2016年2月22日月曜日

中部d20界隈2016年02月会の話:Pathfinder Society Scenario#6-20『天空への帰還』-Returned to Sky

例によって施設の空きがあったのと、どのみち毎年恒例で5月以降はコンベンションへの参加やプライベートな卓を遊ぶのもまず不可能だということで開催に踏み切る。とはいえ怒濤の3週連続GMとなるのは予想外だったが。
会場は今回も名古屋市芸術創造センターの狭い方の会議室…しかし、乗り慣れない電車の時間を見誤って開催が遅れてしまい申し訳無いことをした…都市の知名度に反して休日は時間4本しか無い上に単線という笑えない公共交通網が主な原因だが。

 面子は以下の通りで、今回は5名での開催。大体集まる面子は固定という感じになりつつあって、それはそれで有り難いのだが、折角なので普段あまり交流の無い相手とも遊びたいところではある。
プレイヤー名前種族クラス
waizヨグ=マーダゴブリンメイガス(Mindblade)
精神を武器の形にして戦うサイキック剣士…というかアレ。
Gataディシアス人間モンク(僧兵)
黒衣の剣士でアダマンティン製ノダチに賭ける修羅…だったがヨグを受けてソレ風に。
makkouシーザーヴァナラドルイド(自然の牙)
T・レックスの相棒に乗り技術武器のソニック・ライフルを撃つドルイド…ドルイド?
2xxPアレイナーナ人間クレリック(教典主義者/十字軍戦士)
信仰に身を捧げた教典主義者。何故か技術アイテムにも詳しい(プレイヤー的に)。
ちーライム人間ウィザード(力術師:混合)/VM:オラクル
variant multiclassでオラクルの啓示を扱う力術師。得意は冷気呪文。
尚、以下はPathfinder Society Scenario:Returned to Skyに関するネタバレを含みます。また、シナリオは随所変更されています。


0.導入:天空への帰還/Returned to Sky
『かつて散り散りになったと考えられていたニューメリアの遺品の一部が、再び彼の未開の超科学の地へと舞い戻ったことが発見され、もしパスファインダー協会がそれの秘密を解き明かすならば、その在処を突き止めなければならない。手掛かりはニューメリアの経済的中枢であるチェスド(Chesed)にあり、離散した一族だけがその先祖が封印した奇妙なアーティファクトの場所を知っている。
果たして、一行はニューメリアの荒野の旅を生き残り、騒然とした都市で勇敢にも抜け目ない技術同盟のエージェント達を出し抜くことが出来るか?』

 偶にはテクノロジー系のルールを使用したいということでこのシナリオを選んだものの、今回もシナリオ選びには些か苦労した。といっても前回とは逆で3つ程候補があり、どれも面白そうだったからである。因みに他に候補として考えていたのは死せるアラム=ゼイの顛末の一部である#7-09:The Blakros Connectionか古代オシーリオンの宝石の賢者の1人”紫水晶の賢者”の墓を漁る#7-11: Ancients' Anguish。前者はオカルト絡みであり、後者はあまり使われない追撃戦ルールがあったのが興味を惹いた。


1.河川諸王国タイモンのパスファインダー・ロッジ
もう1つの”天空の鍵”についての情報を得たという報告を受けたパスファインダー協会は、河川諸王国の都市タイモン(Tymon)へと赴き、ヴェンチャー・キャプテンのドワーフ、ホルガリン=スマイン(Venture-Captain Holgarin Smine)に情報の詳細を聞き、鍵を入手するようにという指令を一行へと与えた…因みに、もう1つの鍵の方は第6期の三部作”Scions of the Sky Key”での冒険の末に入手済み、協会は入手済みとなっている。

 タイモンのパスファインダー・ロッジは町で最も人気がある”スマインの鍛冶工房”の上にあった。焼けた石炭と蜜蝋の臭いが辺りに漂い、下の階から軽快に鳴り響く鎚音をBGM代わりにスマインは朝食の塊のパンとチーズを切り分けて振る舞いがてら、一行に今回の指令についての説明を行っていた。

目的の鍵はセレン河(Sellen river)が”霧と帳の湖(Lake of mists and veils)”へと注ぐ河口付近の巨大な自由都市チェズド(Chesed)に住むイングレット=ジョルというドワーフの女性が行方を知っており、情報を入手するにはドワーフの習慣に従い、少なくとも彼女の友人の友人なる必要があるとスマインは言った。スマインはドワーフについて「頭で金を数え、心で利益を計る」と述べ、ドワーフは強欲であると同時に情深く、友の為であれば協力を惜しまない種族であると一行に教えた。
また、チェズドという都市は名義上こそは自由都市だが、実際にはニューメリアの支配者である暴君”黒き大帝”ケヴォス=クル(Kevoth-Kul the Black Sovereign)の配下である技術同盟(the Technic League)が支配しており、彼らも既に貴重なアーティファクトの存在を認識しており、その為に動き出しているだろうことは想像に難くないと忠告した。
鍵を占術で捜索することに関して、「占術に頼るうちは立派なヴェンチャー・キャプテンにはなれない」と言い、そもそもニューメリアには同様の金属片が山程埋まっていることと、パスファインダーの本懐は土地のあらゆる物事を知る事にあり、その為には実地調査こそが最適解であると教えた。

 しかし、それはそれとして先に待ち受ける危機への知識を学ぶことも重要であると説き、床板の下に隠してあったニューメリアのダンジョン探索マニュアル”一筋の銀糸(A Thread of Silver)”を取り出し、くれぐれも技術同盟にこれが見つけられぬようにと忠告した上でその写しを一行に手渡した。

 そして一行はスマインが準備した船に乗り、西セレン河を遡上してニューメリアの荒野へと出発した。


2.チェズドへ
エグルシー河(Egelsee River)を経由しラックスロート(Lackthroat)にて陸路に切り替えた一行は、山道の途中でウルガソーアのクレリック”死滅の神官”に率いられた山賊の襲撃を受ける。奇形の姿へと変容したミュータント・オークをライムが霧氷&減速化ファイアー・ボール[冷気]によって制圧し、シーザーがソニック・ピストルで牽制しながら死滅の神官を追い詰めると、その間隙に突如ターリィ・デモダンドが出現してアレイナーナへと襲い掛かり、逆に窮地へと陥る。
しかし、フォース・フック・チャージを使ってワイヤーアクションさながらに移動するヨグがデモダンドへと強襲し呪文撃を含む全力攻撃を叩き込む。だが、デモダンドの身体に武器が貼り付き奪い取られてしまう…が、ヨグの武器はサイオニック製であり、即座に武器を再構築(SE:例の音)して奪い返した。
デモダンドにより隷属されていた神官はディシアスの一撃で倒され、デモダンドも最後にはライムによるマジック・ミサイルで射貫かれ消滅した。

ニューメリア最大の自由都市であるチェズドは、セレン河を挟み西側に並ぶ高級住宅街と高層建築のオフィス街、喧噪響く闘技場、その中に一際目立つアーバダーの大聖堂(チェズドの北にはアーバダーの使者”法を授ける者”Lawgiverが降臨した聖地”黒貂塚(Sable Barrow)”がある)が聳え、一方東側はといえば排水が十分でなく泥沼の上に日干し煉瓦と木で出来たあばら屋が並び悪臭漂うスラム街といった具合で、何処にも人やハーフリング、貴族に悪党、商店と露天商が溢れるさながら都市全体が商店であるような印象を受けた。

一行の目的地であるイングレット=ジョルの店”銀の内張”亭(the Silver Lining)は東のスラム街にあり、真っ先に尋ねてはみたものの、常連客と何より部外者として一行を警戒するイングレット本人によって軽くあしらわれ、宿を確保して只の客として振る舞うに留まった。

 宿の外に出ると、1人の若いドワーフがごろつき達に取り囲まれているのを発見する。アレイナーナがごろつき達を説得して助けに入り、若いドワーフに事情を聞くと名前をアンダル=ジョルと名乗る。”銀の内張”亭の主人イングレットの甥であると自己紹介をした彼は、ごろつき達が”銀の内張”亭の裏手で火を点けようとしていたのを見かけ止めさせようとしたが、結果返り討ちにあったと説明する。一行はその事を彼の叔母に告げて警戒するように、あとついでに一行が助けた事も言って欲しいと言い含め、時間で川底より浮かび上がるリーグフォールド橋(The Leaguefold Bridge)へと急いだ。

 ここで昼食となったが、事前に調べていた面白そうな店が日曜休みで使えず、結果いつものマ・メゾンの隣のほんのりで居酒屋ランチ。これはこれでなかなかだった。


3.イングレット=ジョルの友人達
 橋を渡った一行は、まずスマインより名前を聞いていた科学者区画(The Chymist's Ward)に棲まうノームのヴェル=バインダーゴロップ(Vel Bindergorrp)を尋ねる。店主は一行を客と思い手にした薬剤チンキの売り込みを始めるが、イングレット=ジョルの名を出すと態度を改め、逆に一行に幾つか質問し、イングレットの名を他で告げていないこと、そして一行がパスファインダー協会の者であることを確認すると、頼まれ事としてイングレットの痛風の薬を届けて欲しいと言い、何かを書き付けた蝋紙に包んだ薬剤を一行に預けた。「包み紙も必ず届けてくれ」と強調された為、一行が外で封を開けると紙には技術連盟がイングレットを監視していることと、チェズドでの長官の動向をヴェル達が監視しているという警告が書かれていた。
実はヴェルはメラウニのインクィジター(8Lv)で、更にイーグル・ナイトの秘密部隊”曙の鉤爪(Twilight Talons)”の一員であり、”自由の刃(Liberty Edge)”派閥の一員としてこの都市に流れ来る奴隷達を解放する為の手助けをしていた。

次に一行は”法を授ける者の大聖堂(The Cathedral of the Lawgiver)”へと向かい、同じくスマインから名前を聞いていたドワーフの大司教ブリサ=クリグヴァーサー(Brissa Klygvauther、17Lv)の姿を発見する。首から銀の鎖に繋がれた黄金の鍵を下げ、熱心にアーバダーの教えである商売を執り行う彼女は一行に素っ気なく挨拶を返すが、スマインとイングレット=ジョルの名前を出すと態度を改め、自身のオフィスへと一行を招き入れる。この地では(更に言えばドワーフにしては)珍しいコーヒーを振る舞い、一行に彼女に何があったのかを尋ねる。一方はアーバダーの大神官、もう一方はスラム街の宿屋の女主人とあらゆる意味で対称的であり、対立も多いブリサとイングレットだが、ブリサは決してそうは呼ばないもののかつては親友であり、また町の方針については互いに意見が一致している。更に言えばお互いに技術同盟を共通の敵として認識しており、結果技術同盟に対する妨害も臭わせるアレイナーナの〈交渉〉の手腕もあり、アーバダーの鍵の印形が押され蝋封されたイングレット宛ての紹介状を書き、一行へくれぐれも彼女の安全をと頼み預けた。

 途中、技術同盟のオフィスで竜じみた外見を持つソーサラーを連れてパトロールへと出る長官の姿を確認した一行は、急ぎ”銀の内張”亭へと戻った。


4.技術同盟の襲撃
 ”銀の内張”亭”へと戻った一行は、イングレットより声を掛けられ甥を助けて貰った礼を受ける。丁度良い機会ということでヴェルから貰った薬とブリサから貰った紹介状をイングレットへと渡し、無事に彼女の信頼を勝ち得ることに成功した。イングレットの鋭い口笛1つで常連客達が姿を消して暫くすると、彼女はエプロンの裏に隠してあった鍵で小さな箱を開けると、擦り切れた革表紙の手帳を一行に見せる。彼女曰くこれこそが彼女の祖父が遺した、それは祖父がまだ小さな子供であった頃に祖先であるトグリム皇子(Prince Toggrim)より聞かされた鍵の隠し場所が記された手記だった。

直後、宿の入り口の扉が切り裂かれ砂煙が舞い上がる。視界が晴れると、そこには奇妙な武器を手にした技術同盟の長官ネッドリック=イシュタヴァルティ(Neddrick Istavarti)とその手下、そして傭兵と拷問用のロボット:トーチャーの姿があった…キャラの面子と映画視聴後であった為、ネッドリックが妙にカイロ=レンじみた性格になっていた。

イングレットの名を叫びながら「秘密を喋るか、さもなくば死か」という取り引きを持ちかけるネッドリックだったが、誤算だったのは、この場に一行が居たことで、アレイナーナのテクノロジー殺しの呪文ディスチャージによってモノウィップを無力化され、こんなこともあろうかとウィップを引き抜くも迫った暗黒卿もといディシアスのノダチによる3連クリティカル・ヒットを受け即死、配下の奴隷達もティー・レックスによって一掃され、妖術師も飼い主であるシーザーのソニック・ピストルで額を撃ち抜かれて倒され、唯一ロボット:トーチャーのみ帰還コマンドによって逃亡した。

 イングレットは扉が破壊されたことに文句を言いながらも一行に感謝し、しかし技術同盟はまたすぐに新たな長官を派遣させることは間違い無く、一行にこの町を速やかに離脱することを勧め、自身も親友のブリサの元に匿って貰うと言って一行を送り出した。




5.トグリム皇子の隠し場所
目的の場所はチェズドから南西に3日程歩いた先にある”銀の渓谷(Silver Trough)”と呼ばれる谷の中にあり、一行が埋没物で銀色の斑点を描く渓谷を越えると、その中央に金属製の建造物の廃墟、墜落した宇宙船を発見する。付近に転がっている原子炉発電機から何とかして強奪したモノウィップに充電出来ないかと試みていたが結局断念して、割れた硝子の板が並ぶかつての中央管制室から地表部分で動いていたレーザー・タレットと反重力の罠を無力化し、中央を護衛していたロボット:ワーデンをディシアスが一刀両断して地下へと降りる。
階段を下りた地下には、修理ロボットと魔術師型ロボットのロボティック・アペレンティスが待ち構えていたが、ディシアスとヨグに一掃される。因みにロボットの大半は構造物で硬度持ちである為、エネルギーと遠隔武器のダメージを半減(どちらもならば1/4)するのだが、テクノロジー武器ならばということでそのまま適用している。

 そして、侵入者の脅威段階を引き上げた宇宙船AIファランクスは一行に宇宙船最強の守護者を差し向ける。
一行が奥へと進もうとすると、向かい側の扉が自動的に開いてラットフォークの死骸を改造したアンデッド”ラスト・ライゼン”が出現、更に宇宙船警備用ロボット:ミュルミドン、そして新たな身体を得たメカニカル・ドラゴン(データはクロックワーク・ドラゴンを使用)をファランクスが起動させ一行へと強襲を仕掛ける。
トグリム王子がこの渓谷に投げ入れた”天空の鍵”をファランクスが入手し、ごく僅かに残っていた鍵のエネルギーによって再起動を果たし、少しずつ機能を回復させながら今日に至ったのである。

 ラスト・ライゼン達はライムの霧氷化ファイアー・ボール[冷気]からのブラック・テンタクルズの触手で動くことも出来ずに制圧されたが、ミュルミドンとドラゴンは地形適応によって狭い宇宙船内を自在に飛び回って一行を翻弄する。
ミュルミドンが外付けの肩部レールガンを撃つも、これは角度が悪くてあまり効果はなく、ドラゴンの睡眠ブレスも事前に使用していたライフ・バブルで防がれる。しかし、それでも流石ドラゴンというべきかフォース・フック・チャージで飛びついてきたヨグを全力攻撃で叩き落とし、落下ダメージで気絶に追い込む。
だが、フォース・フィールドが停止したところにディシアスのクリティカル・ヒットが炸裂して叩き切られ、AIファランクスは機能を停止し、構成部品として取り込まれていた”天空の鍵”を吐き出して沈黙した。
ともあれ、一行はもう1つの”天空の鍵”をパスファインダー協会へと持ち帰り、かつて失われたドワーフの天空要塞(sky citadel)の1つであるジョムルダン(Jormurdun)への扉が開かれることとなった。

本来は協会シナリオである為、各派閥が様々な組織へ改革を呼びかけたり、交易ルートを構築したりとその辺りもなかなか楽しいのだが、今回は残念ながら割愛することとなった。

 セッション終了後には、毎度の如く呑みながらあれこれ話す。今回は場所も近く店としての評判が高い新栄のきんぼしを利用したが、適度に広い席間、個室として会話しやすさ、そして何より料理が美味く、非常に当たりの店だった。

 施設の予約が出来た為、次は5月の連休中を企画しているが、これが終わると恐らくDACが終わる迄は身動きが取れなくなるだろう。

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