2011年10月15日土曜日

DAC2011の話:8日前半『闇の徴、悪魔の魂』(Pathfinder-6Lv)

そして、既に揃った面子にお詫びを入れながらGM挨拶(PathfinderではDMではなくGM)を済ませ、一通りの挨拶とキャラ確認を済ませ、ツールの調節等をしつつセッション開始となる。今回は両日共に色々あり猛者向けという形にさせて貰った為、両日共に覚悟極まった人々に集まって貰えて、大変助かった。

1日目の面子は以下の通り(敬称略)。しかし今回は珍しく人間ばかりでしかもパラディン不在となった。この辺りのレベルは特技が特に貴重なので仕方が無いが。

プレイヤー名前種族クラス特徴
WildJiveアルフレッド・ジョーンズ人間ファイター(ファランクス兵)防御に入った時の鉄壁に定評がある塔の騎士。
Clearブライアン人間レンジャー(獣使い/潜入者/遊撃兵)/ファイターエイプ使いでアンチアセン系足払いレンジャー。フォーチャードとかprdjに載せたのは誰だ。(ヒント:自分)
りょう。チャオ・フェイエン人間モンク(ゼン・アーチャー)実はアサシンではないかと噂されるズドン僧にしてひとり武侠系。
DM-SKMドーラ人間クレリック(十字軍戦士)ババァ系クレリック、40秒で片付けな!(以外と難しくない)
へんくまバーグル・バーベルハーフエルフウィザード(召喚術)グリッターダストを使う度に苦悩する何処かで聞いた名前の召喚術師。
∀x∃yシヴァレル人間言霊ソーサラー(混血:銀竜&水の精霊)水竜様に仕える妖術師。吹き荒れる氷の嵐が敵に絡みつきよろめかせ、そしてマスターは血涙を流す。
データ等は以下の通り。


因みにGM紹介でも言ったが、今回のシナリオのモデルはDemon's SoulsとDark Souls、そして今度IIIの出る大悪魔とか鋼の錬金術師とかどこかのソウルジェムが曇ってむせる魔法少女アニメ(遭遇が選択されず、そちら関連の話をすっかり忘れていたが…因みにソウルジェム自体はPathfinder公式にちゃんと用意されている設定、ダイモーン参照)辺り。

全体的に設定の多くを語らなかったのは、断片的な会話や情報からストーリーを推察して貰うフロム脳的なストーリー推察を行って欲しかったからというのもあるが、一応こちらではその辺の裏も含めて書いておくこととする。


0.導入と過去
かつて、ワールドウーンズと呼ばれる前、この地が"北の丘陵(the Northmounds)"と呼ばれていた頃、メンデヴとニューメリアの国境付近に隣接する場所に、深い渓谷に囲まれた"星降る都(Fallingstar)"と呼ばれる城塞都市があった。この都はかつて空よりスターストーンが降りてきた時と同じくして、その欠片が落ちた場所で、その聖遺物「流星の欠片(或いはその付近で死した魂を捕らえ、所有者の糧としまた操る性質よりソウルストーンと呼ばれる)」を祭ることにより繁栄していた。また人間性の神エイローデンが蝗のデーモンロードであるデスカリを討伐した際には、その戦いに大いに協力したことでも知られていた(この情報の一部は残念ながら〈歴史〉達成値が低く渡せなかった)。しかし、エイローデンが崩御し、世界が闇と嵐に包まれると同時に数多のデーモンがこの都を襲い、また乱心した(正確には正体を偽り王に取り入ったサキュバス"堕落の声"により狂わされ、流星の欠片を濫用することで虚無へと堕ちた)王を止めるべく、ソウルストーンを管理する巫女でもあった時の王女が王国を護る三騎士(盾の騎士”グラナイ”、矢の騎士”シディアン”、剣の騎士”アルコーズ”)を率いたものの、ソウルストーンの一部を回収出来たが、三騎士は破れその高貴な魂は王の持つ大破片に囚われ、王女も多くの手勢を犠牲にすることにより何とか逃げ延びた。その後、王女は手にした小さな破片を先の戦闘で失った虚ろな眼窩に収め、王の持つ大破片の呼びかけ(手に入れた小さな破片の所持者を操り、支配する力)に対抗する為に神に願い、その身を呪いに委ねて”二重に呪われし者”となり、視覚と健康な歩みを失った(これにより王女は抵抗する時間を手に入れた事になる)。

王女はその後「守り女」とのみ名乗り、時折現れる死して石に魂を囚われ、王の軍勢に加えられそうな者達をすくい上げては自らの手勢として率い、王との戦いを繰り返していたものの、何れの時も勝利には至れずその存在も王の誘惑と支配に屈しかけ限界に達しようとしていた。
そして、物語は第三次十字軍に参加した兵士達(=プレイヤー達)が一度死に、石に呪いの印である”闇の徴”を付けられ、王の軍勢に加えられそうであったところを守り女に救われ、セッション冒頭となる。

因みに守り女の外見的にはフードを深く被った黒衣の火防女だった…しかし、悪ではないとは判明しており、嘘も言っていないと理解っているとはいえ、こんな胡散臭い外見の発言をよく信じてくれたものである(もっとも、でなければ話が進まないが)。

1.城塞へと至る渓谷
『神殿を抜けると、寒風の吹きすさぶ大きくせり出した崖を持つ渓谷に出る。渓谷には永らく放置され、所処崩れた長い石橋が掛かっており、その先には巨大な石のひさしを備えた大きな城門がある。そしてその途中の両脇には小さな砦があり、正面奥の城門には正八面体の紋章を中央に置いたレリーフがあるのが見える。
砦と橋の中央に並べられた箱や馬車の裏には鎧を着た人影が動いており、彼らも君達を認めるとクロスボウを構え始めるた。』 
曲についてはスピーカーもあったからかけようかと思ったが、会場的に音響関連の演出があまり上手く行かない為に断念した。
早速並べられた17x36の地図とクロスボウを構えた多数の兵士のフィギュアに戦慄するプレイヤー一同。また一応善であり(混沌にして善は秩序にして悪より始末に負えない場合が多いが)十字軍ということで敵の出方を伺おうとドーラが待機したものの、チャオが弓により戦端を開く事になったりする場面もあった。

しかし其処は同時にプレイヤー達も手慣れたもので、一旦戦闘となれば、バーグルとシヴァレルが範囲呪文で敵を制圧しながらアルフレッドの遮蔽にドーラが入りながらブライアンとエイプの相棒のジャックと共に先行し、そしてチャオが弓で目立つ遠方の敵を射落とすというセオリーが出来上がっていた。

しかし、寸前で止まったブライアンを追い越して踏み込んだアルフレッドが落とし穴(瓦礫による移動困難地形で進行を誘導しておいた)に落ち、その下に潜んでいた凶暴なウォーグ(バーバリアンクラス持ち)により手ひどい傷を負わされ、更に周囲の石像にカモフラージュしていたガーゴイルの殺し屋(ローグレベル持ち)が左右より出現し、キャラクター達の背後を取る。
しかしながら、味方にも戦慄を覚えさせたブライアンのフォーチャード(間合い、足払い、鋭利、1d10ダメージと三拍子揃った極悪武器、翻訳者出てこい)を受けて敵が次々と沈み、更には城門の裏側に潜ませておいた鎌持ちサイクロップスが皆を戦慄させるも、当然の如く最重要クリーチャーと認識されて出目20もクリティカルには至らず、盲目化させられてキルマークを上げるには至らなかった。

結構厳しい遭遇だった為、戦闘終了迄若干掛かったものの何とか敵を全滅させて昼食となる。
因みに最初から遭遇を厳しめにしているのにはちゃんとした意図があり、まず第一に作成したばかりで手に馴染んでいないキャラクターの感覚(特に平均~最大火力や制圧能力)を自分自身、そしてマスターが把握すること(敵が弱いとすぐ戦闘が終わってしまい、動かずに終わるキャラクターも出る、というか去年出た)。次に他のプレイヤーとの立ち回りを経験して学んで貰うこと。そして何より、先の方でプレイヤー側に「イケる」という感覚や卓の一体感を掴んで貰う事で、後々よほど酷い遭遇を出しても「何とかなる/出来る」という心折れない精神的な強さを得られることである。勿論、プレイヤー側がある程度の熟練者であり、それを見越して脅威度を上げているのもあるが。

昼食はいつもの展望レストランで、気分が無駄に高揚していた所為か問題発言が多かったが気にしないで貰えると幸いである。やはり普段あまりPathfinder関連の話を出来ない所為か、昼食中もかなり様々な話題を話す事が出来た。機会こそあれば他のAdventure Pathも遊んでみたいものだが、いかんせん暇も人も余裕も厳しい。
そして午後より再開となる。

2.ルート選択:封印された坑道
第1戦闘を終わった時点でルート選択となり、片方は城門から入り回廊を抜けるルートで、もう片方は城壁に開けられた超大型サイズの穴を瓦礫で塞いだ痕跡より入る坑道。テストプレイ時は通常の通路が選択されており、今回はどうなるかと思ったが最終的に坑道のショートカットが採用される。

『瓦礫をどけた先には、剥き出しの赤茶けた岩肌を晒す坑道らしき穴が奥へと続いている。路はなだらかに下っており、片隅には遙か昔に出来たと思われる白茶けた骨が転がっている。
そして君達が奥へと踏み込もうとすると、奥の上方より巨大な鎧が動くような音が響き、一瞬だけ雄象並の大きさを持つ鎧われた細い足が見え、視界から消えた。』

散々脅した所為か、全員かなり警戒していたが意を決して進み始めていきなり熱線に焼かれる猿。この辺りで慣れた面々とDemon's Soulsプレイ済み勢は何が出てくるのか気が付いた様子だが、「撤退して別のルートを行こう」と言い出さない覚悟完了済みっぷりが素敵だった。

そして現れたタカアシ鎧蜘蛛もといリトリーヴァー(脅威度11)にげんなりされたものの、そこは4ラウンド以内に仕留めないと石化光線により大惨事になることが理解っていた所為か、覚悟の決まった一行のこと、早々に霧氷化+よろめきで足を止められ、チャオのあまり当たらない弓とブライアンのフォーチャードで膾斬りにされてリトリーヴァーは地に落ちた。

因みにもう一方のルートで待っていたのは、入り口付近に崩れやすい壁面があり、その先には弓兵とファランクス兵、あとリップソー・グレイヴを持ったオーガ兵と力術師の待つ城塞外周で、一行が前に出たところで崩れやすい壁面をブラント・アローで崩して(これはドワーフの石工の勘かローグの罠発見で察知可能だった)背後から襲い、更に力術師が鉄格子をノックで開けてブロンズクラッド・ダイアボア(鎧猪)をぶつける予定だった。その次には奇妙に長く伸びた回廊があり、姿を消して待ち構えるサモナーが次々とレムレーを召喚して足止めを行いながら、身動きが取れなくなったところで噛み付きに超特化(Lv8なのに+16(2d8+17))したエイドロンが頭からバリバリと飲み込む予定だった。

3.城門内:守護者『盾の騎士』
『誰かが触れると、その巨大さにも関わらず音もなく城門が開く。そしてその先には小さな盾と短い槍を構えた兵達が遮られた壁の奥に並び、それを従えて聳えるような巨体と、小さな盾と戦斧を構えたドワーフの騎士が君達を睥睨している。ドワーフの騎士は君達の姿を認めると、久し振りの獲物に喜色を浮かべ人ならざる絶叫を上げて襲いかかってきた』  
ここより中ボス3連戦。かつての盾の騎士”グラナイ”の似姿であるデーモン、フィーンディッシュ・ジャイアント・ドワーフファイター(二刀流)という大変偏ったキャラがファランクス兵(といいつつ武装はベグドコルヴァンだったが)と共に襲いかかってくるという構成で、かつファランクス兵はジャヴェリンオヴライトニングを投げつける予定だったのだが、また例によりバーグルのウェブとシヴァレルの霧氷化バースト・フロストフィンガーズで動きを止められ、充分に威力を発揮出来ないまま倒される事になる。

ここは初期配置を思い切って動き次第ジャヴェリンをぶつけられる形にした方が良かったか。
『騎士が死した時、守り女はその消えた亡骸を見送るかのように空を見上げて口を開いた。
「彼は常に兵達に慕われ、戦でも常に先陣を切る戦士の見本のような男だったと言われています」』

そして、冒涜された盾の騎士の姿に悲しむ守り女と共に次の遭遇へ。

4.中庭:守護者『矢の騎士』
『長く続く城の回廊を抜けると、露出した土と饐えた水の匂いが鼻を突く空間に出る。かつては清浄な水を湛え手入れもされていたであろう中庭の庭園は、今では淀み濁った水と野放図に生い茂る木々や植物とで荒れ放題の様相を呈し、天井には生い茂った木々でドームが作られている。
君達が湿地に足を踏み入れると、奥より幹のように聳える2本の足の上に乗った、絡まる蔦と滴り落ちる粘液のかたまりが姿を現した。』

矢の騎士”シディアン”の似姿であるデーモン戦。まずゆっくり動くシャンブリング・マウンド(途中GMにすら忘れられた不憫枠)に注意を惹き付けさせ、そこからナバッスゥによるマス・ホールド・パースンで固めてから水中に潜んでいたラケドン・レンジャーによるとどめの一撃や引きずりでの水没による即死攻撃(アルフレッドが犠牲に)、またスリッパ・オブ・スパイダークライムで天井に張り付き〈隠密〉で隠れていたフィーンディッシュ・ハーフエルフ・レンジャーである矢の騎士によるベインアロー(計算したら命中が対人間+20(BAB+8/強化+1/能力+5/レンジャー+4/ベイン+2)とかになって酷い事に)でシヴァレルが犠牲になり、更にブライアンがエナベイションの直撃を受けて負のレベル-4を受けるも、3ラウンド掛かって相手を即死に追い込む一撃を放ったチャオの矢が矢の騎士を捕らえ、また反撃がナバッスゥに決まり戦闘の趨勢は此処に決した。

死者が多く、変則的だったこともありこの戦闘が一番苦戦していた。
『音を立ててデーモンの残骸が水面に落ちると、守り女が毅然とした声と厳しい表情で言う
「彼は、生前は人を楽しませるユーモアと戦いのアイデアに溢れた優れた戦術家だったそうですが…こんなのってない、あんまりです」』

5.謁見の間:『剣の騎士』

『回廊を抜けると、柱の立ち並ぶ広い部屋へと出る。中央には擦り切れた絨毯が敷かれ、その先には石の意匠を中央に戴いた大扉がある。更に、その前には白い、かつてこの城塞の王族のものであった装束に身を包み、大剣を片手に君達を射殺すような視線で睨み付ける白い長髪の男が立っている。』

死霊兵士のライトニング・シャドウ(名前と違い実体はあるブラスト・シャドウの電気ヴァリアント版)を従えた剣の騎士にして王子である”アルコーズ”(フィーンディッシュ・アドヴァンスド・ヒューマン・ファイター/ウィザード/エルドリッチナイト)戦。ヴロックを出した時に一同戦慄するが、剣の騎士のヘイストからヴロックの朦朧化絶叫、そしてシー・ドレイクの加速による近接からのとどめの一撃はセーヴに失敗したエイプを捕らえるに止まり、ヴロックは流石に真っ先に落とされ、剣の騎士はバーグルのクリエイト・ピットから復帰したところをチャオの矢で壁に磔にされて滅びることとなった。

『剣の騎士が死した時、彼女はただ一言だけ呟く。
「兄…いえ、彼はこの国の王子で、3人の騎士達の中でも、また兵達にとってもリーダーのような存在でした」』

この時点で既に一同満身創痍だったが、偉業達成ということで各人にヒーローポイントが配られ、何とか最終戦を戦える気力が沸いた感じだった。因みに大休憩を入れていた場合、守り女の身体が限界に達して以降随伴不可能にする予定だった。

6.玉座:流星の王&堕落の声&混沌の堕とし子

『玉座には二本のねじれた角を持つ兜を被り、漆黒の鎧を纏った男が座っており、その甲冑の胸の部分には正面に僅かに欠けた正8面体の輝く石が備わっている。そして、その背後には幾本もの触手がうごめき、涎を垂らす口が中空に浮かんでいる。
男が立ち上がり、兜の中の赤く燃える双眸を君達に向けてしゃべり出す。
「ようやく来たか、ソウルストーンに選ばれし者よ。さあ恐れるでない…これより汝らも我らが尖兵となり、永久に生き続けようではないか」
そして、王の傍らには豪奢なドレスに着飾った女がしなを作り、君達を蠱惑的な瞳で見ながら口を開く
「わたくし、新しい玩具が欲しいですわ。あんなプライドばかりで弱い3騎士なんかではなくて」
更に、彼女は君達の後ろにいる守り女の姿を認めると嘲笑を浮かべながら語りかけてくる。
「あら、無能な王女様じゃないの。あの三騎士だけじゃなくて、今度はその男達をたらしこんでみすみす死なせに来たのかしら?」
君達は背後より、今迄感じた事のない静かな憤怒の気配を覚えた』

王(ハーフフィーンド・アンティパラディン)と堕落の声(サキュバス)、そして2人の仔である堕とし子(データとしてはクリフォト・ナイオゴス・クレリック)、また部屋の四隅にある立像に偽装したファントム・ランサー(出目20で〈隠密〉を行える)との最終戦。実は今迄殺した人数で王が三騎士の影を一時的に召喚(魂は守り女が取り戻した為、本体を維持することは出来ない)するという能力を使用出来たのだが、残念ながら3回に止まる。因みに去年も出したが、アンティパラディンとサキュバスという組み合わせは見た目としても、実益的にも(不浄なる贈り物によるボーナスと、常時型ディテクト・グッドによる敵の選定)絵になる為多用する傾向がある。今回も早々に盲目化されて討たれたものの、王に不浄なる祝福を贈りながら耳打ちをする(反応した敵の情報を伝えた)という絵が出来たのは個人的に満足である。
因みに混沌の堕とし子も早々に潰され、使っていたシールド・アザーは役に立たずに終わった。
しかし、、ファントム・ランサーの槍に背を取られ、影の剣の騎士を呼び出してヘイストを受けた王の剣がアルフレッドを捕らえ、善を討つ一撃+コンダクティヴがクリティカルで回り真っ二つにされ、その魂も囚われる(実は時間があれば招来し敵として使う予定だった)。しかし、その直後に仇討ちとばかりにチャオの矢がその鎧に刺さり、ヒーローポイントも使ってのブライアンの怒濤の攻撃がついに王の鎧を切り裂き、滅び去ることとなった。

『ブライアンが王を切り伏せると、王は怨嗟の声を上げて君の肩を掴もうとするが、身体に触れる前に砂のように崩れ去り、王は驚愕の表情を浮かべる。
「おお、儂が…儂の身体が…消える…このような者達に…」
そして、全てが崩れ去ると後には正八面体の石だけが残された。
守り女は跪きそれを拾い上げると、両の掌で包むようにしてローブに隠された顔に近づける。すると顔の上半分を覆っていた布が解け、石の欠片が眼窩に収められているのが見える。眼窩より石が零れ落ち、手にした石と一体化すると、石の輝きが増したように見えた。
そして、石を胸に押しつけるようにして彼女は立ち上がると、君達に向き直り礼を言う。
「有り難うございます、これでようやく騎士達の魂と休息を取り戻す事が出来ました。」
そして、天井からぱらぱらと砂埃が降り出し、またその振動が大きくなっていく。
君達の身体に刻まれた徴が輝きだし、意識を失う。その直前に彼女の声が聞こえる。
「これから私も、この場所で長く静かに眠ります…どうぞ貴方達は貴方達本来の命を大切にして下さい」


そして君達が再び目覚めると、朽ちた寺院の中にいた。
しかし、君達を縛っていたあの呪印は最早その身体には無い。
先程迄炎を上げていたであろう焚き火も今は白い灰ばかりとなり、割れた天窓からは珍しく雲の切れ目より降り注ぐ朝日が廃墟の中を照らしている。
そして見上げた天井には石をその胸に抱き、祈るようにした女性の姿が描かれているのが見えた。不思議とその顔は安らかで、君達は確かに何かを成し遂げたという実感が沸いてくるのを感じた。
そして外に出ると、渓谷は地震でもあったかのように荒れ果て、城壁があったと思われる壁面は巨大な岩で塞がれていた。
これより後にこの地はあの巨石から「巨人の要石」と呼ばれる事となる。』


セッションは何とか時間内(割とギリギリだったが)に終了し、プレイヤー諸氏にも満足して貰えたようで何よりだった。勿論遭遇の厳しさは自覚しており、プレイヤーの力量に頼る部分が大いにあったが。

それでも、(動かし方が甘い部分は多々あったとはいえ)セッションは互いの信頼で成り立つプロレスのようなものであり、マスターとしても全力でやりたい事をやりたいようにやれて本当に楽しいセッションだった。こういう経験が出来るからこそマスターはやめられないのである。

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