蹴散らすべく助力を申し出て、キャラバンの防衛への大きな力となった。
最後にやって来た本隊は胸部にシスフッドの印形が描かれた鎧を着たグレイヴ・ナイトが率いるアンデッドの軍隊だった…この辺はGMが定期的に陥る大規模戦闘がしたい病の影響である。
サチとセルバンデスが壁を盾にしながらアンデッド達を焼き払い、敵の数を大きく減らすものの騎乗しランスを構えたグレイヴ・ナイトの一撃でケーンが膝を付き、更に追い討ちと言わんばかりにフロスト・ケルンワイトに襲われて地に伏せることに(死んではいないが)。
ケーンの危機を見て取ったシオンがアンカリング・シュリケンでグレイヴ・ナイトの足を止めようとするが、まさにその時、聞き覚えのある女性の嘲笑を伴った突風が吹き、シュリケンを逸らしてしまう。斃れた敵を雑魚に任せ、次いでジョナサンへと襲い掛かろうとするグレイヴ・ナイトだったが、サチの創り出す”灰の壁”により視界を遮られ、その僅かな間に装弾を済ませたジョナサンの比類無きクリティカルが鎧を穿ち胸を貫き、大きな風穴を開けたグレイヴ・ナイトはその場に崩れ落ちた。
 その後、無名の戦士は一行に己の遺骨をミンカイのカサイの海に捲いて欲しいと頼み、その場所へと案内し一行は報酬として戦士を模ったテラコッタ・タリスマンを受け取った。


4.”最後の路(The Last Pass)”へ
 嘲笑を伴い南の空へと消えていった突風に薄気味悪いものを感じつつもキャラバンを進める一行だったが、その後は不思議と何事も起こらず、途中馬車の修理の為に立ち寄ったウル=アンゴーン(Ul-Angorn)の村で馬車の修理を済ませ、交易都市であるジャーギィン(Jaagiin)にてこれまでに得た財宝を処分し、”天界の壁(Wall of Heaven)”山脈へと続く山道”アルタン=ズード(Altan Zuud)”、通称”最後の路”へと踏み込む。
しかし、”天界の壁”の稜線が目前に迫ったまさにその時、不意に突風が一行を追い抜くように吹き付け、ミンカイへと通じる道を塞ぐ大雪崩を引き起こした。風は女性の嘲笑を伴い、一行は誇らしげな彼女、確かに倒した筈のカティヤナの声を聞いた。

「我が名はシスフッドの信徒カティヤナ、今や我が魂”飢餓嵐”モロズコスそのものとなりこの地を支配せん」

 というところで今回は終了となった。久し振りのセッションで色々(特にキャラバン関連が)忘れていることもあったが、それでも矢張り短時間とはいえ定期的に遊べるというのはキャンペーンにとって大きな利があるのは間違い無い。様々あり個人的に少々アレ/荒れ気味だったが、遊べれば概ね回復する辺り我ながら現金な性格だと思うが。

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