2016年2月15日月曜日

2016年02月の竜舞亭第一例会の話。:Hell's Rebels #01

私事ながら、今週より怒濤のTRPG3週間となる。まずは今回より開始となるPathfinder Adventure Path - Hell's Rebelsだが、本来の開始回である前回はこちらの手違いで開催出来ず、今回は1人病欠という些か波乱の多い幕開けとなってしまった。
とはいえ、始めてしまえばあとは進めるだけという状況ではあるのでその辺りの心配は少ないのだが。

今回の面子は以下の通り。因みに初回は事故を避ける為に2レベル経験点0からの開始となっている。
プレイヤー名前種族クラス
えいちろむビスタゴライアス(ARGオリジナル)ブラッド・レイジャー(奈落血統)/ブロウラー(蛇牙撃ち)
権力に取り憑かれ、ホースチョッパーを振り回す巨人と見紛う体躯の持ち主。伝説のスターであるシェンセンを追い求めキンターゴへ。
ラインエダード人間メイガス(スキルニール)
多分ショーン・ビーン似の盾使いの魔法剣士。風刺作家を自称する。
Clareユイヒトモドキ(ARGオリジナル)ガンスリンガー(マスケットの達人)
破損したマスケット銃の代わりに弓で戦う人間っぽい何か。元アスモデウス信徒銃士隊の一員で教会への銃による復讐を誓う。
ちーイリウス=カーター人間オラクル(魂の導き役)
浮遊霊を従えたオラクル。元アスモデウス信者で政治批判を行った為に追放された。今回は休み。
2xxPカレン人間ウィザード(霊に囁くもの:天界)
ドードーを使い魔に連れた魔法使い。不定期に鳴り響く鐘の謎を追っている。
尚、以下はPathfinder Adventure Path #097『In Hell's Bright Shadow』序盤に関するネタバレを含みます。また、シナリオは随所変更されています。


0.Hell's Rebels Adventure Pathについてと冒険の背景
 記念すべき100号を挟むAdventure Pathとなった本作だが、実は紹介文の上では次に展開する悪漢PCシナリオHell's Vengenceの前座的な意味合いが強い。勿論Hell's Rebels自体は相変わらず最終的にはアヴィスタン大陸全土とまでは言わないものの内海地域を揺るがすような大事件に発展する内容ではあるし、Hell's Vengenceの粗筋を読むに最終的にはシェリアックスの勢力図が大きく変わる内容であると予想される為、必要となる話ではあるのだが…ともあれ、通して読んだ感想としてHell's Rebelsそのものは非常に愉快なキャンペーンであるのは間違い無い。
以降一応反転、流し読みなので確実性五割といったところだが。(Hell's Vengenceにて最終的には記念すべきPathfinder RPG最初のAdventure Pathの舞台となったウエストクラウンが善悪両軍の衝突する戦場となり陥落、反抗の拠点がキンターゴとシェリアックス北西部へと移る模様)

”白銀都市”キンターゴの市長ジリア=バイニウス(Jilia Bainilus)が行方不明となり3日後、後に”灰の一夜”と呼ばれる火災や殺人を伴う暴動が発生した。この時、多くの人々、特に数多くの有力な反政府組織の長が命を落とし、また1つの貴族の家系が炎の中に消えた。そしてその翌日、まるで計ったかのように中央よりバルツィレイ=スルーンなる男がキンターゴの新たな市長として就任した。新市長バルツィレイは毎日1つの新たな政令を公布し、1日目を除き罰金や禁固刑の伴うそれらは僅か7日にしてキンターゴの町からは以前のような活気が失われつつあった。

 そしてその週の終わりの早朝、市長に対する抗議デモを行うという噂が立ち、夜露も乾かぬうちからキンターゴの自由を愛する人々が市長邸前に集まりつつあった。


1.アリア・パークの抗議集会
キンターゴにとって市民の象徴であり、現在では圧制者たるバルツィレイ=スルーンに住居として接収されたオペラ・ハウスの前にあるアリア・パークには、多種多様だがしかし自由と平和を愛する人々が集まっており、声高く市長の行政に対する抗議を行う者、噂話をあれこれ話す者、人混みに紛れスリを働く者等々めいめい自由に行動していた。風刺作家のエダードは摺られた財布を程なくして犯人を発見して取り戻し、奇妙に浮世離れしたウィザードのカレンは人々の話す噂からクレンチジョーの酒場(Clenchjaw's tavern)の噂話を聞き、集会に有名なオペラ俳優シェンセン(Shensen、実は制作総括のJames Jacobsの持ちキャラ)が来ていると聞いて抗議集会に参加したビスタは目当ての人物こそ見つけられなかったが、奇妙な手袋をした男性を見かける。イリウスが演説で聴衆を虜にしている横でレッド・ジルなるギャング団の横暴を嘆く噂話を耳にしたユイは、仮面越しにオペラハウス3階の閉じたカーテンの隙間から覗く市長の禿頭を目聡く見つける。
やがて、抗議を長く無視出来ないと悟ったのか3階のバルコニーにバルツィレイ=スルーンその人が姿を現し、咳払いを1つすると市民達が静まるのを待ち、傲慢そのものの短い演説を行った。「キンターゴの田舎者達に帝都エゴリアンの洗練された流儀を教えてやる」という旨のそれを終えた市長は次いで全ての外国船籍にキンターゴへの乗り入れを禁止、そしてこれまでと違い違反者には罰則を与える旨の8つめの法律を宣言した。

群衆がその意味を理解し、更なる抗議の声を上げる中、エダードは抗議集会を故意に暴動へと発展させようと一部の者達が棍棒を手にしたのを見つけるも、時既に遅く仕組まれた暴動を訴える声は群衆の叫びの中に消えていった。その様子を冷笑を浮かべながら眺めていたバルツィレイ=スルーンだったが、群衆の1人が彼に向けて投げつけた馬糞に驚き、手にしていたワイングラスを落として服を汚してしまう。そして激昂したバルツィレイは彼の有力な秘書でありボディガードでもあるドッターリ・ガードの隊長ノックス(Nox)の名を叫び、市民達を逮捕かさもなくば殺害せよと命令しながら奥へと引き下がった。
一方、そのノックスは抗議集会が始まった時よりドッターリ・ガード(Dottari Guard)を率いてオペラハウスの玄関前に陣取っていたが、暴動が始まると真っ先に暴徒から投げナイフの挨拶を受ける…しかし、喉を貫いたナイフを易々と引き抜き、獰猛な笑みを浮かべながら脇に捨てるとバルコニーから響く主人の呼び声を受けてこちらも屋敷の中へと引き下がった。
暴動を意図的に引き起こしたのはスルーン家の支持者団体シェリアックス市民団(Chelish Citizens' Group)であり、彼らは棍棒を手にその場にいる政府に反抗的な市民に制裁を加えるべく未だ団結していない一行へと襲い掛かるが、とはいえ一般人より僅かに優れた程度の能力しか持たない彼らはさしたる障害にはならず、これを容易く蹴散らした一行だったが、ドッターリ・ガード達が剣を取り、更には屋敷の奥からヘル・ハウンドを引き連れて戻ったノックスが姿を現したことで状況の不利を察して退散し、後には哀れな群衆達が炎に灼かれ散り散りとなる様が繰り広げられていた。


2.レクサス=ヴィクトコーラ
ドッターリ達から逃れ、無用な争いを避けるべく都市の裏道を脇目も振らずに逃げる一行だったが、偶然にも裏通りで気を失った貴族に止めを刺そうとする暴徒の集団を発見する。その貴族は抗議集会の時にビスタが発見した男だった。1人だけ逃してしまったものの暴徒をビスタ、ユイ、エダードが手加減無用で素早く葬り貴族を助けると、彼は一行に礼を述べ、自分は先の”灰の一夜”で屋敷と財産の殆どを失ったヴィクトコーラ家の最後の1人レクサス=ヴィクトコーラ(Rexus Victocora)であり、先程の集会の参加者の中から協力者となりそうな者を捜しており、まさしくそれであると告げ一行へ協力を申し出た。

 申し出を受け入れた一行にレクサスは1枚の手紙を見せた。手紙の主である彼の母ポルチャ(Porcia)はシェリアックスの支配に対抗する秘密組織の1つである永年記録保管者神聖修道会(Sacred Order of Archivists)の幹部であり、いずれ来るであろうキンターゴの自由が失われる日を予見して準備を進めていた。彼女は先の大火で死んでしまったが、息子に手紙を残しており、その手紙にはかつてキンターゴをシェリアックスの支配より守った”白銀の大鴉”(Silver Ravens)なる集団について書かれ、その手掛かりの1つがスラム街にある貸し馬車屋の地下にあると。


3.蘇る”白銀の大鴉”の伝説
一行が赤屋根地区にある”幸運なる貸し馬屋”(Fair Fortune Livery…翻訳を間違い仕立て屋だと思っていた)へと踏み込むと、上層は凶暴な野良犬達の塒となっていたが、ビスタが突撃から暴風のようにホースチョッパーを振り回しあっという間に野良犬たちを葬り去った。野良犬のリーダーと思わしき大型犬の首には白金製の認識票(これがほんとのドッグ・タグというネタ)が掛かっており、一行は有り難くこれを頂戴して建物の地下へと向かった。
地下へと降りると、そこは獣医室兼屠殺場となっており、部屋のそこかしこには鼠のものと思わしき囓り跡や糞があり、部屋全体からは異臭が漂っていた。縄張りに入り込んだ侵入者である一行へと鼠達が襲い掛かるも、ダイア・ラット程度では一行の障害とはならず蹴散らされる…が、本当の主人であるグレムリン:グリンプルが部屋の外へと通じる扉の影からこの様子を伺っており、一行が油断したところにトーテムポールよろしく積み重なった状態で呪文を次々と一行へとぶつけ、グリースに覆われた床にエダードとイリウスが足を取られて転倒する。だが、何とか踏み止まったビスタが激怒からの一撃でグリンプルを両断し、立ち上がったエダードとカレンのマジック・ミサイルで敵を蹴散らすとグリンプル達は散り散りに逃げていった。
そうして地下室の奥へと進んだ一行は、かつて噴水だったと思わしきプールを発見する。吐き気を催すような腐敗した水たまりの周囲には門を開く為の地獄語のルーンが書かれており、しかし中には数匹のレムレーが蠢く程度だった。人の気配に反応して這い出ようとするレムレー達を片付けて奥へと進むと、漸くかつて”白銀の大鴉”達が残したと思わしき遺産の数々を発見した。3つの箱には魔法の武器や防具、連絡用に使用していた”白銀の大鴉”、フィギュリーン・オヴ・ワンダラス・パワー:ホワイト・シルバー・レイヴン、そして天界、エルフ、ストリクス語が入り交じった暗号文と思わしき書類の束がそれぞれ入っており、それらを手にした一行は別件で行動していたレクサスと合流すべく地上へと持ち帰った。


4.ロングロード・コーヒーハウス
地上に戻った一行を伴い大学街ヴィラグル(Villegre)へと向かったレクサスは、自身と母の知り合いでありこれからの活動の協力者たり得る者として北部の老舗コーヒーショップの店主ハーフリングのラリア=ロングロード(Laria Longroad)を紹介して、自分が暗号書類を解読する間に彼女の相談に乗って欲しいと持ちかけた。
ラリアはハーフリングの奴隷解放組織であるベルフラワー・ネットワークの幹部だったが、この組織もまた”灰の一夜”に多くの幹部を失い、現在では組織は活動しているとは言い難い状況にあった。そこで組織を立て直す為にもラリアはレクサスの勧誘に乗って”白銀の大鴉”への参加を決意し、彼女の店の地下にある秘密のトンネル、通称”雀蜂の巣”を抵抗組織の拠点として提供してくれることになった。しかし、そこで問題があり、彼女の仕事上のパートナーであった人間の密輸業者ナン=カムリヴォス(Nan Comerivos)が、彼の為に用意して倉庫に置いてある食事には手が付けられているものの、最近姿を見せず、また奇妙で非人間的な笑い声が聞こえてくるようになった。ラリアはナンの安否を確認することを交換条件として提示し、彼の安否さえ判明すれば良いと言いながらも出来れば彼が生きていることを願っていた。

 そして一行が地下へと足を踏み入れると、潮の香りに混じり不快な腐った肉のような臭いが桟橋のある水路から漂ってきていた。上半身のみの人間の男性の死体を発見したビスタがこれに近寄ろうとすると、水中に潜んでいた白いワニの突撃を受けてこれがクリティカル・ヒットを決めて昏倒させられかけるも生きるべき運命を掴み、何とか踏み止まる。更に逆側の通路に潜んでいたダイア・コルビーが強襲を仕掛けるが、回復したビスタによる足払いからの攻撃を受けて、更にユイの怒濤の連射によって白いワニ共々葬り去られた。
その奥の倉庫では4人の女テング達が札遊びに興じていたが、一行の接近を察知して抵抗すべく倉庫の入口で待ち伏せしていた。だが、一行が彼女達を悩ませていたダイア・コルビー”チャフ(Chough)”を始末してくれたことを知ると、長姉コルヴァ=フシ(Korva Fushi)が一行の前に姿を現し、イリウスの説得もありこれまでの自分達の顛末を語った。
彼女達はリドルポートで傭兵をしていたが、同族として預けられたチャフの動向には常に悩まされており、チャフが犯した殺人によってリドルポートからの逃亡を余儀なくされていた。ナンによって”商品”としてキンターゴへと運び込まれた5匹だったが、丁度”灰の一夜”が起こり表へ出ることが難しくなった。その時に表の状況を説明するナンを長い間閉じ込められて激昂したチャフが惨殺し、身勝手な振る舞いに決別を決め追放されたチャフだったが、白いワニを手懐けてコルヴァ達が出られぬよう牽制し長い膠着状態に陥り始めていた。
そういった事情もあり、また傭兵として働き口を捜していたテングのフシ四姉妹(コルヴァ/Korva,ジェイ/Jay,マギー/Maggie,トリープ/Treep)と一行の利害が合致し、彼女達も”白銀の大鴉”へと加わることになった。

 こうして一行は拠点と人員を確保し、スルーン家による圧政への抵抗組織”白銀の大鴉”としての活動開始への一歩を踏み出したのであった。

 始まる迄は色々あったが、ちょっとしたコメディ要素を混ぜたりと序盤の滑り出しとしてはなかなか悪くない感じである。この先、反乱軍の指揮ルールが入ってくるともう少し複雑になるのでその辺りが心配ではあるが。
あと、個人的な趣味もあるが最後は矢張り大きめの戦闘で終わらせたい…尤も、今回の場合だとフシ姉妹との敵対はメリットが無い上に酷薄な結末となるのでこれで良いのだが。

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