Return of the Runelords第3回。竜舞亭、というか私がGMをする場合は卓内の同意が得られたならという前提だが大体私家版ハロウ・カードルールとUnchainedの”攻撃の繰り返しを除外する”を改訂して利用している。ハロウ・カードについては主に頻繁に補充及び交換（大体2戦闘毎）を行うのと星のカードに引き直しとGMの翻訳して楽しかった部分についての無駄話が付いてくる。”攻撃の繰り返しを除外する”については僅差の命中を除外してヘイスト等追加攻撃では命中数を増加させる扱いにしている。どちらも主な目的は同じで判定や行動に掛かる時間を低減させるという意図があり、竜舞亭第一例会の場合は殊更だが基本的に限られた時間で開催される為に極力時間の浪費は避けねばならないし、コンベンション等で卓を開催する場合も途中でシナリオを打ち切るという選択肢は基本的に存在しない為、場面によっては展開を大幅に端折る必要性すら出てくる。
また、”攻撃の繰り返しを除外する”についてはもう1つ、永らく不遇の扱いにあった二刀流戦闘を使いやすく強力にするという意図もある。移動後に二刀流の連撃や連打で敵を切り伏せる様というのは敵であれ味方であれ見ていて爽快感がある。
今回の面子は以下の通り。前回から1レベル上昇しキャラクター達は4レベルとなった。
| プレイヤー | 名前 | 種族 | クラス |
|---|---|---|---|
| makkou | レーナ | 人間 | ミーディアム(遺物交信者) |
| 移動しては首を切り落とすか自分が倒れている二刀流カタナ使い。特徴は〔伝説の末裔〕。 | |||
| ちー | ミェンウェン | 人間 | アンチェインドモンク |
| 殺さない担当の二刀流殲滅力担当その2、特徴は〔霊との接触〕。 | |||
| Waiz | 鈴雨 | ﾌｪｯﾁﾘﾝｸﾞ | スカルド(Urban Skald) |
| バードの常として交渉担当となりつつある。特徴は〔失われた時間〕。 | |||
| トリグラフ | リヴィア | 人間 | オラクル(魂の導き役) |
| 武器が重く命中もままならないオラクル。特徴は〔サーシロンへの誘惑〕。 | |||
| Clare | ニャル | アーケイニスト(Aeromancer) | |
| カディーラ訛りのある標準語を喋る幻惑ハメ担当その1。特徴は〔オードラニの味方〕。 | |||
| 2xxP | テオドラ | 人間 | サイキック(Magaambyan telepath) |
| TS大自然系サイキックの幻惑ハメ担当その2。特徴は〔不慮のクローン〕。 | |||
1.オードラニの願い
チュールウッドから帰還した一行は報告の為にラレンザ・ソート港湾知事の家へと向かう。そこには知事だけではなくオードラニの姿もあり、茨唇族ゴブリン達や”路の守り手達”の事実上の壊滅の報を聞いた港湾知事は永年の懸念事項の思いがけぬ解消を喜び、一行をねぎらいオードラニと共に用意していた手料理に加えてとっておきのワインを振る舞ってくれた。
だが、町中での霊障の発生頻度が上がり、以前にも遭遇した怪物フレッシュドレッグが時折見かけられるようになり、更には市民達の間でもちょっとした意見の相違によるいざこざが多発しており何らかの魔術的な影響がロデリック・コーヴをより動乱や怪異が発生しやすい状況にしているのではないかという意見は2人とも同じで一行はこの調査も行うことになった。
…しかしどうでもいい話だが、ラレンザの外見はどこかの社長を思い出す。
2.”角持つ牙”の本拠地
しかしどちらの組織とも明確に敵対している訳ではない一行がまず評判を確かめる為に町中でそれぞれの組織について聞いてみると、不明な点も多いが歴史や宗教学者の集まりであり町中にあまり出歩かないものの金払いが良くて礼儀正しく穏健派な”光り輝ける教団”に対して、下層階級の労働者達で構成されている為に粗暴で何処にでも居てトラブルも多く、またリドルポートと内通していたかつての港湾知事ジェスの娘であるジャナが率いているという点でも”角持つ牙”は厄介者の集団に違いないと町の人々に考えられていた。だが、これ見よがしに存在を誇示する”孔雀の館(Peacock Manor)”と比べて、”角持つ牙”の本拠地と呼べるような場所は町中には存在せず、広場に面したクリークサイドの旅籠(Creekside Tavern and Inn)と呼ばれるいつでも冷たい飲み物を提供すると評判の酒場兼宿屋への出入りが目立つ程度だった。更に聞き込むとこの店にはごろつき達が一度入ると長時間出てこなかったり、入った者の姿が見当たらなくなるという噂があり、またごく希に市庁舎となっているコーヴ・ホールの裏手から”角持つ牙”のごろつきが出てくるところが目撃されていた。
一行は知事と”角持つ牙”の裏での癒着を疑ったが、（たまにあるが）あまりに突拍子もない理由でもなければ説明出来ないことに困惑し結局はラレンザすら気が付いていない何かがあると踏んでホールの裏手にある滅多に使われない倉庫を調べてみると、魔法で隠匿された階段があった。
3.地下水路
階段の先は自然の洞窟のようになっていたが、先へと進むと魔法によって破壊された通路へと出る。床のところどころには焼け焦げた痕跡が残っており、通路の中央にはランサーを持った長身の女性、憤怒のルーンロード・アラズニストの幽霊じみた姿があった。見える距離にも関わらず一行の方を向くことは無かったが、リヴィアが近くに転がっていた瓦礫を投げ入れると「お前の灰を新たなるサーシロンの礎にしよう！(Your ashes will form the foundation of my New Thassilon!”)」という言葉と共に雷光が放たれ、瓦礫を塵に変えた。ニャルはこれが秘術霊障である秘術の嵐の一種であることに気が付き、手頃な瓦礫を投げ入れエネルギーを浪費させ反応がなくなると一行は先へと進んだ。
霊障の先には申し訳程度のバリケードと反対側に立ち入り禁止の張り紙があり、それらを避けて進むと”ゲズレヴァン(Gezrevan)の店 営業時間：無休”と書かれた扉に辿り着く。扉を叩くと中からは些か人間らしさを欠いた女性の声で歓迎する返答があった。扉を開けて中へと踏み込むと、そこは薄汚れてはいるものの落ち着いた色合いの高級な調度品が揃った酒場になっており、その奥にあるバーカウンターでは1体のシンスポーンが酒瓶を整理していた。先程の声の主であるシンスポーンが向き直り一行の姿を認めると一瞬固まり、その隙を見た鈴雨が咄嗟の口から出任せで”角持つ牙”の仲間に見せかけ誤魔化そうとするが失敗し戦闘となる。
シンスポーン・ゲズレヴァンが声を張り上げ助けを呼びながら壁に掛かっていたランサーを手にすると、向かいの部屋で戦闘訓練を行っていた”角持つ牙”のごろつき(Gangster)達が姐さんのピンチに馳せ参じ一行を挟み撃ちにする。
先のオードラニとの約束もありごろつきと言えども迂闊に殺すべきではないという方針になっていたが、そこは無力化に長けたミェンが次々とごろつきを拳で黙らせ、ゲズレヴァンはレーナがランサーを掻い潜り深手を負わせリヴィアが止めを刺した。
しかし続いて大広間の奥にあるカーテンの奥から先程迄戦闘訓練の殴られ役をしていたギャンベゾン(Gambeson、鎧の下に着る布製ジャケット)を着たフレッシュドレッグ達が現れる。次いで大広間の向かいにある扉には訓練を終えて得体の知れない肉を仲良く貪っていたフレッシュドレッグ達が増援として現れ都合14体との大乱戦となる。しかしごろつき達の残りをテオドラがカラー・スプレーで鎮圧し、次々と迫るフレッシュドレッグ達はミェンとレーナの血の旋風が如き連撃で次々沈められ、最終的に大広間には一行の他に立つ者は無く、戦闘を制することとなった。この部屋はかつては舞踏場として利用されていたようで、カーテンの向こう側には衣装箪笥があり開ける度に豪奢な、しかし古めかしい衣装やその切れ端が出てきた。
意識を取り戻したジャナは、かつての母親の所業によりロデリック・コーヴで信頼を得ることが出来ず、結果雨露を凌ぐ場所として月額金貨15枚で借りたクリークサイドの旅籠の納屋で偶然入り口を見つけたこの地下水路(The underflume)と、そこで出会ったモザマーの協力を得て自身の兵団を創り上げ、最終的にリドルポートの圧政と搾取からこの町を救おうと考えていたことや、唯一自分達に優しかったのはシンスポーンであるモザマーやゲズレヴァンだけだったことを語った。
だが、モザマーには別の思惑があった。それはロデリック・コーヴの住人達を怒りのエネルギーで満たし、アラズニストの帝国の新たなる兵団として編成することであった。モザマーは純粋な怒りと崇高な使命に燃える若き指導者ジャナをいたく気に入り、彼女の意識の方向性をロデリック・コーヴの制圧と支配へと仕向けながら育てることを楽しんでおり、アラズニストによる新たなサーシロン帝国が復活した折には高く取り立てて貰えるよう進言する予定だった。
通路の最奥には螺旋状の緻密な碑文が赤く輝くポータルを形成しており、モザマーの手記によればこの地域全体がかつてヘルストーム・フルーム(Hellstorm Flume)と呼ばれるアラズニストの別荘兼シンーシャラスト(Xin-Shalast)攻略の為の軍事拠点であったことや、ポータルがヴァリシア湾にあるホロウ・マウンテン(Hollow Mountain)と繋がっていること、強力な魔法無しにこのポータルを破壊することは難しいが幸いにして現在ポータルは不安定な状態にあり、長い複雑な儀式を行って向こう側から数日をかけてフレッシュドレッグや下位のクリフォトのような少数の同盟者を呼び出せるに過ぎないことが分かった。
モザマーは最終的にこのポータルを修復し、完全に崩壊する前に”憤怒の炉”(Forge of wrath)へ十分なエネルギーを供給し西ヴァリシア全体を繋ぐ巨大ネットワークを再構築することが目的だったようであるが、修復する為の道具をホロウ･マウンテンに置き去りにしてしまい作業に取りかかれなかったようである。
自らの目的が阻止されたものの、モザマーによる支配から解き放たれたジャナは憑き物が落ちたかのように落ち着いており、一行に”光り輝ける教団”は巧妙な立ち回りで市民の感心と同情を獲得しているが、その実態はサーシロン帝国の宗教”孔雀の精霊”を信仰し、帝国の遺産を蒐集する危険な集団であり、また一度彼らの実態を暴こうと侵入した際に悪魔のような外見を持つコルステラの助言者を見たと教えてくれた。また、ジャナはロデリック・コーヴに潜伏しているリドルポートのスパイの名簿を見せ、自分では無理だったが一行であればラレンザに信用して貰えるだろうと言い彼女へと見せて欲しいと頼んだ。
4.”光り輝ける教団”の誘い
一行が地下水路から戻ると、休む間もなく待ち構える者が居た。孔雀の意匠を施した僧衣を纏った剃髪の女性は自身を”光り輝ける教団”の一員”孔雀の哲学者”であると名乗り、教祖コルステラ・ロスタラータが会って話をしたいと言っていると告げた。
ニャルとテオドラに行動や呪文の発動を阻害され壁際へと追い詰められたコルステラが遂に魔剣バラケットを構えるが、哲学者達の猛攻をくぐり抜けたミェンが武器落としで払い除け、ガントレットを着けていたレーナが拾い上げたがその様子に違和感を覚える。”大罪の七剣”は制作者であるルーンロードが同じ次元界に居なければ真の力を発揮することは出来ず、今のバラケットからはそのルーンロードの存在を感じ取ることが出来なかった。
カントゥリンが死亡しバラケットを手放したことでコルステラは傲慢の呪縛から解放され、正気を取り戻した。こうしてロデリック・コーヴを襲った危機は一行の手により無事解決されたのである。
三軒の家を繋ぎ合わせた二階建ての複雑な構造の殆どを使わなかったことに不満も出たが…セッション時間的な都合である。更に言えば本来のシナリオでは孔雀の館へと忍び込みバラケットを回収した後で地下水路へと向かいモザマーと対峙するという流れとなっていた。
そして、危険なアーティファクトの処理やロデリック・コーヴ地下に眠るポータルをどうするかという話になったが、オードラニの提案でマグニマールのシェードロン評議会(Sihedron Council)を訪ねてみてはどうかという話になり、また彼女自身が挫折から立ち直る為にも一行へと同行を願い出た。
時間となり今回は終了となったが、此処迄で第一章が終了となる。開始レベルの割には困難な遭遇がかなり見られるのでプレイヤー、マスター共にある程度の熟練は必要だとは思うがそれさえ揃っていれば実に楽しいAdventure Pathである。
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