2013年1月10日木曜日

2013年01月の幻想TRPGコンベンションの話。

 新年最初のコンベンション参加となる今回は、私にとっても2013年最初のセッションということでPathfinder Beginner's Boxを使用しての初心者用卓で募集させて貰ったのだが、やはり場所が良いのか定員いっぱいの6名のプレイヤーが集まってくれた。
 今回Pathfinder Beginner's Boxを通常ルール(本来は簡略化されたルールを使用することになっている)遊んでみた感想だが、非常に良く出来ている。戦闘の立ち回りを覚え、謎を解く楽しみがあり、対価による恩恵、特殊な戦闘、特別な財宝、別の手段による遭遇解決、特殊な敵、そして強大な敵と初心者が楽しめる為の要素が揃っている。
因みにコンポーネント紹介についてはこちらを参照のこと。
WPEs:Beginner Boxが来た!

そんな今回の参加者及びキャラクターは以下の通り。因みに本来は4人対応のシナリオなのだが、キャラクターを追加(及び若干の改造)を加えてのセッションとなった。
プレイヤー名前種族クラス
960ファングJr.Jr.人間ファイター
戦士の家系の3代目。ロングソードと盾を操り、高いACをhpを持つファイター。
ガルゥバリオスハーフオークファイター
ダイスが廻った時の爆発力が凄まじいグレートソードを振るうハーフオークの戦士。
ハヤシトモユキルーカス人間ファイター
唯一の遠隔担当である弓戦士。《速射》による素早いロングボウの射撃で敵を狙い撃つ。
埴輪イズミハーフエルフローグ
レイピアを操るハーフエルフのローグ。高い〈知覚〉も併せ持つ。
伊和グレルタン人間クレリック
太陽の女神サーレンレイ信徒のクレリック。前のめりな戦士達の命を何度も救った功労者。
pomtaココ=ヘクマティアルエルフウィザード(総合術)
不吉な名前のフフーフもといエルフ・ウィザードのお嬢様。プレイヤーが熟練者である為か名前相当に腹黒い。
尚、以下はPathfinder Beginner's Boxに関するネタバレを含みます。また、シナリオは一部変更されています。


 因みにセッション開始前の挨拶で休み中にヘルシングOVAとヨルムンガンド2期(とジョジョ)を一気に見たので若干残虐レベルが上がっているとプレイヤーに告げてからセッション開始となった。


 0.導入とプレイヤー6人時の調整
『君達の故郷であるヴァリシアのサンドポイントは、何故か(協調)定期的に怪物達による問題(たとえば腹を空かせたゴブリンの襲撃のような)に見舞われる奇妙で興味深い海沿いの町である。しかし、幸運に見舞われた市民達は何とか耐えて生き残り暮らしていっている。
しかしながら、最近より大きな危険がこの町を脅かすようになった。
今より2~3週間前、近隣の農場から大きな家畜の姿が消えるようになった。そして、その半分貪り喰われた死体や時にはその場に残された血痕だけが発見されるようになった。
サンドポイントの人々はこの襲撃がいずれ人の身に及ぶと考え怖れ、ケンドラ=デヴェリン市長は死体の1つに残されていた長く黒い牙から”ブラックファング”と名付けられたこの未だ誰も姿を見ていない敵の首に1000gpの懸賞金を掛けた。
貴方達は、この残忍な殺害事件に終止符を打つ為に町で噂を集め、探索をすることに決めた。噂はブラックファングが町外れの洞窟をねぐらにしていると告げている。この洞窟の奥は石造りのダンジョンになっており、永年に渡り多くの怪物達がこの場所を自身の巣としている。』

 基本的には各遭遇の雑魚敵(最終遭遇のドラゴンを除く)を脅威度+1程度増やすと丁度良くなる。また、注意としてはサンプルキャラクターは明確な意図があってあのような構成となっている為、追加するにせよ極端に先鋭化したキャラクターを作るべきではない。
追加キャラクターとしてバーバリアンがあり、プレイヤーの方からも「何故グレートソード持ちはバーバリアンではないのか?」と聞かれたが、数値の増減が大きく、初心者向けとしては些か複雑になる為、こういう形となった。また、弓兵がレンジャーでないのは単純に特技数が足りないからである(戦闘スタイル特技が入るのは2レベルから)。


1.ゴブリンの奇襲
『君達は今、ダンジョンの入り口にいる。洞窟の付近には酷く損壊した戦士の像が立っており、入り口は分厚い苔と蔦に覆われており、その奥には暗闇が広がっているのが隙間から見える。』 古典的文句だが、やはりd20のダンジョンの始まりといえばこれである。戦士の像は酸によって溶けており、先の情報も合わせて不吉な予感しかしないとプレイヤーから意見が出たが、「あくまで初心者向けモジュールなので」と言うに留めておく…過度なメタ読みは熟練者の悪い癖だと思うが。







 『蔦のカーテンが突然開き、その奥からメロンみたいな頭とむき出しの歯を持つ小さな化け物が飛び出してきた。怪物達は手に雑な造りの武器を持ち、大きな鬨の声を上げながら襲い掛かって来た!』
 パーティー内唯一の暗視能力持ちであるバリオスが様子を見に行ったところ、裏側に隠れて待ち構えていたゴブリン達が4体(本来は2体)飛び出してくる。不意を打たれ接近を許し、若干の被害を受けたものの、いかに1レベルとはいえ雑魚ゴブリン程度では足止めにもならず蹴散らされる。


2.ゴブリンの塒
「蔦のカーテンをくぐると、低い天井の洞窟に出る。部屋の中には幾つも藁床が敷かれており、その間にはぼろぼろの箱が置かれている。また、更に奥には石の扉がある。」
 洞窟の中は偵察ゴブリン達の住居になっている。当然だがプレイヤー達は箱が気になるようで調べていたが、簡単には開けられず叩き壊すかという意見もあったが、イズミの頑張りで無事箱は開いた(同時に寝床の藁から鍵が発見されたが)。
箱の中身は金貨と小さな宝石、高品質のレイピア(本来はダガー)、そしてキュア・ライト・ウーンズのポーションでポーションについては箱を壊した場合は破壊され入手不可能になっていた。
また、1体のみ生きていたゴブリンを〈威圧〉で尋問したところ、ゴブリンの王が宝物を無くして怒っているという話やゴブリン達を悩ませる黒い翼の獣について聞かされる(ゴブリンは懐柔出来そうなので買いに戻るかという話も出たが、ちゃんとシナリオ中で獲得出来ると身も蓋もない返答をする羽目に)。



3.魔法の噴水
「石のドアを開けると、そこは奇妙な海の水面のような揺れる黄金色の輝きで満たされた部屋がある。部屋の中央には奇妙なルーンの刻まれた噴水があり、光はそこから放たれている。そしてその奥からは微かに議論をするかのような声が聞こえてくる。 また、右手側には石造りの扉があって、しっかりと閉ざされている。」 声はゴブリンのボスとその部下達が失われたボスの宝物について大声で話しあうもので、特に危険がなさそうということで後回しになった。

 〈知識:宗教〉により刻まれたルーンを読み取ると、「デズナ神への寄進を行う者には天の恵みが与えられん」とあり、噴水の底には数枚の金貨が落ちている。噴水の水には魔法の効力があり、魔力が消えないうちに飲んだ時に1d10(金貨を投げ入れた者は+5のボーナスを得る)を振り、1~5はペナルティ、6~10ならばボーナスが貰えるようになっている。因みに金貨を取りに噴水に入ると水が汚れ、1日の間使用不可能になっていた。
実験により噴水の効果を確かめた後でココ以外が金貨を投げ込み水を飲み、それぞれボーナスを得て先に進んだ。


ここで時間も良かった為、ちょっと遠出して上海湯包小舘にて昼食。人数と時間が良かった所為か、宴会用の個室で思う存分駄目な会話をすることが出来た。これで車でなくて、GMをやっていなければビールが欲しかったところだが。


4.宝玉の祭壇
「音も立てずに扉が開くと、その中から赤い光が溢れ出す。部屋の東側には一対の石像が祭壇の左右に建っており、その祭壇はルーンがびっしりと彫り込まれ、厚く埃が積もり、そして部屋の明かりの源である赤く大きな宝石が鎮座している。大きな声が2つの像から響き渡り、それはこう告げる『恭順を示しながら近付くべし!』」
 立ったまま祭壇の前に踏み込むと左右の像から炎が吹き出す罠が作動し、人型生物の丸焼きが出来上がるという仕掛けで、解除DC26が2つとこのレベルでは解除はほぼ不可能な為、回避方法を探すことになるがヒントの通り伏せ状態で這いずりながら祭壇に近付くという発想が早々に出た為、さほど問題無く解決となった。
手に入れた宝石は元素ダメージを10点防ぐ魔法のアイテムで、これはグレルタンが持つことになった。


5.蜘蛛の巣
「天井と部屋の隅から蜘蛛の糸が垂れ下がり、部屋中を覆っている。しかし巣の上を這い回っている蜘蛛達はどれも小さく、大きな巣を作る程ではない」 密集する蜘蛛の巣の間にゴブリンの頭蓋骨と宝と思わしきものがあり、これを確かめに行ったところで案の定ジャイアント・スパイダー2匹の奇襲(誰も〈知覚〉でスパイダーの〈隠密〉を上回れなかった為)を受ける。毒のある噛み付きと絡みつく蜘蛛の糸に苦しめられるが、何とか撃破して木製のドラゴンのおもちゃ(尻尾を引っ張ると翼が開く工芸品)とマジックミサイルのワンドを入手する。








6.落書きと魔法の柱
「洞窟のようなむき出しの岩肌をした通路の中央には、奇妙な石柱が建っている。その柱は10ftの高さがあり、上部には様々な文様が描かれているが、下部には1種類だけの文様が繰り返し描かれている。そして壁には白いチョークによって落書きが書かれており、それにはこうある『ゴブリン達は”長虫”を怖れ、その奥を探索しようとはしない。その息は死をもたらす』」 長虫(Wyrm)はエルフ語でドラゴンの意味ということで、繰り返し強調される敵の存在にプレイヤー達はうんざりしていた。柱は下半分の文様の”水”を示すものに触れると水中での呼吸能力と〈水泳〉技能へのボーナスを得るが、用心深すぎる一行はやけに警戒していた。


7.致命的なプール
「この部屋には半分を占める大きな水たまりがあり、奥には島のような陸地があり、そこで何かがかすかな光を放ちながらきらめいている。」
 大抵の冒険者にとって水中戦は致命的な環境だが、奥の島には豪華な宝箱が見えた為(本来だと宝物が積み上げられている)、それを取りに行こうという話となり〈水泳〉の高いバリオスが鎧を脱いで取りに行くが、向こう岸の島に上陸したところでリーフクロウ2匹に襲われ、掴まれ絶体絶命の危機に陥る…が、1匹はルーカスにより射殺され、もう1匹もジャベリンに得物を持ち替えたバリオスにより沈められる。
宝物は+1ドラゴンベイン・ロングソードとインヴィジビリティ、レヴィテートのポーションと金貨の詰まった袋で、メタ的に難敵の存在を示すせいか非常に厭な顔をされた。そして剣はファングの腰に収まった。






8.ゴブリンの確執
「この大きな洞窟の壁じゅうにはゴブリンの雑な絵が描かれている。南西の角には、骨製で鳥の羽根で飾られた王冠を身につけた大柄なゴブリンが動物の骨で出来た玉座に座っており、その周囲には何人ものゴブリンが耳を押さえながら互いに叫び合っている」
 ゴブリン達は無くした王様の宝であるドラゴンのおもちゃを探しており、声を掛けられてやっと一行の存在に気が付く始末だった。差し出された木のおもちゃに狂喜乱舞したゴブリンの王よりココは神と崇められる。そしてゴブリン達では勝てないブラックファングの弱点を聞き出すことが出来た。
戦闘での解決も可能だが、〈交渉〉により戦闘の回避をすることも出来るというd20らしい遭遇で、3.5版時代にあった”スフィアパイクの扉”のリプレイでの印象が強烈だった事もあり、こういう遭遇もあると示せることに意味があると考えている(とはいえ〈交渉〉特化で何でも解決出来ると思い込んでしまうのは危険だが)。





9.呪われた墓所
「崖の上には公共の墓場らしく、墓石が立ち並んでいたようだが今ではそれらは朽ちて掘り返され、到る処に散らばっている。そして暗闇の奥からは微かに響く骨を打ち合わせるような音と風の音が響いてくる」
 〈登攀〉が苦手なココがレヴィテートのポーションを使い崖の上へと昇ると、難所となるダメージ減少/殴打持ちのスケルトンが待ち構える墓地へと出る。ここでどうするかという話になった為、プレイヤーに自分のキャラクターシートをよく見るように促したが、ファングが殴打も可能なヘヴィ・シールドに、グレルタンが持ち物にあった聖水とエネルギー放出によるダメージに気が付いた迄は良かったのだが、流石に武器を交換(意図的に殴打武器であるクオータースタッフやスリングを持っているのは戦闘能力の弱い別のキャラクターにしてある)迄は思い至らなかったか…その為かなりの苦戦をする事となった。
因みにダメージについては持ち替えする価値があるかどうか疑問があったが、スケルトンに対してグレートソードが2d6、クオータースタッフが1d6+5と考えれば。


10.ドラゴンの巣
『曲がりくねった階段は古い床に達しており、細かな瓦礫の破片が床に散らばり、天井には大穴が空いている。向こうの部屋には、金貨と高価な小物が山と積まれており、きらきらと輝きを放っている。君達が動き出す前に視界を遮るかのように黒い巨体が姿を現し、唸り声を上げる。
その黒く長い牙から滴る液体は床に落ちると同時に燃える音と煙を上げた。』
 洞窟の最深部で待ち構えているのは本来大型のブラックドラゴンだったが、人数による難易度調整の結果とイラストの再現、持ち合わせのフィギュアの中に大型のブラックドラゴンが無かった為、超大型ブラックドラゴン(但しデータの調整は無し)を登場させた。
パーティーも直前に休息(と泉の恩恵の再獲得)を済ませ準備万端であった為、早速戦闘の火蓋が切って落とされ運良くドラゴンがイニシアチブで1を振り、イズミが背後に回り込んだ迄は良かったが、ココのカラー・スプレーはセーヴされ、ドラゴンスレイヤー(これで1回でもダメージを与えればドラゴンは撤退する)を持ったファングの出目が悪く、その上丁度直線上にファイター3人が並んでしまいブレスで危うく一掃されかける。
しかし、背後に回り込んだイズミの出目が走りhpを削り、最後には倒れた状態でのファングの剣がゴブリン王から聞いていた弱点の柔らかい腹部を深々と突き刺しドラゴンに止めを刺した。
因みにこの戦闘は普通に全滅も有り得るが、それはその時でそういうものだと考えて問題無いだろう。

 この後、時間に余裕があった為、財宝の計算(各キャラに1000gpが行き渡る程度の収入)と各キャラをレベルアップさせたが、この辺は予想外だったとはいえ早見表を作っておけば良かったか。


ex.ゴブリンの襲撃
 マグニマール(最寄りの大都市)でマジックアイテムを売り払ってからサンドポイントへと戻ると、町より火の手が上がっているのが見えた。一行が慌てて町に戻ると、ゴブリン達が町に火を放っていた。

 
 
 

 という訳でボーナス遭遇だが、実はとあるシナリオの冒頭の遭遇でもあった。いかにゴブリンとはいえ数が多く、しかも増援が押し寄せて来る為終わりが見えない長く苦しい戦いだったが、1人も欠けることなくボスであるゴブリン・ヒーローを倒して撃退することに成功した。
途中ファングが魔法の剣を使っていると狙われると思ったようで危機的状況になるまで使わないという状況があったが、それも面白かったかも知れず(一部そういう動きをするように考えてはいたが)。

 場所の不自由さ(立地は良いが駐車場が高く、完全飲食禁止は矢張り厳しい)はあったが、年始のセッションとしては手応えも良く、時間に余裕を持って終了する事が出来た為、幸先の良い始まりとなったと思う。

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