2020年11月2日月曜日

中部d20界隈2020年11月Pathfinder会の話:Pathfinder Society Scenario#4-26『ルーンの覚醒』-The Waking Rune

今年の3月以来となる個人卓だが、竜舞亭にて進行中のキャンペーン卓の知識経験共有を目的としてThe Waking Runeが選ばれた。本来であれば協会レギュレーションで遊ぶべきだがその辺りは個人的な嗜好と趣味でいつも通りのハウスルール多めとなっている。

『命の危険を賭した一年間の探索の後、パスファインダー協会のエージェント達は怠惰のルーンロードの避難地を発見した。だが邪悪なるカルト教団リサーラの暗躍により彼の復活の時が迫りつつある。このカルト教団が古代サーシロンより受け継がれた遺物を継承して圧政と闘争に土壇場で勝利することを阻止する為、この太古の邪悪を再び葬るべく十人委員会は協会でも最高のエージェントを送り込む決定を下した。

 果たして君達はクルーンのゴラリオンへの帰還を阻止することが出来るのか? それともパスファインダー協会はルーンロードがこの地域全土を支配する為の単なる礎と成り果ててしまうのか?』

今回の面子は以下の通り。通常キャンペーンではあまりお目に掛かれない少々頭の悪い構成を見られるのも単発の面白いところである。また、この状況下で開催出来たことには改めてこの場を借りて感謝したい。

プレイヤー名前種族クラス
ちーオットー・オットマン人間ファイター
タワーシールドを構えMobile Strongholdで文字通りの”動く城塞”と化す重装戦士。
トリグラフエヴァリア人間ファイター
ダブル・クロスボウから無限の影の矢を放つ穹兵。もしくは固定値の暴力。
Waizベレッタ・イェーガー人間スワッシュバックラー(銃刀遣い)/ガンスリンガー(一匹狼)
JK口調で喋るガン=カタ遣い。あとパンチラ。
Clareミーシア人間インヴェスティゲーター(カルト狩り)
リサーラ教団の”鞭の貴婦人”に友人を殺された復讐者。探偵なので気絶毒矢を使う。
makkouニナック人間クレリック(伝道師)
《不調和の声》で音波ダメージを追加する伝道師。パーティーで最もhpが高い。
2xxPアドニス人間アーケイニスト
アシディック・スプレーを得意とするクオンティウム大卒の秘術遣い。
尚、以下はPathfinder Society Scenario#4-26-The Waking Runeに関するネタバレを含みます。また、シナリオは随所変更されています。

現在竜舞亭にて進行中のAdventure Path:Return of the Runelordsはタイトルにもある通りEarthfallによって滅亡した古代サーシロン帝国の太守ルーンロード達が様々な手段を用いて現代ゴラリオンへの帰還を果たすという物語なのだが、その中で唯一怠惰のルーンロードであるクルーン(Krune)だけは出番が無い。何故ならば公式サイドストーリーであるパスファインダー協会シナリオYear of the Risen Rune(2013年のShattered Stars APの裏側で進行した物語)にて既に討伐されているからである。そこで折角なのでこの顛末を実際に体験して貰おうというのとタイミング的にも出来ればあちらがHollow Mountainに乗り込む前に開示しておきたい情報もあったというのが今回の開催理由である。


0.Year of the Risen Rune
1年前、ヘルドマーチ夫妻により運営されていたマグニマールのパスファインダー・ロッジはオークションでルーンカーヴド・キー(Runecurved Key)と呼ばれる古代サーシロンのアーティファクトを入手し、パスファインダー協会内でも注目を集めた。しかし同時にマイナーなカルト教団リサーラの注目をも集めることになった。謎多き邪悪なカルト教団の秘密を解き明かすうちに、彼らがヴァリシアの巨大地下組織であったこと、更にはその最終目的はリサーラの最後の大司教にして怠惰のルーンロードであるクルーンを復活させ邪悪なる太守を再び地上の支配者として君臨させることだった。教団の予言ではクルーンの復活は喪われた女神リサーラの注意を再びゴラリオンへと呼び戻すだろうと伝えられていた。

 シナリオとしては永きに渡るリサーラ教団との戦いの末に遂に彼らの本拠地へと乗り込み、幹部や復活したルーンロードと対峙するという壮大なストーリーだが、そこは初期の協会シナリオなので比較的短い時間で遊べるように出来ている。但し、本来の協会シナリオレギュレーションではかなり困難な探索行となるのは間違いない。


1.マグニマールのヘルドマーチ邸
 シン島の再隆起による都市内の混乱も未だ収まらない中、一行は早朝からヘルドマーチ邸に呼び出された。いつもシェイラ・ヘルドマーチとの会合に利用される書斎にはサーシロン帝国の様々な遺品が積まれたテーブルに座りサイドボードから朝食をつまむ彼女に加えて難しい顔のまま食事と会話を並行するアブサロムのヴェンチャー・キャプテンであるアンブルス・ヴァルシン(Ambrus Valsin)と部屋の防諜に集中する半ダースのパスファインダー・エージェント、更には装飾的な仮面と暗い色のローブを纏った人物、十人委員(Decemvirate)その人が立っていた。
まずアンブルス・ヴァルシンが口を開き、一行がこれから向かう任務はもはやマグニマール・ロッジの利益を超越しパスファインダー協会全体に関わるものであり必然的に十人委員会の管轄下に置かれるべきものであると断りを入れた上でリサーラ教団が怠惰のルーンロードであるクルーンの復活に間近迄迫っていること、そして一行はこれを阻止せねばならないと告げた。

 その後をシェイラが引き継ぎ、彼女達マグニマール・ロッジがこれまでに集めてきた魔法のトークンと合言葉が”クルーンの聖域(Krune's Sanctum)”と呼ばれる秘密の領域へと侵入する為の鍵となること、もしも首尾良くクルーンが復活する前にこれを阻止出来たのであれば上出来だが、そうでないならば覚醒直後の彼が全ての力を取り戻していないことを祈りこれを討伐せよと命令した。

 最後に十人委員が”巻物遣い(The Master of Scrolls、多分The Master of Spells,Aram Zeyだと思うが…)”の分析によればクルーンの使用するルーン魔法は強力な焦点具が必要となるものであり、首尾良くこれを破壊や停止出来ればクルーンの力を大きく削ぐことが出来る。またトークンは砕くことで使用するものの現在位置を記憶する能力があり、リサーラ信者達が聖域へと自由に出入り出来る以上、向こう側に何らかの脱出機構が準備されているだろうと推測した。

 そして準備を終えた一行はトークンを起動させ何処とも知れぬ”クルーンの聖域”へと転移した。



2.聖域への侵入
”クルーンの聖域”はEarthfallを避ける為に地下数千フィートに存在し、ダークランドやその他のあらゆる地下領域から独立した検知不可能な空間である。
聖域へと侵入を果たした一行だったが、肝心なことに気が付いていなかった…光源が足りないのである。ライトとアイウーン・トーチの薄明かりに浮かび上がったのは広大な部屋の出口を遮るジグラットで、全身にルーンを刻まれ苦悶と歓喜の入り交じった表情を浮かべる精緻な人間の石像が柱代わりに石材を支えていた。その頂点からは奇妙な水を舐めるような音が聞こえてきた。
アドニスのシー・インヴィジビリティにはそこに六枚羽根を持つラミアじみた姿、リサーラの使者”不死身の”クルシュ(Kurshu the Undying)が何かの肉を貪っている姿が見えた。更に天井付近の暗闇からは(クルシュの護衛兼餌として召喚されたエリニュスによる)火矢が次々と射掛けられた。アドニスのグリッター・ダストで姿を現したクルシュは反撃とばかりに増強されたファイアー・ボールを打ち返し、ミーシアの攻撃を撥ね除けてJK口調で悪態を吐くベレッタの全力攻撃には「言葉遣いに相応しく頭を悪くしてやろう」と知力吸収効果を持つ攻撃を叩き付けるがこれは命中せず。互いに間合いを取っての射撃持久戦となりつつあったがそうなるとリサーラ教団側に有利であることに気が付いたアドニスがアシディック・スプレーで再生を止め、次いでニナックのコミュナルエアウォークでやっとまともに剣が届くようになったオットーが肉薄し、エヴァリアのダブル・クロスボウから連射された影の矢がクルシュを捉えこれを絶命させた。クルシュは一行に「5種類のルーンに護られたクルーンは無敵であり、お前達は生きたまま皮を剥がれてリサーラの再臨の聖典の一部となるがいい」と呪いの、言わなければ攻略のヒントを与えることもなかった言葉を遺して消滅した。

 ジグラットを越えた先には石造りの扉が出口を塞いでおり、蝶番も鍵穴も存在しない代わりにスカイメタルのアビシウムで出来たプレートがありシェードロンと共にサーシロンの7つの王国を示すルーンと”汝が生命を捧げよ”と書かれていた為にエヴァリアがこれに触れて呪文レベル上昇化ヴァンピリック・タッチを受けて扉を開けた。

 ここで良い時間となったので昼食となったが、予約を入れていなかった為に結構な時間を待ち時間として費やす羽目に。最終的にはリニューアルされたいつもの店こと上海スパイスに入った(諸事情により家庭で鶏肉が日常的に食べられないので個人的には有り難かったが)。


3.覚醒したルーン
ここでGMからクルーンの覚醒まで(実時間で)90分と宣言される。
聖域の外周にはクルシュが言っていた通りアビシウムの金属板に刻まれた鎧、防御、敏捷、生命、操作の5種類のルーンが存在し、永きに渡る睡眠に備えてそれぞれに召喚された来訪者が魔力供給源として繋がれて(既に絶命して)いた。これらのルーンがクルーンに力を与えているのは明白であり、更にミーシアの執念の調査によりそれぞれのルーンの解除方法が判明した。いずれも解除は困難だったがハロウ・カードを利用したり両手でロッドを握って殴打武器にしたりして何とか敏捷を除いて無効化させることに成功した…解除に失敗すると反撃として呪いの烙印が押され、大層楽しい事になったのだがこれには誰も引っかからず。


4.鞭の貴婦人
そして意を決して扉を入るとそこは滑らかなガラス質の壁を持つ大きな部屋となっており、石の祭壇を隔てた先には緑がかった紫色の光を放つ石櫃が4本の太い鎖で吊されており、祭壇の中央に埋め込まれた巨大なエメラルドに向けて一心不乱に祈るローブを纏った女性の姿があった。一行が通路を抜けて近付こうとすると突如地面からグリフ・オヴ・ウォーディングによる雷柱が立ち上ったがアドニスが咄嗟のディメンジョンドアでこれを回避して戦闘開始となった。ショートソード二刀流の剣士”クルーンのチャンピオン”とダーク・ナーガを差し向けるリサーラの女祭”鞭の貴婦人”ヴァンディアナ(Vandiana The Lashmistress)にミーシアが「我が友を殺したのはお前か?」と詰め寄るが、「生け贄の名前なぞどうして覚えていよう?」と不可解な質問をされた表情で返す。直後、ミーシアの怒りが籠もった矢によるクリティカル・ヒットの一撃を受けてヴァンディアナは絶命した。


5.怠惰のルーンロード
しかし、外部から大量の生命エネルギーを供給された為に既に儀式は終了しており、血塗れの手で愛おしげに撫でるヴァンディアナの手の中でエメラルドは輝きを増し一際大きく輝くと光が消失し、奥の石櫃の上に全身にルーンを刻まれた禿頭の男、怠惰のルーンロードであるクルーンが姿を表した。

 クルーンはリサーラ神と協力することによって強大な力を入手し、100年程の休眠を経て現世へと復活する予定だった。しかしEarthfallによる影響はクルーンの予想を超えて深刻でリサーラ教団は壊滅し、一万年後に目を覚ますことになった。

 石櫃の上に座り込み、のんびりとした口調で今は何年かとクルーンが聞くと彼にとって聞き慣れない年号が返ってくる…「元号が変わってる!」というお約束の返答をして一行が敵であると認識するとすぐさま立ち上がり呪文を唱えた…《呪文威力最大化》タイムストップ。
クルーンがそれぞれの手に持つ武器のうち槍、Dragontooth Spearはあまり大した武器ではないが問題はRune-Carved Rodである。これは一度に3つの呪文修正特技を追加出来る上に1日に10チャージをレベル相応に振り分けて呪文修正特技に利用出来るグレーター・メタマジックロッドというキャスター垂涎の品である。

 そして2体のオシュルスと1体のギロウが呼び出され、ギロウの手には奇妙に変化する文字が刻まれたショート・ソードが握られていた。ミーシアはこれが大罪の七剣”怠惰の剣”シン-タリ(Shin-Tari the sword of Sloth)であることに気が付く。だが、切りつけた相手を強制的に転移させるという危険性を発揮出来ずにエヴァリアのダブル・クロスボウで意志セーヴ出目1を振った為影の矢に全身を打ち抜かれて消滅した…当然の話だが。
 ナーガやリサーラ信者達がアドニスのアシディック・スプレーやベレッタの拳で沈んでも我関せずと動きが無かったクルーンだったが、ベレッタに1万年間風呂に入っていなかったことをからかわれ、手駒のギロウが倒されると流石に脅威を覚えたのか目の前の敵を一掃すべく《呪文高速化》ウォール・オブ・ストーンと《呪文威力強化》クラウドキルを放つ。しかしこれはニナックがかけておいたライフ・バブルで防がれる。
石櫃を包む奇妙な霧にはスロウの効果があったがこちらはフリーダム・オヴ・ムーヴメントが効果を発揮し一行はようやくクルーンへと肉薄する。だが、エヴァリア以外へホリッド・ウィルティングが直撃、ミーシアとアドニスが塵になりかけるがハロウ・カードの破棄で踏み止まりニナックのヒールにより回復するも、今度はそのニナックがオシュルスの全力攻撃を受けて倒れる。その間に《呪文高速化》ソリッド・フォッグに射線を遮られていたエヴァリアが何とか抜け出すもクルーンは自身に刃向かう無礼者達を一掃すべくロッドによって《呪文威力強化》を追加した《呪文高速化》アシディック・スプレーを放とうと先回り一行をその効果直線上に捉える。
 だが、アドニスの秘技である呪文相殺によってクルーンの呪文は打ち消され当惑する中エヴァリアのダブル・クロスボウがクリティカル・ヒット、「これが一万年後の技か」と言い残してクルーンは紙に焼き印を押されたかのようにその全身に刻まれたルーンに喰らい尽くされて消滅した。

 こうしてパスファインダー・エージェント達の活躍によりルーンロード・クルーンのゴラリオンへの復活は阻止され、その後彼らはクルーンの武器とロッドを回収し崩壊を始めた聖域から鉢に山と積まれたトークンを使って無事帰還を果たしたのである。

 個人的な感想としてはギミックにより乗せられた強化を解除するタイプだった為に最弱と言われようとも流石に18レベルの召喚術ウィザードで11レベルのプレイヤー達を相手にするには役不足感が強い(最強の手駒エルダー・エーテル・エレメンタル召喚は流石に使うのが躊躇われた)…その所為か以降高レベルのシナリオは通常の協会キャラクターでは参加出来ない12レベル以上のシナリオとして扱われるようになったが。また、即行アクションの手数が足りず山のように準備された《呪文高速化》呪文を満足に使えなかったのは心残りである。広域破壊呪文と回復手段に乏しい今回のキャラクター達に限って言えば戦闘に勝つだけであれば毎ラウンド招来クリーチャーを配置して物量で押し切るだけで何とかなるが、しかしそれでは楽しさからは程遠く折角の機会であればこそ楽しく遊びたいものである。

 その後、程良い時間となったので撤収していつもの新栄きんぼしにて呑み会で様々大いに盛り上がり解散となった。少々高くつくが広くて静かな個室、個別の料理とこういう状況下だからこそ扱いやすい店である。個人的にはむしろ環境やサービスにこそ金を払うべきだと考えているというのもあるが。

0 件のコメント:

コメントを投稿