2014年9月16日火曜日

2014年08月の竜舞亭第一例会の話。:Jade Regent#11-Forest of Spirits前編

間1回の休止が入ったものの、昨年末より始まったJade Regentキャンペーンもようやっと折り返し地点に到達してキャラバン一行もミンカイの地に足を踏み入れる事となり、また表紙にもこのキャンペーンの仇敵となる”翡翠の宰相”(プレイヤーからは「魔戒騎士」と呼ばれていたが)が登場し、否が応にも盛り上がらずにはいられないという所である…しかしながら、今回は2名休みと何とも残念な始まりになってしまった…この辺りは社会人セッションの何とも難しい処だが。


 ともあれ、今回の面子は以下の通り。気が付けばキャラクター達も10レベルとなり、多くの単一クラスにとって戦力面で大きな境界となる11レベル迄あと一歩となった。

プレイヤー名前種族クラス
Pomtaケーン=タッカー=クララ人間ファイター(両手武器使い)/バーバリアン
アルドーリ流のナギナタ裁きで敵を葬る突撃兵。色々あり出身がブレヴォイとなった。
Waiz南条飛勇鶴(ナンジョウ=ヒュウカク)人間/ウールフェン人(ARGオリジナル)インクィジター(魔女狩り師・伝道者)
ミンカイの初代皇帝の魂が宿ると言われる妖刀”翠閃”を振るうパーティーのまとめ役。今回はインクィジターのえげつなさを如何無く発揮する。
Makkouシオン(紫苑)=カイジツドラコニックヒューマン(ARGオリジナル)モンク(気功師/無数の型の達人)/ファイター(武器の達人)
微妙に主人公/ヒロイン枠より外れつつ有るアメイコの妹。その胸は平坦であった。
2xxPサチアアシマール(自称)クレリック(伝道師)
サーレンレイ信者の自称天使のクレリック。今回はロマンス担当。
雅士ジョナサン=サイズモア人間ガンスリンガー
元少年兵のピストル使い。今回も欠席。
ろうなむ幻術のセルバンデスノームモドキ(ARGオリジナル)ウィザード(幻術師)
幻術の神シヴァナーを信仰する謎多き幻術師。今回は残念ながら欠席。
尚、以下はPathfinder Adventure Path #052『Forest of Spirits』中盤に関するネタバレを含みます。また、シナリオは随所変更されています。

0.”天国の壁”を越えて
 屍都ウクタールを通り無事ティエン=シアの地へと辿り着いた一行の目前には、今迄で見飽きた雪と氷と岩ばかりの”世界の冠”の風景からすれば遙かに緑豊かな夏のホンガル(Hongal)平原が広がっていた。
ツンドラ地帯にあるホンガルの地は遊牧民達の支配者カーンにより緩やかな部族制で統治されており、国旗にもあるように遊牧民の財産であり、また優れた軍馬でもあるホンガル馬が特産品でモンゴル辺りをイメージした国になっている。

 そして夏の陽気にぬかるむ湿原を渡る道の遙か先には、”オルドゥ=アガンヘイ”(Ordu-Aganhei)の街を囲む木杭の壁が見えた。


1.交易都市オルドゥ=アガンヘイ/Ordu-Aganhei
 オルドゥ=アガンヘイはその場所より”ティエン=シアの玄関”とも呼ばれ、アヴィスタン大陸とティエン=シアの商人達の交流地となっている。
周囲をぐるりと木杭に囲まれ、壁の上に山賊達の死体を曝した物々しい姿を曝す城門の前には、槍を構えた衛兵達の姿があり、一行を待ち構えていた。既にアガンヘイの路が雪崩に埋もれ、夏の盛りであるにも関わらずここ暫くは北方よりの来訪は無かった為、北より来た唯一の馬車である彼らに疑いの目が向けられるのも当然だろう。厳しい詰問を受け、荷を改められた為、セルバンデスが秘匿の重箱をインヴィジビリティで隠して難を逃れた。しかし、ヒュウカクが翠閃を預けようとしたところヘソを曲げた翠閃が衛兵に負のレベルを与えてしまい、事がややこしくなる。
そうしてあからさまに怪しい一行を衛兵達が追い返そうとしたところで、血相を変えた役人らしき男が大慌てで走り寄り一行に「ようこそ、そしてようこそ、改めてようこそ」と三度の礼以て謝罪し(何故かスカイハイ風の挨拶となったが)、非礼を働いた衛兵達を罰することを約束した上でチュア(Chua)と名乗ったこの男は訛りのあるタルドール語(アヴィスタン大陸での共通語)この街の支配者より客人として迎え入れられるという名誉を授かることとなり、無事に街の中へと入る事が出来た。途中「美しさは女の知恵であり、知恵は男の美しさである(Beauty is the wisdom of women, and wisdom is the beauty of men.)」といった一行を褒め湛える言葉の数々と共に女性陣に黒い薔薇が送られ、暗殺されるのでは? と警戒する場面もあった。

 街中では普段使う(タルダン語を基とする)共通語ではなくティエン語で会話がされており、大通りは塵一つなく掃き清められ、その両側には見世物の芸人達や屋台が立ち並び、様々な見た事も無い品や食材と食事が提供されていた。

 また、道すがらこの街の支配者であるバトサイカー皇子(Prince Batsaikhar)はカーンの弟であり、皇子はこの国の民のように曖昧な笑みを浮かべながら宴に興じ、酒を飲み、飯を喰らい、失態を犯した者を罰し、そして街を襲う山賊の首を撥ね、外壁の木杭の上に曝すといった話をウルフより聞かされる

余談だが、様々な描写が異様に細かい(タンフールーとか。ジジイの方ではない)このシナリオも矢張りというべきか海外作品に於けるアジア描写の例に漏れず、幾つかおかしな事が書いてあるのだが、乾燥したキクラゲをおやつ代わりにボリボリ喰うというのはどうだ。


2.バトサイカー皇子との謁見
 チュアの言うところの「小さな屋敷」、街の中央にある温泉を囲む堂々たる宮殿へと迎え入れられた一行は、そこでバトサイカー皇子と謁見し客人として迎えられる。玉座に座り数多の妻に囲まれ微笑んでいた皇子は、一行を威厳のある礼儀正しい言葉で迎え、更に長旅の疲れを労り、その空腹を満たすべく彼が食べるのと同じ食事を饗される。
その食事の中で一行に何故封鎖されたアガンヘイの路を避けてまでこの地を訪れたのか? そして一行が身に付ける目を惹く品々や女性陣達に質問を始める。

一通りを聞き終えると、明日より一行の為の饗宴を開くと告げただけで深い思慮を始め押し黙った皇子に代わり大臣により今日は下がって良いと告げられ、一行は宮殿の寝所、ガチョウの羽根布団、火の絶えない暖かな暖炉、湯煙建つ宮殿中央の温泉湖へと通じる扉、そして常に付き従う半ダースもの下仕えの者達といった桁違いに豪華な部屋へと案内される。

…しかし、この皇子のイラストはどう見てもバカ殿である。だが、皇子に関する記述を見るに「退屈しており、慈悲が無く傲慢だが、決して無能ではないどころかむしろ有能」という判断をし、そういう振る舞いをさせるようにした(真っ先に思い出したのはパトレイバーの内海だが)。


3.ミンカイへの道
しかし、まずは街中の露店で食事をしながら情報収集をしようという事になり、一旦屋敷より出る。その際にチュアから「客人に相応しい振る舞いをお願いしたい」と釘を刺されたが。

 ホンガルでは食事に箸が用いられ、これを扱える者は礼儀正しい者として丁重に扱われることから一行も箸を覚え、上手く扱うことで印象を良くし情報収集を優位に進める事が出来た。噂の中より、現在のミンカイは帝が退位してから”翡翠の宰相”と呼ばれる者が統治を代行しており、彼の支配には多くの不満があること、そしてホンガルとミンカイの間にある”精霊の森”と呼ばれる深い森で数多くの旅行者や商人が行方不明となっていることを知る。また、名前の通り”精霊の森”にはカミがおり、彼らの機嫌を損ねたくないのであれば、迂回して進むべきだとも教えられた。

 一行は既に”翡翠の宰相”の姿をブラインウォール城で見ており、ここでようやく仇敵となる相手の顔と名が知れた事となる。


4.5つの饗宴
 そして翌日、皇子により出迎えられた一行は、歓迎の為の饗宴”5つの饗宴”について知らされる。それは最高位の名誉ある客人を迎える為に開催される特別な宴で、その中で一行は5つのちょっとした余興を行わなければならないと聞かされ、うんざりした顔で付き合うこととなる。
1日目に振る舞われた料理は香辛料のきいたアヒルの頭、雄牛の頭、カメの煮物、ハトの脳味噌、鶏の脚の揚げ物、トラとドラゴンとフェニックス(猫、ヘビと鶏の肉、ケーンのプレイヤーが即座に見抜いていたが)のスープと一歩間違うとアレである(この先ずっとこんな感じだが)。
そして開かれるのは”3つの饗宴”で、これは皇帝お抱えの戦士フク(Huk)と裸馬の競馬、騎射、そしてホンガル相撲で競う競技で、腕っ節に自信があるケーンが参加し、競馬と騎射を見事僅差(数値2差ぐらいの)勝ち抜き、相撲は《上級組みつき》を持つフクによりあっという間に押さえ込まれ敗北と偶然ながらも相手を立てる見事な試合運びとなり大いに満足した皇子から褒美を賜ることとなった。

また、この後皇子が類い希な美貌を持つ異邦人サチに大いに興味を示し、様々な質問をする場面もあり、その裏で狙いが逸れたことにシオンが(無い)胸をなで下ろしていた。そして宴が終わってから、今後下手に失敗するのは宜しくないということで、改めて行われる余興の確認をチュアに迫り、情報を手に入れていた。

 2日目にはホンガル石蛙の蒸し物、ガチョウの胃、山羊脚の腱の麺、魚の唇のセロリ添え、アヒルの血の煮こごり、酔いどれ海老(生きた海老の酒漬け)が振る舞われ、余興として”古の饗宴”が開催される。これはワヤン(種族の方ではなく、その元になった方)のような影絵劇『親指無しのマーモット』を影絵師ピ=ヤン=シ(Pi Yung Xi)と演じるというもので、彼女から技術を盗み、即興で演じ、そして唄うといった内容だった為にアメイコが参加することに。NPCの技能ランクの問題もあるが、何よりDCが高い為に成功させるのが難しいのだが、出目の良さに助けられて何とか成功し、高価な馬頭琴を与えられた。

そして宴会が終わってからシオンが風呂に入りたいと言い出し、何故かヒュウカクが簀巻きにされて放置される。


 3日目は千年卵(ピータン)、牛肺のチリソース漬け、豚の頭(毛を取り除き肌を保つ為に熱いタールをかけられている)、蛇毒のスープ、蜂の子炒め、アヒルの脚の血のマリネというこれまた人を選びそうな食事で、饗宴は”火の饗宴”で、これは麒麟の手懐けと呼ばれる舞踊を焼けた石炭の上で行うというもので、初日に貰い受けた花を髪に挿したことで皇子の印象を良くし、呪文により強化されたサチが見事に演じ切り、エリクサー・オヴ・ドラゴンブレスを報償として貰い受ける。


 4日目は客人の指示により料理を作る”名誉ある客人による饗宴”だったのだが、ここで実はアメイコよりもシオンの方が料理が得意であることが判明し、シオンが担当する事に(別にアメイコの腕が悪い訳ではなく、気功師の能力による)。また食事中の余興もシオンが見事な大道芸を披露したことで、美しい鞘を持つシミターを与えられる。そしてその宴の前、とうとうサチへと皇子が大粒のルビーを手にアプローチが仕掛けるが、サチは大切な友人の為に旅を中断する事は出来ないとはぐらかす。
しかしここで皇子は平然と「アメイコ、或いはシオン=アマタツのことか?」と尋ね返し、底の知れなさを垣間見せる。
”精霊の森”の行方不明者の件はミンカイの手によるものであるという噂もあり、日に日にホンガルとミンカイの関係は悪化する一方であるが、立場上表立って協力する事は難しく、もし”翡翠の宰相”が倒され皇帝が再び即位した暁には、両国の関係は今よりずっと良くなるだろうと皇子は約束をし、昨日の踊りを褒め湛え身を引くこととなった。


5.龍の饗宴
 そして最終日、この日の饗宴は町中で開催されるもので、大通りには屋台が建ち並び、馬蹄粥、王室の鹿(揚げネズミ)、魚の匂いがする豚と青唐辛子とキクラゲの炒め物、焼きツバメ、蛇頭のスープ、蠍の酒漬けといった珍しい料理が振る舞われ、大通りでは張りぼての龍が踊り狂っていた。

そしてそれを眺める一行の前で突然、龍の張りぼてが地面に捨てられ、操っていた者達が襲い掛かってくる…そう、ニンジャである。

忘れた頃にやってくる”五襲の暴風”のニンジャ達に襲われた一行だったが、優れた美術品であるということで帯刀を許されていたヒュウカクや皇子より賜ったシミターを身に付けたサチ(もっとも、武器を振るうことはまずないが)、そしてそもそも武器を必要としないシオンは即座に対応出来たが、銃器しか扱えないジョナサンはどうしようもなく、そして愛用の武器を持ち歩けなかったケーンはシオンより借りた片手剣でニンジャ達を相手にせねばならず苦戦する。


しかし、隠れ身からの急所攻撃を狙おうとするニンジャ達をヒュウカクのジャッジメント・ライトが捉え、正義の審判により隠れ身が不可能となりサチとセルバンデスの爆撃により圧倒され、最後に残ったジョウニンも突如群衆の中から投げられたナギナタを受け取ったケーンのクリティカル・ヒットによって真っ二つになり爆発四散する。

戦闘を終えると、先程ナギナタを投げた串焼き屋台の女性が一行の前に姿を現し、此処では人目が多すぎるからと別所に移って話をすることに。そして人気の無い空き屋に入ると、芝居じみた仕草で手にした団扇を使い顔を覆った女の顔が狐のそれに変化する。彼女はミヤロ(Miyaro、宮路?)と名乗る。彼女はこの先にある”精霊の森”に棲まうカミに仕えており、アマタツの血統の者を無事ミンカイに送り届ける為に遣わされたと話し、また急ぎ出発しなければ次のより強力な刺客と戦うことになると告げ、一行に出来るだけ早く此処を去るべきだと告げた。

しかし、ここまで皆に正体がバレているとはという声がプレイヤーから上がったのだが、ミンカイを意のままに操る”翡翠の宰相”、カミの手先であるミヤロ、そしてオルドゥ=アガンヘイの全てを牛耳るバトサイカー皇子(更に言えば、2日目以降に情報を聞くと怪しげな連中の話が聞けた)と看破出来て当然の者達であれば仕方無いだろう。

〈真意看破〉により、ミヤロが何か隠しているのは知れたが、事実急ぎ出発すべき状況であることには変わりなく一旦宮殿へと戻ることとなったが、其処でチュアより既に宴は終わり、再び旅へと戻るべきだと告げられ、皇子からの褒美として金の鞍を鐙を持つホンガル馬とまとめられた荷物が用意されていた。ミンカイと事を荒立てたくないが、客人に無礼を働きたくない皇子の思惑を察した一行が速やかに旅に戻るべく準備を進めている途中、子供達がぺたぺたと身体を触られ、ミヤロよりこの国の風習として、異邦人の髪に触れると、1日幸運が訪れ、キスを受けると1年間幸運を授かることが出来るというこの国の迷信を聞かされる。サチが大人しそうな子供の額にキスをし、喜び礼を述べる母子を後に、一行はオルドゥ=アガンヘイの街を後にすることとなった。


 といったところで戦闘が少なかったこともあったが、この先が少々長く切りが良い所がここだった事と、人数が欠けている状況であまり話を進めたくなかったのもあり思いの外早く終わってしまった。第3章のボリュームを考えるともう少し進めておいても良かったとも思うが。

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