2014年6月30日月曜日

2014年06月の幻想TRPGコンベンション2daysの話:Tears at Bitter Manorその1

都合3回目の参加となる幻想TRPGの宿泊コンベンションだが、今回は少々高レベルだが非常に面白そうだったRPG superstar(Paizoが年に1回開催する公募形式の人材発掘企画)2013 Winner作品であるPathfinder Module:Tears at Bitter Manorを使用してのミニキャンペーン卓を企画。
直前色々あり若干、いやかなりアレでナニな状況ではあったが何とか持ちなおしての参加となった…我ながら相変わらず気力の生き物であることを実感する。

 今回参加してくれたプレイヤーは以下の4名、ともあれ開催出来た、そしてGMとしては非常に充実したセッションであった事に重ねて感謝を。
プレイヤー名前種族クラス
SHOKOルイーゼ=リリエンタールハーフエルフパラディン
プレロールドのグレートソード使いパラディン。〔裕福な家系〕特徴≒元お嬢様、高い【魅力】で所謂姫騎士。本人もノリノリの「くっ、殺せっ!」枠かと思われたが…
はやわかエイペックスハーフオークローグ(活劇戦士)
プレロールドの二刀流活劇剣士ローグ。プレイヤー氏が1日だけの参加だった為にそういう方向のロールプレイに。
だみーマローノームクレリック
プレロールドのデズナ信者援護型クレリック。名前の元ネタはMTGのアレ。
2xxPプッカサンサーランソーサラー(賢者血統)
元ラズミール信者で、転生種族サンサーランの過去生により多彩な(主にバード呪文を)操りパーティーを支える妖術師。あとGMに名前を覚えられない(プップカとかプーカァとか呼んでいた)。

 尚、以下はPathfinder Module:Tears at Bitter Manorに関するネタバレを含みます。また、シナリオは随所変更されています。


 0.事件の発端:アノバイスの遊技
 アノバイス(Anobaith)と呼ばれるエロダイモン(Erodaemon)は、最初の遠征軍の時代からタルドールの歴史の裏側で永きに渡り暗躍し、特にカソミール(Cassomir、タルドールに於ける海軍と造船の中心である都市)の周辺で数々の人々の間で友人や家族への不和を招き破滅へと導き、犠牲者の魂を奈落へと堕落させてきた。

ティールガン=フリン(Taergan Flinn)という名のハーフエルフのアルケミストが故郷であるヴァーデュランの森(Verduran Forest)の北にある曰く付きの大邸宅を購入した。かつては才能有る冒険者として名を馳せたフリンとその仲間達だったが、フリン以外はいずれも人間であった為に彼よりも早く老いて引退し、今では未だ若いフリンの提案によって年に1度集まり冒険へと旅立つだけに限られており、一団はその特徴的な持ち物から”黄金の時計(Golden Watch)”と呼ばれるようになった。
しかし、遅れてフリンも中年に差し掛かり、忍び寄る老いより逃れるべく若返りの研究に没頭し始めた頃、アノバイスは彼に接触し、仲間達の魂と引き替えに彼を若返らせるという約束を持ちかけた。最初はそれを有り得ない話だと一笑に付したフリンだったが、アノバイスの根強い籠絡により誘惑され堕落し若き頃の情熱を渇望するようになり、また”黄金の時計”で最も年長者だったウィザードのローマ=ビッセルがその天寿を全うし満足な表情で死を迎えた時、フリンの中で決定的な何かが破綻し、アノバイスの申し出を受け入れることとなった。

 現在、フリンは森にある別荘”苦痛の邸宅(Bitter Manor)”の地下で必至に若返りの研究を行う傍ら、アノバイスが新たな玩具として彼の友人達を捕らえ、拷問し、絶望の淵に追いやり殺すのを黙認していた。

 個人的には、この話のメインテーマは「老いとどのように付き合うか?」だと考えている。その辺りでの今回のパーティーの多彩な種族によるアプローチも興味深かったのだが、いかんせん時間が足りずその辺りはあまり掘り下げられなかったのと、本来は様々なクエストを解決しながら町の信頼を得る流れなのだが、その辺も時間の都合でかなり端折ってしまったのはGMとしても残念だった。

因みに何れも悪の来訪者であるデーモン、デヴィル、ダイモンの大きな違いは
・デヴィル:秩序にして悪、ヘルの住人で定命の存在の魂を堕落させ新たなデヴィルにする
・デーモン:混沌にして悪、アビスの住人で万物を破壊し滅ぼす
・ダイモン:中立にして悪、アバドンの住人で定命の存在の魂を貪る
といった感じである。


1.”黄金の時計”
 6レベル開始ということもあり、一行は既にパスファインダー協会に所属している手練れの冒険者なのだが、プレイヤーの中にPathfinder RPGを遊ぶのが初めてという方が居たので、毎度のあれこれをそもそもゴラリオンとはどういう世界でパスファインダー協会とはいかなる集団か? というのを交えつつ説明する。ただ、この辺りは長く複雑なので軽く流す程度の部分でもあるのだがGMとしてはプレイヤーの驚愕の表情を見るのが好きなので毎回時間を割くようにしている。
しかし、最近コンベンションにて卓が立つことが無かった為この流れも随分久し振りな気がするが。

 冒険を終えた一行がアブサロムに戻る為に港町カソミールへと到着したところから物語は始まる。
既に日も暮れかけていた為、急ぎ宿を探そうとしていたところで街中にも関わらず追い剥ぎに追われている老夫婦を発見、彼らに助けを乞われたことで戦闘となる。ウチの卓毎度恒例のチュートリアル戦闘だったが、大体終わった頃には各人キャラクターの動かし方の大凡は掴んでくれた様子だった。

ルイーゼの”悪を撃つ一撃”がトロルを真っ二つにすると生き残った追い剥ぎ達は降参し、後は官憲の手に委ねようという事になり一行は(プッカが街中でファイアー・ボールをぶっ放した件について追求される前に)そそくさとその場を後にした。その道中、老夫婦は一行の優れた腕前を褒め湛え、助けてくれた礼として宿を提供しようと提案してきた為、一行は彼らの泊まる『剣の切っ先(Sword Point)』亭へと向かい、歓迎を受けることとなった。

 老夫婦はそれぞれ夫が”烈火の”ヴェルス=クランデル(Verus ”Igneous” Crandel)、妻がブランダ=チュールズ(Branda Tulles)と名乗り、今では引退した冒険者であると自己紹介をした。彼らはカソミールに住む錬金術師のティールガン=フリンの提案により、今でも年に1度集まり冒険を行っているのだが、約束の時刻になっても姿を現さないフリンを心配して尋ねに行こうとしたところ、待ち構えていた追い剥ぎに襲われたと話し、代わりにフリンの行方ともう1人のメンバーでありホープズ・ホロウで療養を行っているダーン=フォシムスの見舞いに行ってくれないかと一行に持ちかける。特別用事も無く、あとはアブサロムに戻るだけだった一行は依頼を受け、この夜は老夫婦の奢りで宴会となった。

 ここで昼食となり、毎度恒例の近所のパスタ屋へと行き、昨今のカードゲーム界隈の状況を色々聞かせて貰う。世代交代やプレイヤー人口問題といった問題は特に隣の娯楽だからか似たようなものらしい。


2.フリンの別荘(Flinn's Townhouse)
 翌朝、老夫婦に羨望と期待が入り交じった表情で見送られて町の北東にあるフリンの別荘へと向かった一行だが、別荘には人の気配が無く、しかし何かがぶつかるような音が2階より聞こえて来た為に確認の為屋敷に入ることに。

ティールガン=フリンは随分な金持ちのようで、別荘のあちこちに仲間達と使用する為の娯楽施設等があったり、調度品の類も必ず5つあることからそれらを羨望の様子で見て回る一行だったが、2階のフリンの寝室で大量の血痕を発見、更に壁に掛かった鏡の裏側に隠し部屋を発見し乗り込むと部屋の隅に音の元凶である大きな箱を見つける。
ルイーゼが先頭に立ち注意深く箱をひっくり返すと中からカコダイモンが飛び出し、一行に襲い掛かる。透明化し、窓の外に飛び出し一行にコンフュージョンを仕掛けてきたりと鬱陶しいことこの上無い攻撃を仕掛けるカコダイモンだったが、所詮は雑魚なので速やかに切り捨てられる。ここでフリンは何かに巻き込まれたのだろうと判断した一行は手掛かりを探るべくトロフィー・ルームのガラスケースの中に展示された日記を読もうとしたが、すっかり罠の存在を失念していたエイペックスの膝に毒矢が突き刺さる(フラグ)。
更に、屋敷を出ようとしたところでジュジュ・ゾンビ化した召使いに襲われた。
この事でより一層疑念を深めた一行は、一旦状況を報告した後、もう1人の居るホープズ・ホロウへと向かうことに。

 本来のシナリオとしては、この事件を切っ掛けとしてカソミールの住人との交流を深めて信頼性を確立し、町の英雄と成って行く様子が描かれるのだが、今回は時間があまり無い事もありその辺りは残念ながら省略された。この辺りは後程いつもの方面にシナリオを投げるのでそちらで遊んで貰えるのではないかと。


3.ホープズ・ホロウ
 明けて次の日、ホープズ・ホロウへと向かったが、見るからに寂れた町並みと看板に書かれた「絶望の淵(Hope is Hollow)」の文字に顔を顰める一行。更に、”黄金の時計”のメンバーの1人であるダーン=フォシムスが治療を受ける聖母救護院(Mother's Care Home)の前には、預けた筈の父親が無残な姿で殺され、泣き伏せ一行に警告を告げる娘の姿があった。

建物内は明らかに手入れがされておらず、奥の何処からか異臭が漂い、また受付には反応の薄い職員が2人居るだけでどう考えてもここで必要な介護がされているとは思えない状況で、エイペックスとプッカが職員の正体がダーク・フォークの変異種であるダーク・スレイヤーであることを見抜いた為、戦闘となり最終的にはルイーゼに一刀両断され、もう一方も窓から突っ込まれたエイペックスのジャベリンによってダーク・スレイヤーは止めを刺された…さながら残虐行為手当。
そして、手分けして建物内を捜索しようという事になり、女性陣は食堂を、男性陣は奥の病棟を探索しに言ったのだが、腐敗した食料と薄い上に毒の入った粥が置かれ不潔極まりない台所には…当然アレが出る、しかもスウォーム。悲鳴と共に放たれるファイアー・ボールで速やかに殲滅させられたコックローチ・スウォームから涙目で女性陣が逃げ出した頃、奥を探索していたエイペックスが向こう側からくすくすと子供の笑い声がする扉を開けると、2人の少女が立っていた。
少女のドレスは血で染まっており、手には鋭利なナイフが握られていた。しかも少女だと思っていたそれの首が横一文字に裂け、牙のある口を露出したことでその正体がヴァルヌダイモンであること明らかにした後、嘲笑しながらその姿を消した。そして、背後から楽しげに「回診の時間だ」と告げながら出現した院長を名乗るルーコダイモンが肉食蠅のブレスを吹きかけ、エイペックスとマローが窮地に陥る。
仕方無く部屋へと飛び込み、何とか透明化したヴァルヌダイモンを叩き伏せたものの、エイペックスの尻に病気の矢が刺さり、腺ペストを発症してしまう。しかしあわや斃れるかといったところで偶然にもダーン=フォシムスの病室へと飛び込み、何とか体勢を立て直す。
だが、ここでルイーゼの援軍が間に合いパラディン必殺の悪を撃つ一撃がルーコダイモンへと突き立てられるが、流石に一撃では倒すに到らなかった。
反撃とばかりにルイーゼの(薄い)胸にルーコダイモンの指が触れハームが叩き込まれるものの、こちらも触りが浅かったからかルイーゼはセーヴで(振り直して)耐えて何とか持ちこたえた(どのみちハームではhpは1未満に出来ないので殺せないが)。
そして、プッカのヘイスト呪文により加速された連撃を受け、ルーコダイモンはばらばらに切り伏せられ消滅した。
 戦闘が終わり、一時的に正気を取り戻したダーン=フォシムスから自分をこのような姿にしたフリンの裏切り、食事に毒を盛られ、足を切り落とされ死の淵にあったこと、また己が持つ財宝の在処を聞き出し、”黄金の時計”(使用するとレッサー・エイジ・レジスタンスとヘイストを発動出来る)と意志を持つシミター”クラリティ”を入手し、また救護院の中庭に居た老人から、かつて裏切ってしまった恋人への後悔を聞かされ、指輪を預けられた。

ここで(プレイヤーの都合もあり)冒険者として危険と隣り合わせの生き方に限界を感じたエイペックスはこの救護院を立て直す為にパーティーを離脱し残ることとなった。

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