2020年12月14日月曜日

2020年12月の竜舞亭第一例会の話:Return of the Runelords #06

TRPGを遊ぶ上でのモチベーションを何処に定めるかというのは極めて難しい話である…特に私のは世間一般のそれと若干離れており理解を示すのが難しいからというのもあるが。まず私は基本的にプレイヤーとして遊ぶことに殆ど意識を置いておらず、どちらかといえば必要性で遊ぶことになる…例えば初めて遊ぶシステムのプレイヤー側としての感触を掴む為であったり、人数が足りない卓を成立させる為であったり。そういう場合大抵は卓の進行をスムーズに行うことに重きを置いている為、キャラクターロールが希薄になりがちである。一方マスターとしての大目標は明白でPathfinder/Starfinder世界に対する見識を深め、それをプレイヤー達に広めること…もっと雑に言ってしまうと(此方は多くの共感が得られると思うが)「知識面で話が合い共通の話題が話せる場所と、ノリの面で感性が合い社会性を持てる知人友人が欲しい」といったところである…其処に掛けるコストが低く、見返りが多ければ尚良い。Pathfinder Adventure Pathは現状私にとってこれらの条件の多くを満たすものとなっている。

 それはさておき、「承認欲求を満たす」というのが多くのマスター達にとってマスター”も”受け持つ理由だろう。だから卓に参加して少なくともその時間が楽しめるものであったのならば彼のマスター氏に感想を告げ褒め湛えてあげて欲しい。「楽しかった/楽しんで貰えた」という喜びは労多くて実少ないマスターにとって代え難い資産たる次へと継続するためのモチベーションに繋がるのだから。

 また、今迄プレイヤーとしてしか参加していないのであれば一度ぐらいはマスターをやってみることをお勧めしたい。双方を経験することによって「マスターが求めるプレイヤーとしての行動」というものがどういうものなのか理解出来るようになり、結果それが自身の評価向上に繋がるだろう。

 今回の面子は以下の通り。キャラクター達は前回から更に1レベル上昇し7レベルとなったがダンジョン奥深くに居る為に買い物等は出来ない。

プレイヤー名前種族クラス
makkouレーナ人間ミーディアム(遺物交信者)
血風渦巻く二刀流カタナ使い。特徴は〔伝説の末裔〕。
ちーミェンウェン人間モンク(Un)/Brother of the Seal
特徴は〔霊との接触〕。都合により今回は欠席。
Waiz鈴雨フェッチリングスカルド(Urban Skald)
パーティーのサブ知識と交渉担当。特徴は〔失われた時間〕。
トリグラフリヴィア人間オラクル(魂の導き役)
唯一の信仰系にしてサーシロン狂い。特徴は〔サーシロンへの誘惑〕。
Clareニャルアーケイニスト(Aeromancer)
風の秘術使い。特徴は〔オードラニの味方〕。
2xxPテオドラ人間サイキック(Magaambyan telepath)
要所での呪文の使い方が光る。特徴は〔不慮のクローン〕。
尚、以下はPathfinder Adventure Path #134『It Came from Hollow Mountain』中盤に関するネタバレを含みます。また、シナリオは随所変更されています。



1.憤怒の鍛冶場
 前回一行が石炭の山から出現したコンバスティッドを撃退したところからの再開となる。残されていたヤマソス信者の死体はこのコンバスティッドによって殺され仲間から見捨てられたものらしく、武器や鎧は残されていたがポーションや消耗品の類は全て持ち去られていた。奥へと続く鉄柵の門をくぐった先には二手に分かれた通路が続いており、正面には巨大な鉄製の憤怒の表情で睨み付ける女性、アラズニストの顔があった。顔は顎の部分が開閉する構造になっており、左耳を動かせる構造になっていた。レーナが耳を動かすと鼻から酸性ガスが噴き出し離れていた鈴雨以外が巻き込まれ、脆弱性の呪いを持っていたリヴィアがセーヴに失敗して深手を受けた。口の中には雑多な中品質の宝石類が詰め込まれており、更に喉奥の隠し金庫から魔法の武器を作る為に使われる高品質な宝石を回収した。
 北方面へと向かう通路は途中で東へと折れ、行き止まりには坑道から鉱石を運び上げる為のエレベーターがあり、鈍い灰色をしたミスラル原石満載の籠が30フィート下方で止まったままになっていた。レーナが調べたところ動かすには危険と判断され、作動させず下に降りて上質のミスラル鉱石を回収した。

 戻った南の通路の先には修理途中で放棄された手押し車が数台放棄されていた。この部屋はかつては鍛冶場で使う道具類の整備室だったらしく、周囲にはランサーや武器の残骸も残されておりいずれも年月を経て同様に朽ち果てがらくたの山となっていた。これらには直前に誰かが調べた形跡があり、その足跡は西の通路へと伸びていた。
 一行が東側に延びる通路へと向かうと、かつては武器貯蔵庫だったと思わしき部屋には先程と同様に崩れた棚と武器らしき残骸が散らばるばかりだったが、うち1つの部屋は石の机と古びた道具が並んでおり、ディテクト・マジックの反応があった。他の部屋と同様に積み重なる残骸の中から今もって新品同様の花崗岩の球から柄が生えた奇妙なメイス(ボルダーヘッド・メイス)と血の滴るククリ(ブラッドレッティング・ククリ)を拾い上げた直後、アースフォールの直前に部屋で処刑された職人達の怨念が霊障”怒れる職人達(Anguished Artisans)”となって沸き上がり一行に襲いかかってきたがテオドラがハロウ・カードによる放出で退散させた。
 西の通路は北に折れ先へと続いていたが、途中で足跡が途切れており壁を調べると隠し扉を発見した。中にはかつてロデリック・コーヴ地下のポータルで見た部屋があり、その手前には水を湛えた浅いプールがあり、ポータルを支えている金属枠には時折放電の火花が走っていた。近くの壁には複雑な計算式と図形を組み合わせたような走り書きが残されており、これは何者かがつい最近に出現先座標を操作したものであることが判明した。先に不用意にポータルに触れた犠牲者達を見ていたこともあり、破壊しようという結論に到った一行は工作室にあったがらくたをプールに放り込んだ。するとポータルは激しく火花を撒き散らしながら明滅し、一行が急いで部屋から出た直後轟音を上げ、部屋そのものが消失したらしく再度扉を開けると別階層らしき壁が通路を塞いでいた。
 更に通路を先へと進むと、深緑色の大理石が敷き詰められた天井の低い部屋へと出た。部屋の北東の隅には襤褸切れと毛皮から出来た巣のようなものがあり、その周囲には特徴的な字、かつてモザマーの手記で見たそれと同じものがメモ書きとして壁一面に張られていた。それはモザマーの研究成果、先程消滅したポータルの操作法を解析した痕跡であり、安全な停止法もそこに残されていた。一行がそれらを解読していると、部屋の奥にあるヤマソス神を模した赤石の祭壇に備えられた香炉から緑色の煙が立ち上り、やがてがて牙を揃えた悪魔の如き口を持つ顔が浮かび上がった。ハーフフィーンド・エア・エレメンタルのそれは自身を神殿の守護者であるボァグ・ホク(Boag-Hok)であると名乗り、一行に対してモザマーによる生贄の捧げ物かと尋ねてきた…勿論一行はそれを否定したが。残忍で獰猛である一方知的で情報に飢えていたボァグ・ホクは一行にモザマーの最期について聞き、今や創造主であるルーンロードからも放棄されたこの場所で永遠に生きる自身の存在意味を求め続けていた彼について語り、また鈴雨から外の世界がどのように変貌したのかを知ると満足したのか再び香炉の中へと戻っていった。
 探索は行き詰まってしまったものの、以前ヴィラレーンより”憤怒の試練(The Gauntlet of Fury)”階層は”見捨てられし中階層”からも接続していると聞いたことを思い出し、再び戻り書庫の先にいたポルターガイスト達を蹴散らし先へと進むと書棚の並ぶ部屋に出る。部屋の中央にある机の上には”オーガス・プレム(Augus Premm)書記官”とサーシロン語で書かれた名札が置かれており、神経質そうな男の幽霊が床に散らばった巻物を持ち上げては棚に戻そうとしていたが、亡霊の手で掴めるものはなく永遠にそれを繰り返していた。一行が床に散らばった巻物を棚に戻すとその成果に満足した霊障は消えて行った。棚にある書物はこれまで”憤怒の試練”に挑戦した何千人もの記録で、その多くは試練半ばにして死亡しておりそれとは別に特にアラズニストの印象に残った者の名前には印が付けられていた。


2.憤怒の試練場
 部屋の奥の隠し扉から通じていた螺旋階段の終点には石積みのアーチがあり、そこには「超越せし者、志持ちし者、運命持ちし者ならば、憤怒の祝福を得るための試練に耐えることができるだろう。(Those who pass beyond, aspirant or doomed, may endure the Gauntlet to earn Wrath’s blessing)」とあった。階段を降りた更に先に長く続くアーチ型天井の回廊の床は奇妙なモザイクタイルで彩られ、左右のアルコーブにはローブを纏い武器を手にした白い大理石の石像が3体ずつ並び、正面にある扉には憤怒のサーシロン・ルーンが描かれていた。
 召喚魔術のオーラを放つ石像の罠を解除して扉を開けると、緑色の水で満たされたプールのある大きな部屋へと出た。部屋の中央には口に宝石を銜えた異形の石像、クリフォトロード・ゴルツ(Gholz)により変異させられた犠牲者のそれがあり、ニャルはそれがストーン・トゥ・フレッシュによるものであると気付いた。入り口の隣には内側に倒れ込んだ大扉があり、北東の隅には目の無いヤマソス神を模った黒い鉄扉があった。プールの中央に渡された細い橋をレーナが〈軽業〉で軽々と渡り石像の宝石を外すと、衝動的に脳裏に北東の扉に宝石を填め込む欲求が浮かび上がったがこれに耐え、しかし他にこれという手段も思いつかなかった為に結局扉に宝石を嵌め込んだ。
すると中央の石像が生身のケイオスビーストへと戻り一行に襲いかかってきた。レーナがこれを迎え討ったが皮一枚を残して仕留め損ね反撃を受けるが幸いセーヴには成功、次の行動を許すことなくミェンウェンの連打でケイオス・ビーストは倒された。このビーストは元はダルズヴィックス(Darzuvix)という名のアラズニストの徒弟だったが、シン-シャラストの間者を逃がした罰でこのような姿にされてしまった。鉄扉に宝石を填め込んだが何も反応は起こらず、一行は破壊された扉の方へと向かった。

 扉の先は巨大な回廊となっており、南側には高い台座の上に立ち並ぶ4つの鉄の彫像があったががいずれも頭部を破壊され失っていた。それぞれの像の身体は何者かの返り血で汚れておりここで戦闘があったことは想像に難くなかった。回廊の端の鉄格子の扉をくぐり抜けるとその先には白い大理石で覆われた円形の部屋があった。中央の石の台座に触れると白いローブを着たアズラント人、武術試験官ロー・キャス(Lo-Kath)の幻影が現れ試験開始を告げ、バルコニーと下の闘技場を仕切る鉄格子が下がり階段がせり上がってきた。
階段を下り闘技場へと立つと、三方から突如出現したスキンスティッチが一行に襲いかかってきた。レーナが易々と藁人形を切り裂くが、中からコックローチ・スウォームが這い出して更に襲いかかって来た。範囲攻撃に乏しい為苦戦したが鈴雨のコード・オヴ・シャードとニャルのファイヤーボールのワンドで何とか片付けることが出来た。全ての敵を倒すと再びロー・キャスの幻影が現れて一行の合格を告げ、上の台座に青い宝石が出現した。闘技場の向かいの扉、本来の試練参加者の入り口である扉の向こう側は”憤怒の鍛冶場”のポータルと繋がっていたらしく、大量の瓦礫とプールに沈めた残骸によって塞がれていた。


3.徒弟の試練
 そして先程のヤマソス神の意匠がある鉄扉の前へと戻り青い宝石を填め込むと、一瞬宝石が青い瞳に変化した後で扉全体が床へと沈み込み先へと続く通路が現れた。扉の向こうはつい最近破壊されたと思わしき瓦礫が散乱しており、通路の終端には1人のヤマソス信者の死体が転がっていた。その先の部屋にはプールと彫刻が施された鉄枠が填め込まれた壁のある部屋があり、その両脇それぞれに燃える魔術を操る魔法使いとランサーを振るう戦士の姿が銀象眼で刻まれた扉があった。一行は左側の扉を開け、”徒弟の試練(Apprentice’s Ordeal)”へと足を踏み入れた。
 ”徒弟の試練”の部屋は円形のドーム状になっており、2つの小部屋と鉄格子で仕切られた部屋から出来ていた。中央の鉄格子の中には背中から触手を生やした髭面の男性助けを求めてきた。彼はマガ・スズール(Maga Szuul)と名乗り、この島へと探索に来たもののここから出られなくなったとのことだったが、彼がヤマソス教団のカルト信者であることは既に明らかであった為に一行は彼の動向に注意を払いながら試練へと挑戦した。試練はドーム中央の壁にある水晶球に触れ、檻の中へと転移させられることで開始となり、正面の壁に表示されるサーシロン・ルーンに合わせて適切な魔術系統を使用すれば正解となるという代物だった…リズムゲーム? 最初に憤怒のルーンが表示され、ニャルが力術を使用したことで試験が開始となった。部屋の外で呪文を使用すると奇妙な音と共に部屋全体に酸の雨が降り注ぎ、次いで失敗した受験者達の成れの果てであるアンダイジェスティッド・スウォーム”溶解せし者(The Melted)”2体が小部屋に出現して襲いかかって来た。酸の雨が降り注ぐ中レーナが敵を切り伏せ、他の術者達は次々と檻の中へと入っては呪文を使い遂に”徒弟の試練”を完遂した。
檻が消えて再びロー・キャスの幻影が現れると一行に労いの言葉をかけ、部屋の中央に出現したアビサル・ルーンストーン(Abyssal runestone)を報酬として受け取るように指示した。直後、マガ・スズールが石を奪おうと動き出したものの、鈴雨のジェスターズ・ジョーントで転移したレーナの全力攻撃によって切り伏せられ絶命した。アルケミストであるマガは部下のカルト信者達を犠牲にしつつ試練を突破して最深部迄は到達出来たものの、この”徒弟の試練”は新しい魔術である錬金術には反応しなかった為に閉じ込められ身動きが取れなくなっていた。マガ・スズールの懐には様々な錬金術の試薬やヤマソス神の邪印に加えてホロウ・マウンテンの地図と”変異疫病(Polymorph Plague)の完成に必要な憤怒の試練場でアビサル・ルーンストーンを入手し、イレスパンのヤモリ柱(Gecko)へと持ち帰れ”というデーモンの皮に描かれた命令書が見つかった。
 尚、”兵士の試練”に挑戦するともう1つルーンストーンを獲得出来ると提案したがあまりに厄介すぎる代物であった為に(残念ながら)却下された。

 そして一行が再びプールのある部屋へと戻ると中央の枠の中に灰色の霧が出現し、その先からしわがれた声で「我を見つけ出し、解放し、我が憤怒のチャンピオンとなれ」という呼びかけが聞こえてきた。 

 といったところで今回はここで中断。かつての強敵モザマーの奇妙な過去や暗躍するヤマソス教団といった出来事も経て長く続いたホロウ・マウンテンの探索もそろそろ終盤を迎える。状況が状況なので何とも言えないが来年もこうして楽しみたいものである。

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