2016年3月28日月曜日

2016年03月の幻想TRPGの話。:Pathfinder Module 『屍肉ヶ丘 -SC edition-』

今のうちでなければ参加する暇もなくなってしまうのと、クトゥルフ神話といえばPathfinder RPGということで、幻想TRPG主催のクトゥルフ”もの”オンリーコンに参加を表明し、無事立卓することが出来た…我々は一向に公式シナリオですが?
しかし、流石の人気ジャンルというべきか2部屋が全て埋まる幻想TRPGとしても最大級の10卓ほぼ満席での開催…は良いのだが、クトゥルフ神話RPGじゃない卓は研修室ではなく会議室の方へ廻されてしまったのが残念と言えば残念だった。快適さはさておき、こちらの卓の最大の武器は見た目の豪華さであり、その辺りで何人か興味を持って貰えれば御の字と考えていただけに。

面子は以下の見慣れた面々。ただ、今回は特殊ルールを導入した為そちらの方が有り難かったが。
プレイヤー名前種族クラス
ひろくんフィオールストリックスファイター(両手武器使い)/レンジャー(罠使い)
ルツェルン・ハンマーを振り回す飛行奇襲兵。
Gataフリッツ人間パラディン(野蛮への誓約)/ブラッドレイジャー
"自治領の目"と呼ばれる組織に所属する"狩人"、"人喰いの鉄槌"(オーガ・ハンマー)と呼ばれる奇怪な武器を使う。
2xxPアガスティア人間ウォープリースト(イローリ)/ブラッドレイジャー
ファルカタを手に戦う戦闘僧侶。(色々な意味での)パーティーの交渉役。
伊和ウィリアム人間レンジャー(都市/案内人)
プレロールドの弓レンジャー、キャリオン・ヒル出身。
waizラージャナガジドルイド(ナーガ熱願者/メンヒルの碩学)
ナーガ神ナリニヴァティを信仰していると嘯く蛇人間…イグでは? 今回の狂気枠。
makkouリーガンハーフオークウィッチ(傷の呪医/呪術交信者)
奇妙な仮面を被ったウィッチ・ドクター。
…前衛クラスに1レベルだけブラッドレイジャーを追加する奴はd20の平均出目が5になればいいのに。
尚、以下はPathfinder Module:Carrion Hillに関するネタバレを含みます。また、シナリオは随所変更されています。
0.”腐肉ヶ丘”の伝説
『いあ! ヨグ=ソートス!

奇妙な町、キャリオン・ヒルは長い間、東ウースタラブの沼に囲まれてぼんやりと建っていた。それでもなお、その支配者は何世紀にも渡り何度も変わっていった。少数の不吉な学者と好事家だけが、この丘の元々の住人について知っていた…それは、不浄で下劣な旧支配者のカルト信者達である。

 今朝までは、キャリオン・ヒルの地下の部屋に埋められていた悪夢。それが今、深淵の深みより浮かび上がる。怪物がこの町のねじくれた路地に忍び寄り、通り過ぎた後には破壊と恐慌だけがのこされる。
果たして、キャリオン・ヒルの恐怖を止める事はできるのか?』

 腐肉ヶ丘(Carrion Hill)は有名なH.P.ラヴクラフトの小説『ダニッチの怪』を元ネタとしたシナリオで、公式シナリオのPathfinder Moduleの2本目として出ている辺りにPaizoというメーカーの方針が見て取れる。

 因みに、幻想TRPGでCarrion Hillを扱うのは2回目となる…前回は様々苦い経験をしたが。
 それはさておき、今回はSC edition、つまり正気度ルール追加版ということで各遭遇に正気度チェックを行うようなモンスターを追加した(理由は後述)。更に、折角なので”狩人の武器”、つまりフロムソフトウェア謹製のコズミック・ホラー・アクションことブラッドボーン要素もテスト的に導入してみた。変形したり追加機構のある武器をガシャガシャ振り回すのは浪漫があると思わないか?…こちらに関しては今後運用するにしても、もう少し調整なりアイデアの追加が必要となりそうだが。


1.キャリオン・ヒルへ
アブサロムのグランド・ロッジにて、一行は”呪文の達人”アラム=ゼイ(Aram Zey the Master of Spells)に呼び出され、ウースタラヴに於けるパスファインダー・ロッジの建設予定地としての検分に加えて、奇妙な藤色の建材ミッドストーンの調査を依頼される。
現地案内人として腐肉ヶ丘出身のウィリアムとキャリオン・ヒルへと向かったまま行方不明となった同僚を捜す騎士フリッツを加えた一行は一路キャリオン・ヒルへと向かう。
辺境の都市にしても度を超えて閑散としており、タウン・クライヤーによる市長からの呼びかけを聞いた一行は、市長が棲む王冠屋敷(Crown Manor)へと向かう。門番をしていたカラスと呼ばれる黒装束の衛兵に連れられヴァントン=ヘグリー市長(Mayor Vanton Heggry)の前へと通される。市長は一行にこれまで備えてきた城壁の外からではなく、町の中に蠢く脅威がキャリオン・ヒルを襲い、町は混乱の極みへと到りつつあると告げ、その助けを借りたいと一行に依頼する。

一行はミッドストーンの調査も条件としてこれを承諾し、まずは最初の事件発生場所であるスリッパ・マーケットへと向かうことになった…実は数名シナリオプレイ済みのプレイヤーが居る為、滞りなく話が進む。
スリッパ・マーケットの通りはロープで仕切られ、土砂降りの雨が降る中で衛兵達が調査を続けていた。破壊され尽くした建物の向かいに描かれた奇妙な模様をリーガンがヨグ=ソトースのものであることに気が付き、更に死体の多くが巨大で怪力を持つ何かによりねじ切られていることを知る。向かいに住むトリッグが辛うじての目撃者だったが、彼はフライリーフの常習者であり幻覚を見たものとして扱われ、破壊された住居の持ち主であるマーシャン老には時折訪れる町の外の友人を除いては親しい者もおらず、調査は行き詰まっていた。
粘液と悪臭まみれの室内に頑健セーヴに失敗したラージャが気分を悪くしたものの、一行は破壊された家屋へと踏み込み調査を開始する。室内には天文学や彼方の領域である”闇の綴織”に関するものが散見し、いずれも破壊に巻き込まれ閲覧不可能となっていた。
屋敷の奥に乾いた粘液まみれの隠し通路を発見した一行は地下へと足を踏み入れ、古代の地下墳墓へと到着する。エイローデン信者の古タルドール人のものである地下墳墓の奥には、何者かが潜む壊れたドアがあったがフリッツがこれを開き、襲い掛かって来たシャドウ・ハウンド(データはウォーグのものを使用)とダーク・クリーパーを返り討ちにし、事情を聞き出す。しかし、巨大な触手が通っていったという他に大した情報は得られず、一行は階段の続く更に先へと進むこととなった。

 ここで時間となり昼食。久し振りに近くのカレー屋へと行き、その後で洋菓子店を物色するという幻想TRPGコンベンションならではの恒例行事を済ませて、午後からの再開に備える。


2.”闇の綴織の怪物”との遭遇
  延々と(800 feet)地下へ伸びる階段の先には、教会の大聖堂を思わせる奇妙な空間が広がっていた。光を放つキノコや苔が壁面を覆い、100フィートはあろうかという天井迄届いている。洞窟の西半分には崩れた柱や瓦礫の塚が点在し、東の中央にはキノコと骨と瓦礫から成る塚があり、その頂上には石の祭壇が置かれ、周囲は葉の無いねじれた大樹により囲まれていた。大樹の枝と祭壇の側にはそれぞれ死体があり、祭壇の上ではグールが一行に背を向けてそれを貪りながら奇妙な魔道書を読み漁っていた。
一行がグール”ヤレーシュ”に声を掛けると、ラージャの”魂の感覚”が非実体状態のクリーチャーの気配を感じ取る。直後、ヤレーシュの背後に巨大な怪物が現れ、4本の鉤爪でヤレーシュの身体を引き裂く。そして”闇の怪物”の姿を目の当たりにした一行は正気度判定を行うが、ラージャがセーヴを落とすも僅かに正気度を失うに留まる。今回のセッションでは敵のボスと目標の奪い合いを行い、このように特定の遭遇に”闇の綴織の怪物”、つまりクトゥルフ系モンスターが奇襲をかけてくるようになっている。
ファルカタによるクリティカル・ヒットがガグを捉えるも、反撃の全力攻撃でアガスティアが死にかけ、フィオールの全力攻撃もあと一歩及ばず、魔道書を奪い逃走しようとするところにフリッツのハンマーが叩き込まれ、ガグは倒され、一行はナコト写本(の写し)を入手した。しかし、残念ながら難解な文章の多くを読み解くことは出来ず、偏った秘術呪文が記載された魔道書という程度の認識に留まった。

 祭壇の上にあった死体は地上の家の持ち主であるマーシャン老人で、もう1つの死体はその友人パスカーウェルのものであった。


3.最も古き守護者達
 一行が地上へと戻ると、キャリオン・ヒルの路上では恐慌状態に陥っていた。衛兵達は略奪や暴動を起こしたり、家財道具をまとめて町から逃げだそうとして馬車屋や馬屋に押しかけたりする住人達を防ぐことで手一杯となっており、一行には到底手を貸せない状況に陥っていた。

 屋敷へと戻った一行に、ヘグリー市長は再度この町を救うように懇願し、彼のアドバイザーであるマーグリック=ショートストーン(Margrick Shortstone)の手を借りてナコト写本の解読に取りかかった。そこから判明したのは”最古の守護者達(Keepers of the Oldest)”と呼ばれる集団が人類の来たるべき終末を回避する為に”闇の綴織の落とし子”と接触し、禁忌の魔術と知識を得ようとしたことと、その儀式を行った術者を”闇の綴織の落とし子”が喰らうことにより、恒久的なゴラリオンへの顕現と侵略を可能とすること、そして最古の守護者達には地下で死体として発見されたマーシャン老人、パスカーウェルの2名が含まれていることだった。

 生き残っている守護者のリストには精神病院の院長ワルダー=クローヴ(Waldur Crove)、キャリオン・ヒルの歴史と伝統の権威であり、毒と麻薬の売買に関わっている噂がある賢者アーレンド=ハイヴ(Arlend Hyve)、そしてミッドストーンの製造元である豪商ラップマン=マイヤ(Rupman Myre)の名があり、ミッドストーンについての調査を行うついでということでまずは豪商マイヤの工場へと向かうこととなった。


4.ミッドストーン工場の真実
不潔地区の北の川沿いにあるマイヤの屋敷兼工場”ラップマンの貯水槽”は、昼夜を問わず稼働して河に異臭のする排水を垂れ流していた。呼びかけにも反応しないため、二手に分かれて強引に押し入ろうとすると蒸気と悪臭の立ち籠める工場内では、ゾンビとスキンスティッチが不休の労働に勤しんでいた。絶妙な位置にいたゾンビをリーガンがライトニング・ボルトで一掃し、侵入者を排除すべく行動を開始したスキンスティッチのほつれた縫い目から顔を覗かせたコックローチ・スウォームに気が付いたラージャがファイアー・ボールでスウォーム諸共スキンスティッチを焼き払う。
しかし、イリューソリィ・ウォールの向こう側で様子を伺っていた守護者マイヤがブラック・テンタクルズを放ち前進していたフィオールが囚われる。しかし、部屋の角から湧き出てきたティンダロスの猟犬が襲い掛かり、壁の向こう側よりマイヤが這い出してくる。次いで近くに湧き出した猟犬を直視した為にセーヴを落とし狂気表送りとなったフリッツだったが、結果が「恐怖に凍り付く」だった為にパラディンの耐性でこれに耐える。
そして、マイヤへと肉薄したアガスティアがファルカタを叩き込んで絶命させたことで生贄を貪ることに失敗したティンダロスの猟犬達は憎々しげな表情を浮かべて消え去り、後には破壊の限りを尽くされた廃墟だけが残された。

 マイヤの机にはミッドストーンの製造法を記したレシピがあり、工場内の箱にうんざりする程詰め込まれた腐肉ゴキブリと泥と砂利を混ぜたものだということが判明した。更に、お約束というべきかマイヤは手記を遺しており、そこにはキャリオン・ヒルの地下には最初に発見した地下墳墓の先にあった”日の当たらぬ木立”のような地下空間が数多く残っており、一旦は呼び出した存在より得られる人知を越えた知性との接触に興奮を隠しきれぬ様子だったが、旧支配者がそこを通る限り何処であろうと逃げ場はないという悲観的なものに変わっていっていた。


5.エイローデン寺院の廃墟
一行がエルム通りの教会へと向かうと、そこは先程迄何者かが居たらしく、まだ暖かい食事や火の灯ったランプが置かれていた。寺院内を探索して地下への入り口を発見した一行は、ハイヴが毒の使い手であることを警戒してディレイ・ポイズンを準備して地下へと乗り込む。
ハイヴの影を追いかけて地下洞窟の先へと急いだ一行だったが、フリッツとリーガンが足を取られ狭い通路を滑り落ちそのまま地底湖へと滑落、小島に集っていたリーチ・スウォームが獲物が水面に落ちた音に反応して殺到した。更に、地底湖の入り口にはヴァイオレット・ファンガスが多数群生しており、後続の面々も足留めを喰らう。
だが、強力な毒を持つヴァイオレット・ファンガスも毒が効かなければ大した脅威とはならず、アガスティアが次々刈り取り片付け、地底湖に落ちた2人も何とか這い上がりスウォームはラージャにより焼き払われた。

 ラージャの感覚に反応があり、奥へと逃げたハイヴの周囲に奇妙な皺だらけの人型の怪物が出現する。それは次元界の人さらいディメンジョナル・スランバーで、ハイヴを次元転移によって連れ去るべく捕らえようとする。だが、ウィリアムの射撃とフィオールの攻撃がハイヴを絶命させこれを阻止、空鬼達も手ぶらのまま消え去っていった。

 蛭が集っていた中央の島にはカラスの鎧を纏った死体が転がっており、"Moonlight"と銘の打たれた+1アベレーション・ベイン武器を持っており、ウィリアムがこれを手にした(元ネタはデモンズソウルのアレ)。


6.精神病院での決戦
 一行が町の東側の丘に立つ守護者達の創設者であるワルダー=クローヴの精神病院へと向かうが、正面の玄関は鍵がかかっておらず、内部もまるで何者かを導き入れるかのように特定の扉だけが開かれていた。一行も導かれるままに地下へと進み、階段を下りると今まさに敵を迎え討つ準備の真っ最中だった守護者クローヴと鉢合わせする。

精神病院の患者や看護士、モーロックやデロの拷問士、更には行方不明となっていたフリッツの同僚、洗脳により堕落したアンティ・パラディン”堕ちた狩人”を一行へと差し向ける。守護者クローヴのフレイム・ストライクで窮地に陥り、マスケット銃と一体化したランスの攻撃を受けてフィオールが行動不能になりかけるも何とか持ち直して”堕ちた狩人”はウィリアムのクリティカルによって絶命、守護者クローヴもアガスティアによって止めを刺され、敵の到着前に守護者達を全滅させることに成功した


 そして、守護者の気配を嗅ぎ取りミ=ゴを伴って現れたヨグ・ソトースの落とし子だったが、クローヴの仕掛けたディセクレイトによって不可視能力を剥ぎ取られ、待ち構えていた休息を終えた一行により止めを刺され、ここにキャリオン・ヒルを襲っていた脅威は消滅した。

 全体の感想としては、クリーチャー撃破で回復出来る仕様だったこともあり思ったより狂気に陥ることが少なかった。この辺りは次回あるとすれば要調整か。

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