2013年6月20日木曜日

2013年06月の幻想TRPGコンベンションの話。:Pathfinder Module:The Midnight Mirror


 諸事情により(具体的に言えば仕事が忙しかったからなのだが)久方振りの参加となる今回だが、そもそもの目的である「Pathfinderの知名度向上」に立ち返ろうとPathfinderらしさがあり、かつ初心者にも遊びやすいものを探していたら丁度良いシナリオがあった為にPathfinder Module:The Midnight Mirrorを翻訳してのセッションとなった。

 今回の面子は以下の通り…なんというか、初心者を取り囲む駄目なオッサンの図になった気がしなくもないが(気心も力量も知れた面々なので、ルールのサポートという面については安心なのだが)。しかしアアシマールが2匹いるとかどんなパーティーだ。

プレイヤー名前種族クラス
waizロリィン=ドルスハーフリングサモナー
魔蟲プチコマに騎乗し、敵を貪りいたいけな(?)初心者をヘイスト中毒に陥れる諸悪の根源。
スズルアリシア人間レンジャー(都市/案内人)
ニダル生まれの弓レンジャー。圧倒的火力と勘の良さ(そしてグロ耐性の高さで)パーティーを生存に導いた希代の逸材。
2xxPシャンディ・ガフアアシマール(エンジェル血統)バード(秘術決闘者)
バードにも関わらず知識技能関連を一切捨てて戦闘に特化したアホの子。主に踊りながらバルディッシュで敵を葬る紙装甲の近接戦闘力担当。
makkouボルディックアアシマールクレリック(デズナ)
高いACと生存特化の能力でパーティーを支える唯一の支援と交渉担当。

 因みに今回唯一の初心者のスズル氏だが、興味を持って下さった理由が「なんか隣でフィギュアとか並べて面白そうな事をしているから」とのことで、まさしくそれこそが私がコンベンションに重い荷物を持ち込んで卓を広げてきた理由なので、ここのところ色々あったこともあり随分と救われた気分になった。こういう事があればこそ、まだTRPGで、Pathfinderで遊んで行ける気力も湧くというものである。

 尚、以下はPathfinder Module『The Midnight Mirror』に関するネタバレを含みます。また、シナリオは
随所変更されています。

 並行してDAC愛知2013の処理諸々を行っており、しかも前日が休日出勤日になってしまい時間的にも非常に余裕が無かったどころか久し振りに手を付けると翌週死ぬことが確定する身体的リソースに躊躇無く手を付けて準備を完了する。というのも翻訳し読み進めているうちにこの『The Midnight Mirror』が非常に私好みな薄暗く血腥くかつゴラリオンらしさに溢れたシナリオであり、また個人的に結構好きだった4版初期のシャドウフェル辺りの影の妖精郷の雰囲気を漂わせていた為、思わず普段以上に翻訳に熱が入ってしまったからである。

因みに世間的には私は4版忌避の人と思われているようだが、実はルールはそれほど嫌いという程でもない(基本的に個での爽快感が薄い等不満もあるが)。のだが、世界観設定についてはエベロンはどうしたとかあれだけレルムを荒廃させておいて結局アンダーダークでロルス頼み(あからさますぎるロルスとドロウ贔屓も)かよとか何故イーリストレイー(Eilistraee)を殺したとか色々言いたい事がある程度である…実際のところ、それ以上にゴラリオンが私にとって魅力的な世界だからというのが大きいが。

 閑話休題、しかしながらプレイヤー決定の時点で他3人については問題無いとして、1人が初心者と聞かされ焦る。先にも書いたが拷問の神ゾン=クーソンを崇める影の国ニダルが舞台ということもあり、描写が割と初心者ドン引きなレベル(拷問、風習による身体欠損、【魅力】を大きく損なう疫病、生理的嫌悪感を催す生物等)だった為にやりすぎの危険も危惧したが、結果的にこれは杞憂に終わった。


0.ボーロイ家の歴史と”真夜中の鏡”
 拷問の神ゾン=クーソンを国教とするニダル、未だ年若いステファン=ボーロイ(Stepan Boroi)には、自身の父親が治めるカーパッドの村の支配者になるという野望があった。しかし、彼にはイオジーフ(Iozif)とヘンリック(Henric)という名の2人の兄がおり、また男爵という低い地位もありこの野望は絶望的だった。しかし、ある時ステファンは邸宅の地下で“真夜中の鏡”と呼ばれるゾン=クーソンの神殿で反逆者に永遠の拷問を下す為の刑具を発見し、その中に歪んだ邸宅の鏡像と銀の仮面を持つ長身の男の姿を発見する。困惑するステファンに鏡の中の仮面(実は約千年前にこの地方を支配していたが、人々の反逆により”真夜中の鏡”に封印されたシェイの首領)は自身の名をニカソールと名乗り、こう告げる

「お前のその暗き野望を遂げさせてやろう。但し、これからすぐと以降10年と1日の後に毎回1年だけお前の身体を私に寄越せ」

ステファンはこれに同意し、次の月には2人の兄は忽然と姿を消し(急病による死と発表され)、その後まもなくこの世を去った父の後を継ぎ男爵の地位を得て、カーパッドの村の支配者となった。

 それから10年の後、無信仰であったステファンによって”ニダル的な”風習の多くは廃れ、低い税率と公平な裁判、差別種族としてスラム街に隔離されていたフェッチリング達に対する弾圧も抑えられ村は発展を遂げていた。更に1年前にニスロシュ貴族ティボロス家より美しい末娘アーニャを妻に迎え、2ヶ月前に跡継ぎのマレックを設けたステファンの耳に1ヶ月前に鏡からの囁きが届く。

「約束の期日が来たぞ。鏡の間にて、かつての私との契約を果たして貰おうか」

アーニャを深く愛し、子供を設け冷酷な心を脆くしていた男爵は、アーニャが自分の姿をした他人に抱かれ、その子供マレックと引き離されることを怖れて鏡の間を封印し、あらゆる影を怖れ屋敷の使用人であったフェッチリング達を1人を残して解雇、自身もその影を魔道書に封印した。
しかし、ニカソールの怒りは鏡を通して村を侵食し、伝染病を引き起こした。
この事態を重く見て、更に「光の者」に助けを求めたステファンであったが…彼は知らなかった、妖精と約束することの意味を。


1.貴族の依頼と最初の戦闘
 ニダルのニスロシュの街にて冒険を終えた一行は、街でちょっとした有名人となっていた。そしてその名声はティボロス家にも届いていた。厄介な問題を抱えるこの貴族は酒場でささやかな勝利を祝う彼らの元へ家令を送り、仕事を依頼した。それは2ヶ月前に辺境にあるカーパッドの村へと嫁いだ末娘アーニャより「夫は変わってしまった」という手紙を最後に連絡が途絶えた為、娘の無事を確認し、またトラブルがあったならばこれを解決して欲しいというものだった。この依頼を受け、報酬5000gpのうち、前金として250gpを受け取った一行はニスロシュより2週間掛かるカーパットへと出発することに。

 カーパッドの近く、河に渡された橋へと差し掛かった頃、橋のたもとで倒れる女性の姿を発見する。その姿は病で大きく損なわれており、喉が異様に腫れ上がっていた。そしてこれを助けようとしたところ、迫っていた山賊と遭遇し戦闘となった。毎度のチュートリアル戦闘という奴である。特に今回は初心者であるアリシアのプレイヤーが弓レンジャーを選択した為、弓のメリット、デメリット等を中心に解説を交えながらの戦闘となった。

猟犬2匹、山賊3人、オーガの用心棒を次々と打ち倒し、そして山賊の首領はアリシアに眉間を打ち抜かれて葬られた後に倒れている女性へと近付いた一行だったが、当の本人より助けることを拒否される。というのも自身は”蝋咽病(Tallowthroat)”と呼ばれる感染性の重病人であり、触れるとその病気を移してしまうからだと一行に告げる。

 しかし、デズナの僧侶ボルディックは彼女に触れ、副領域能力である”自由の祝福”を与えることによって彼女の病を癒すことに成功する。改めて一行に礼を述べ、ペトリシア(Petricca)と名乗った彼女はカーパッドの村では膨大な数の感染者に対応出来なくなった司祭が治療を打ち切っており、なけなしの財産を手に隣の村へと治療の手段を求めて向かう途中だった。自身はもう大丈夫とはいえ、村に疫病が蔓延している事には変わりなく他者の為に薬を買いに行くという彼女と別れ、一行はカーパッドの村へと到着する。

 因みに、この時に彼女を助けていないと、本来のシナリオ通りに悲惨な運命の再会をする予定だった。


2.奇妙な村カーパッド
 村に到着すると、広場に人垣が出来ていた。その中央にある枝の太い樫の前では、村の自警団長が村人達を集め、3人のフェッチリングを吊そうとしている場面に遭遇する。聞くと、最近の疫病の蔓延に加えて、村の中では行方不明者が発生しており、彼自身にも蝋咽病の徴候が見られる団長ルシアン=グロイ(Lucian Groy)の一人娘オリア(Olya)が消えた為に、スラムを抜け出し村の中を歩いていた3人をほぼ言いがかり的に捕らえ、処刑しようとしていた。デズナの司祭であるボルディックが間に割って入り、その高い魅力と生まれ持った〈交渉〉の技で訳の分からないまま怒れる群衆をなだめ、団長とは代わりに娘を捜し出すことを条件としてフェッチリング達を解放する。

 また、村人達が解散した後、夢の啓示(デズナは夜と夢の神でもある)で一行を手助けせよと告げられたゾン=クーソン信仰に疑問を持つ酒場の給士娘のルシアより最初の行方不明者であるパン屋の妻イリニー(Irini)が失踪する直前、ボーロイ家の犬匠であり、館に残る唯一のフェッチリングであるガブリール(Gavril)と会っていたことを教えて貰う(更に、村の噂でイリニーは誰かと不倫の関係にあるとも)。

 しかし、取り敢えず行方不明者の捜索は後回しにしようということでこの村の支配者であり、アーニャの嫁いだ相手でもあるボーロイ男爵の邸宅へ。付近には影を追い払おうと昼間から松明が焚かれ、いくら暗い雰囲気の漂うニダルだとしても些か常軌を逸した様相を呈しており、また使用人が大量に解雇されたことで些か荒れ気味となっていた。
ボーロイ家の執事長ラウレンティウ(Laurentiu)に出迎えられ、用件を告げるとすぐさまアーニャの前に通され、ほっそりとした外見と薄い唇から繊細で神経質な水鳥のような印象を受けたが、反面一行に姿を見せて手紙を受け取ると、自分の元気さを示そうと明るく大きな笑い声を上げて、その第一関節より先が欠損した小指と中指(これはニダルの風習で「自身が働かずとも暮らせる裕福さ」の象徴)を誇らしげに見せる彼女の様を見て一行は些か面食らう。
因みに私としてはこういう「理解しがたいが特徴的で文化的差異を感じる風習」というのが非常に好みだったりする(ルーンクエストはその辺り非常に良かったのだが、いかんせん凝りすぎて扱いきれない領域に行ってしまったのが…)。

 その彼女より、この村はそれほど”ゾン=クーソン的”でもなく信仰が篤くない彼女にとっても過ごしやすいが、夫ステファンは確かに変わってしまい”影の獣”に怯え現在は館の書庫に籠もりっきりなっているし、村にも疫病が蔓延してはいるが自身は何ともなく元気だと伝えて欲しいとは言ったものの、同時に領主の妻として村の状況を問題視しており、家から支払われる報酬に加えて上乗せするので村の問題を解決して欲しいと頼まれ、自警団の件もあり許諾することに。
また、手入れもされぬまま荒れている屋敷の中庭にディテクト・マジックを掛けると、中央の噴水から流れる水が死霊術と召喚術に汚染され、影界の影響を受けておりこれこそが蝋咽病の感染源であることが判明したが、残念ながら原因迄は掴めなかった。

 そして、様々な噂で名前を聞く犬匠ガブリールに話を聞くこととなったが、先に同胞であるフェッチリング達を助けたこともあって、友好的な態度で「自分に話せることなら何でも話そう」と申し出て、早速容赦無くイリニーとの不倫について聞く一行。
しかし、確かにイリニーとの関係は認めたものの、自分より後に、というよりも彼女の友人で雑貨屋店主で多忙な蝋燭職人(ニダルの国の性質上、影を払う灯火は必需品であり、ましてや今は”影の獣”の噂がある為)のカタリーナ(Catalina)が来たからこそ間男である自分は逃げ出し、その様子を見られたのだろうと語る。


3.カタリーナの蝋燭工房
 その後一行は一斉解雇されたフェッチリング達に話を聞こうとスラム街に向かうも噂話以上の情報を聞き出すことは出来ず、またオリアについても行方の予想が付かないと聞かされ、また焦燥感に駆られた自警団長ルシアンより「娘の行方はまだか?」と問われた為、渋々調査を開始することに。

 調査を始めて早々に、オリアを最後に見た家の裏庭の隅で蝋の屑を発見し、それが点々と雑貨屋迄続いているのをアリシアが目聡く発見する。これは間違いないということで雑貨屋に踏み込む事となる。
 工房へと裏口もあったのだが、こちらは直感的に危険を感じた為に避け、雑貨屋の方より踏み込む事に。窓より様子を伺い、中に立っていたハンサムな男性を模したワックス・ゴーレムを切り倒し、作業服の脱ぎ散らかされた私室にあった罠の掛かった箱を開けたりしながら地下へと続く階段より下へと降りる。
 地下室へと降りると、その中央に血溜まりの中に倒れる女性の姿があり、調べようとしたところ壁より影が立ち上り、一行へと襲い掛かる。後に知った事なのだが、蝋咽病の患者は最終的に喉が破裂し、影界よりシャドウを生み出すのである。
しかし、不意討ちを何とか切り抜け、非実体のダメージ半減に苦しめられるが何とか接触される前にシャドウ達を撃破し、カタリーナの死体からパスウィズアウトトレイス(痕跡消去)のポーションとリングオブクライミング(〈登攀〉にボーナス)というどうにも真っ黒なアイテムを発見。
 その後、物音がする奥へと向かうが、真昼のように明るい蝋燭工房で待ち受けていたのは中央にある血で染まった魔方陣と、こちらに襲い掛かる2人の村人、そして姿の見えない上に一行を「余所者の物盗り」呼ばわりする謎の敵で、村人は即座に討ち倒したものの、ブラインドネスをこちらに掛けてきたにも関わらず姿を見せない敵に一同絶句する。
 慌ててロリィンがシー・インヴィジビリティのスクロールを取り出し、やっとラーカー・イン・ライト(擬似呪文能力でデイライトを使える上に「明るい光の下ではグレーター・インヴィジビリティの効果を得る」というCR5にしてはやけにエロイクリーチャー)の姿を認めるがグリッターダストの準備が無く、場所は教えられるが透明化による完全視認困難はどうにもならず、最終的にシャンディが足留め袋を何とかぶつけ視認困難率を下げた(戦闘が完全に膠着したのでGM判断で許可した)ところをアリシアが仕留め、「私は男爵の許しを得てこれを行っているのだぞ」という謎の言葉を残して絶命した。

 部屋の奥には蝋を貯めた桶に漬けられ(ハン・ソロのカーボンフリーズ状態)身動きが取れなくなっていたルシアンの娘オリアと他に2人の子供(3人とも顔見知りのカタリーナから飴玉で釣られて誘拐された)、倉庫の方からはパン屋の妻イリニーと他2名の死体が発見され、恐らくあのラーカー・イン・ライトは村人達を生贄に捧げてゲートで何かを召喚しようとしていたのではないか一行は推測する。

 行方不明者の消息こそ判明したが、実はこれはあまり関係のない事件だったのではないかという予感を残しつつ昼休憩へ。駅前に気になるうどん屋があったので行こうと提案したが「遠すぎるんじゃー」と怒られたのでいつものパスタ屋のもはや定位置となった隅の座席で駄目な会話を繰り広げる事に。


4.領主ステファンと”真夜中の鏡”
 間に”真夜中の婚礼”でゾン=クーソンの花嫁となったボーロイ家の叔母イヴジーニャ(Evgenia)の話や、苦痛と引き替えに呪文をサービスしてくれるゾン=クーソンの司祭の話を聞きアリシアが強く興味を持っていたが、この辺りはあまり出せなかったのが残念だった。ゴーストになって鋼鉄の処女に取り憑き、ニダル流のジョークを飛ばす豪快なイヴジーニャ(外見的には”途方もない美人”とあるので某四丁拳銃の魔女ぽい感じで出す予定だった。かーまーぼーこー)や、やけに甲高い声で話す全身拘束具のゾン=クーソンの司祭(フレッシュ・ザ・パイクのイメージ。NPC Codexに丁度良いのがあった)は是非出したかったのだが。

 捕らわれていた子供達を解放した一行は、結局先程聞いたラーカー・イン・ライトの台詞を確かめる為にステファン男爵に面会しようと館へと戻る。

 書庫より現れたステファン男爵には影が無く、これは影に襲われることを怖れた結果、魔道書”真月の夜の書(Book of Night without Moon)”を使い自身の影を封印したからだと判明。
影を奪われた影響で些か神経質になっていたものの蝋燭工房の惨状を聞かされると、確かに「どんな手段を使ってでも、この村の問題を解決しろ」とラーカー・イン・ライトの”イルキュイス(Ilquis)”には言ったが、そこまでは望んでいなかったと後悔し、また庭にある噴水こそが蝋咽病の感染源であることを知らされ、一行に一連の騒動の原因である”真夜中の鏡”についての自分の調査の結果を全て打ち明けた上で鏡の破片を渡し、”真夜中の鏡”を破壊するためにニカソール(Nicasor)を殺し、もし兄達が生きているならば救い出して欲しいと依頼する。







5.”闇の心臓”
 鏡の中はボーロイ邸宅から光と色が失われ歪んだ縮小コピーの様相を呈しており、骨の散らばる牢獄、襤褸布で出来た巨大な犬小屋、がらくたの浮く部屋や沢山の鍵が捨てられている部屋を戦闘を交えながら探索していると、杖を持ち身に覚えの無い一行に憎悪の視線を向けるフェッチリングの老婆を連れた磨かれた銀の仮面を付けた長身の男性と遭遇する。
 「お前達は何者だ?」という問いに「まずそちらから名乗るのが礼儀だろう」というおきまりのやり取りがあり、男はシェイで自身の名をニカソールと名乗る。これを聞いた一行は身構えるが、対してニカソールは紳士的に振る舞い、一行が鏡を破壊することが出来ると聞くと表情のない鏡の如き仮面に喜びを浮かべ、館の中央に隠れる”闇の心臓”こそがこの鏡の真の支配者であるであると教え、自身もかつて一度戦い勝利したものの(これは実際に戦わせて試してみたがクリティカルや[冷気]ダメージもあり瞬殺だった)即座に復活してしまった為に現在では触ることすら出来ない為、協力は難しいと告げた(実はこれは物質界にいち早く戻りステファンを殺す為の嘘だったが、〈はったり〉の出目が高く(技能値も+12と高いが)一行は〈真意看破〉で見抜けなかった。因みにニカソールの性格的モデルは仮面で全裸なあの人。)また、ステファンが約束を破ったことには怒りを覚えているが、彼の言うように契約を破り、今後ずっと彼の身体を支配し続けるような心算は無かったと主張する。

 ”闇の心臓”と対峙する前に上の階も見て回ろうという話となり、そこでステファンの2人の兄の末路を知ることとなる。長兄イオジーフは丁重に扱われ、フェッチリングの侍女との間に息子ソリンを設けたが(当然ながら彼にはボーロイ家の継承権がある)鏡の内部で健康を損ない死に、、次男ヘンリックは”闇の心臓”による拷問の末発狂して首を吊り、スクライビング・アリップと化していた。
外の世界を何も知らず、一行をボーロイと呼びその質問に困惑するソリンについては鏡から出てから考えようという話でまとまり、いよいよ”闇の心臓”と対峙することに。
 事前に周囲にある暖炉を潰しておけというニカソールの忠告に従い、凍えような冷気を放つ炎が燃え上がる暖炉のある部屋に巣喰っていたゴーストファイア・エレメンタルを潰し、”闇の心臓”がある閉鎖された中央部へと踏み込む為にシャンディが黒い霊液が染み出す壁を男爵より借りたアダマンティン製バルディッシュで破壊すると、中で待ち構えていた(”闇の心臓”はこの空間そのものであり、屋敷の中の出来事は全て把握している為)”闇の心臓(The Heart)”ことテネブロス・テンドリキュノスの触手に危うく捕らわれそうになる。
 しかし、アリシアによる鏡の破片を鏃に用いた(ベイン・アロー扱い)矢による全力4連射(《速射》+ヘイスト+ハロウカード)で”闇の心臓”は呆気なく止めが刺される。呑み込まれると非常に厄介な状況になった為、これは優れた判断だったと言えるだろう。
 ”闇の心臓”の死により”真夜中の鏡”の崩壊が始まり、いつのまにか鍵のかけられていた扉を先程の鍵の部屋で入手していたチャイム・オヴ・オープニングを使って開けて急いで外に出ようとすると、地下に降りたところで先程ニカソールの隣でこちらを憎悪の目で睨んでいたフェッチリングのソーサラー、エレントゥア(Elenuta)とその相棒でローグのトラキス(Trakis)が一行の脱出を妨害するべく立ちはだかる。
彼女はニカソールへの忠誠もあったが、それ以上に長い幽閉の末に精神を病み「誰でも良いから殴らせろ」というストレスが爆発した末の凶行だった(一行についても最初は”闇の心臓”の新たな拷問だと思い込んでいた)。

 しかし、シャンディの秘術の打撃を込めたバルディッシュの一撃によりエレントゥアは首を跳ね飛ばされ、相棒の死に激昂するトラキスもアリシアの”レンジャーの集中”による矢の一撃で呆気なく倒され、またこの場に居たシェイでニカソールの弟のアタミン、その娘マナルは自身が解放さえされれば問題無いと考えており、「兄を止めて欲しい」と一行に告げて剣を収めた。


6.ニカソールの復讐
そしてようやく戻った物質界では、今まさにフェッチリング達やシェイの叔父コリス、ペットのシャドウ・マスティフ(実は他に2匹いたのだが、”闇の心臓”の好物で喰われた)を連れ憎悪に燃えるニカソールがステファン=ボーロイ男爵を手にかけようとしていた場面に遭遇。
 扉を閉じ、時間を稼ごうとするコリスをシャンディが食い止め、その間にロリィンから受け取ったネックレス・オヴ・ファイアボールを投げつけボルディックが雑魚を一掃し、次いでクイック・ランナーズ・シャツを起動させて射界を確保したアリシアによる全力射撃が飛ぶが、ニカソールはシェイの生来能力によるブラーと不定形でこれに耐える。
ステファンへ「お前を兄弟達の元へと送るのは後回しにしてやる」と告げアリシアに肉薄し反撃を行う(ブラーによる失敗率発生時に「当たらなければどうということはない」とか言わせるのを忘れていたと後に後悔)。
パーティーの最大火力であるアリシアを護るべく、防衛能力に優れたロリィンが前に出て戦線を構築したものの、(アリシアはかわいいと言っていたが他のプレイヤーは盗賊会議のトラウマでうんざりしていた)シャドウ・マスティフによる吠え声と執拗な攻撃、そして何より二刀を振るうニカソールに決定打を与えられない状況に一度は防御の薄いシャンディが倒れてしまい少しずつ一行は窮地に追い込まれていくが、最終的にはその身体にアリシアの放った矢が突き立ち、もはや助からないと悟ったニカソールは男爵にイオジーフの息子ソリンの存在についてに教え、邪悪な笑みを浮かべながら滅び去った。

そして、生き残った者達も戦う理由を失ったことで戦闘終了となった。

 後には山積みの問題が残されることとなったが、一行には何の関係もないことで全ては当事者達の問題として片付けられるべきだと主張して幕となった。シナリオとしても完全なハッピーエンドは存在しない為、これが妥当だろうとGMも思うが。

 GMの能力の問題でPathfinder RPGとシナリオの魅力を十全伝え切れたかどうかは微妙なところだが、それでも参加してくれた皆、特に今回初心者であったアリシアのプレイヤー氏は充分に楽しんでくれたようなのでGMとしてはそれで充分役割は果たせたのではないかと思う。

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