2016年2月29日月曜日

2016年02月の幻想TRPGの話。:Pathfinder Society Scenario#7-05『精霊達の学園』-School of Spirits

幻想TRPGコンベンションへの参加は久方振りで、実に2015年04月以来となる。何があったという訳でもないのだが、強いて言えば此方迄手を伸ばす余裕が無かったと言うことになる。今回は低レベルながら傑作(この時点で公式掲示板の評価が★5未満にならない)との噂に高いSchool of Spiritsで募集を掛け、無事立卓することが出来た。

 今回の面子は以下の通り。珍しく初対面のプレイヤー2名を迎える事となった。
プレイヤー名前種族クラス
みずのサドクハーフオークファイター(武器の達人)
プレロールドのグレートアックスを振り回す戦士。出目は悪くない。
KSアラゴルン人間レンジャー(都市/案内人)
プレロールドで弓使いのレンジャー。出目に恵まれない。
waizロリィンハーフエルフシャーマン(霊線細き者)
浮遊霊を連れた男の娘。
makkouモーガンドワーフウォープリースト(鍛冶神官)
ドワーヴン・ドーン・デルガー(古代ドワーフ武器の鉄球)を振り回す神官戦士。
Gataメジュリーヌティーフリングウィッチ(呪術交信者)
正のエネルギー放出を使うウィッチ…だったが、敵との相性が。
尚、以下はPathfinder Society Scenario#7-05:School of Spiritsに関するネタバレを含みます。また、シナリオは随所変更されています。
0.開始前の色々と冒険の背景
 今回は事前に初心者2名が参加するということを聞いており、それ向けのあまり複雑ではないプレロールド・キャラクターを作成して参加したのだが、プレイヤーの方より秘術系の術者が欲しかったという注文を受ける…その辺を用意してなかったのはまあこちらの落ち度だが、こちらの卓ではその辺りの意見調査も含めて掲示板でのやり取りを必須としている。

シナリオ自体は協会シナリオということでそれほど時間が掛からず、初心者が2名いるということで世界観の説明を交えながら基本的な部分を説明していたが…いい加減、新派閥に関して読み込みをせねばならない(一応基本的な部分は把握しているが)。

『7年前、古代のサラマンダーのルビーの指輪を求めてアブサロムの崩壊した危険区域へと立ち入ったパスファインダー達はそこで見知らぬ生存者を救出した。
その後、彼女は成長し、パスファインダー達が彼女を発見した学園の廃墟に結びついた反抗心を示すようになった。彼女の家族はパスファインダー協会に連絡を取り、彼女が水没区画に帰還するまで護衛を行うように依頼した。
君達は果たして呪われた地での難解な謎を解き明かすことが出来るか?』

 実はこのシナリオはPathfinder Society Scenario #6: Black Waters関連の話(なので、実時間でも7年前のシナリオ)となる。その時水没した庭(the Drownyard)にて発見された子供が物語の主人公となる。


1.ドランドル=ドレングの呼び出し
パスファインダー協会の任務で重要な遺品を密輸しているアスピス財団の商人を追っていた一行は、彼らの拠点の1つである港湾区埠頭の倉庫へと踏み込んだ。猟犬を連れた人さらい達をアラゴルンが《速射》で射貫き、邪魔な箱をものともせずザドクが次々と敵をなぎ倒し、首領を倒したところで残敵も降伏して戦闘終了となった。

その直後、アンドーランの青い軍服の一団が逆側の扉より踏み込んでくる。彼らは協会の”自由の刃(Liberty Edge)”派閥の兵士達であり、その隊長で派閥のリーダーでもあるコルソン=マルドリス少佐(Major Colson Maldris)は一行に状況の説明を求め、一行は目的の物品を回収し、彼らは奴隷達と商人の持っていた書類を回収するということで互いの利益が合致し、任務を終えることとなった…この辺りはプレイヤー達のゴラリオン知識が乏しい事に合わせて入れたが、まあそこそこ効果はあったか。
 埠頭の騒動を報告し終えた一行は、協会のヴェンチャー・キャプテンの1人であるドランドル=ドレングより「正装で出頭せよ」との唐突な呼び出しを受ける。年老いたライオンの如き印象のドレングは、着慣れぬ青と緑の軍服に袖を通しながら一行を見て、多くが満足な正装を持っていないことを嘆きながらも戦績勲章と諜報勲章が付いた軍服に袖を通し、一行を急かすドレングは、道すがらこれから会う高貴なる夫人と依頼について説明する。

 シェリアックス人の貴族ミランダ=ダッキレーン夫人(Lady Miranda Dacilane)は、18年前(AR4698、ゴラリオン暦は年代が西暦の下2桁と合致している)にアブサロムで起きた地震により当時11歳の一人娘を失った。しかし8年前、彼女は現在では危険区域(Precipice Quarter)と呼ばれる崩落した地区の”水没した庭(the Drownyard)”にあった遺跡、AR300頃の古代共同墓地にて11年前の姿のまま発見された。これには着用者の生命活動を停滞させるルビー・サラマンダーの指輪が関わっており、彼女は幸運にも生き延びることが出来た。それ以降夫人は危険区域を探索する為のパトロンとなり協力してくれていたが、今年はその協力維持の為の契約更新に新たな条件を追加してきた。それは夫人の一人娘ジュニア(Junia)を”水没した庭”へと案内し、彼女の護衛を行うことだった。

また、夫人との面会の間、”水没した庭”のことをかつての学園名”三塔の庭(the Tri-Tower's Yard)”と呼び、地震による悲劇の記憶を呼び覚まさないように一行へと注意した…この辺りは時間経過がややこしい為プレイヤーに若干混乱を招く表現となってしまったが、整理するとこのような感じとなる。


2.ダッキレーン夫人の依頼
花弁区画にあるダッキレーン邸に到着した一行が中年ハーフリングのメイド長ベティーナに案内され応接間で待っていると、赤い縞の入った黒いガウンを身に纏った長身のダッキレーン夫人が姿を現す。彼女は唯一の装身具である首から掛けた飾り気の無い銀製の逆さ五芒のネックレスを誇らしげに指でなぞるとその手をドレングへと差し出す。ドレングは恭しく一礼するとその甲に接吻、タルドール流の挨拶をしてから危険区域での協会の活動支援に対する結果を報告した。

 物憂げにそれを聞いていたダッキレーン夫人は報告を聞き終えると彼女の本題を切り出す。夫人曰く、既に数度ジュニアは家を脱走して危険区画へと向かおうとしており、その度にその試みは阻止されていた。彼女は最近18回目(「29回目では?」というツッコミを受けたが理由は先にも言った通り)の誕生日を迎え、自身の悲劇にも立ち向かわなければならないということで夫人は一行の同行の下で危険区域にあるジュニアにとって思い出の場所への立ち入りを1日だけ許可したのである。

 一行が夫人に案内されて廊下へと出ると、そこには長身で短髪の些か発育の宜しくない、少年と見紛うようなジュニアが控えていた…まさかのキャラ属性被りである。。彼女がイーグル・ナイト風の衣装と隊章を身に付け、自身を「ジェイ(J.)」と名乗り、踵を鳴らしてアンドーラン軍人のような敬礼をするのを見て夫人は客人の前でのジュニアの恥知らずな真似に冷たい一瞥を向けると、声一つ掛けずに出て行った。そしてドレングも一行に”三塔の庭”の鍵を預け、また現地にはパスファインダー協会の用意した箱があると説明し、トラブルが起こったならば利用することと説明し、グランド・ロッジへと帰っていった。


3.ジュニアの秘密
 憧れのパスファインダー達と冒険出来ると知ったジェイは急ぎバックパックを背負い、真新しいククリを腰に差すと、軽い足取りで家を飛び出し一行に様々な質問を投げかけながら先んじてアブサロムの街中を突き進んで行った。

 被災による精神的なトラウマ、10年間を眠りで過ごし、また救出されてからも主な時間を屋敷の中で過ごしたことで些か子供っぽい部分が目立つジェイは危なっかしい部分が多々あり、サドクが諫めようとするも一歩遅く、港湾地区でシェリアックス軍の海兵達にぶつかってしまう。
海兵達はジェイをイーグル・ナイト見習いと勘違いし、脅かそうと手を挙げるがその時、ジェイの身体から幻影のような腕が伸び、開閉の腕を掴んだ。動揺した海兵にロリィンがダッキレーン夫人の名前を出すと、海兵達はこの場の事を起きなかったこととして扱うよう思い直し、足早に去って行った。そして、一行改めてジェイへと向き直ると、ジェイはスピリチュアリストの能力を持っていることを明かし、自身のファントムであるグリシャンの姿を一行に示した。

 グリシャンは自己の意志を持っており、その他多くの事情に関しては専ら彼が語ることとなった。グリシャンはかつてのジュニアの友人であり、地震が起こった時に2人ともう1人の友人カシェルは当時の遊び場であった地下墓地へと閉じ込められ、そこで他の2名は飢えと渇きにより死んだ。先に命を落とし、生者への恨みと墓場の瘴気により歪んでしまったカシェルからジュニアを守る為にグリシャンは彼女の守護霊となり、そうして10年が過ぎた。実は危険区域へ行く事を望んでいるのはグリシャンの方であり、彼はそこにある”魔法植物園(Arboretum Arcanis)”に大切な何かを隠しており、それが自分の失われた記憶に繋がっていると確信していた。


4.ベルドリンの魔法植物園
ベルドリンの魔法植物園(The Arboretum Arcanis of Beldrin )は、崩落した崖がすぐ側まで迫り、地震によって暴走した魔法装置により紫の雷が飛び交い、酸の雨が降る危険区域の中ですら一際危険な場所となっていた。
錆びた鉄門を開けて一行が中へと入ると、ねじれた木の生えたロビーに出る。木の陰から這い出してきたマンドラゴラの家令ピップ(Majordomo Pip)はこの先へ進む為の通行量として血液の提供を申し出たが、一行が拒否した為に戦闘となる。

 先手を取ったアラゴルンがマンドラゴラを捉えるも、倒すには到らず叫び声のセーヴを落として吐き気がする状態に陥った上にピップの隣で隠れていたクイックリングの決闘者に殴られる。更に、ねじれた樹木の表皮に擬態していたコックローチスウォームが動き出し一行へと襲い掛かる。しかし、サドクがクイックリングを両断し、モーガンの鉄球がピップを粉砕して戦闘は終了し、コックローチスウォームもメジュリーヌが焼き払った。

 隣の温室には魔法のポーションの効果を持った植物がありモーガンが試しに口にしてみたが、ひどい味で不調状態となるため使用を断念して次の部屋へと向かった。
最深部は温室になっており、奇妙な人型の植物が木製の鍬を片手に土を耕していた。ゴーランのカーヤ(Khaya the Ghoran)は明らかに正気を失っており、一行を新たな庭師だと思い込んでおり、今迄放棄されていたことに文句を言いながら近寄ってきたがロリィンによる〈交渉〉の末、一行をアブサロムの政府の者と思い込み、今後の待遇改善と次の苗が育つ迄彼女の作業(新たなゴーランの苗を育てる。育つと彼女は死ぬ)を邪魔しないことを引き替えにこの部屋の探索を許可し、部屋にあった赤いライオンの噴水に隠してあったグリシャンの秘密のメモを回収した。

 メモには、アブサロムに集う地位有る子息達の学院”三塔の庭”にアンドーランのスパイとして潜入したグリシャン=マルドリスの報告が書かれており、その中にはミランダ=ダッキレーン夫人の好ましからざるスキャンダルやオシーリオンの王族の子が漏らしたファラオの墓の発掘時期、更に自らの父が革命の混乱中に身元を詐称した圧制者であり、兄もそのことを既に知っていたという事実に打ちのめされる様が書かれていた。

 自身がスパイであるという事実を思い出したグリシャンだったが、ジェイがこれを受け入れる事で彼と和解し、依然としてグリシャンはジェイのファントムとして変わらぬ友情と共に彼女を護ることとなった。


5.”水没の庭”
次いで、ジェイの希望でかつての”三塔の庭”の廃墟へと向かった一行だったが、パスファインダー協会の紋章が入った用具入れの鍵が破壊され荒らされているのを発見する。非常用の黄色い箱の中身だけはそのまま放置されていたが、中身が懐かしの霊障吸い取り器(Haunt Siphon)であることを知ると経験者であるロリィンとモーガンが露骨に厭な顔をする。
そしてかつてジェイ達が使用していた教室へと入ると、突然地面が揺れ始め、外が暗くなり始める。ゴーストじみた生徒達が我先にと部屋の外めがけて走り出し、天井の梁が落下する霊障”見捨てられた生存者”が発生してセーヴに失敗したアラゴルンが押し潰され、更に瓦礫の間に転がっていたスケルトンが起き上がり、一行へと襲い掛かるがメジュリーヌのエネルギー放出によって霊障ごと退散させられる。
最後の部屋、8年前にジェイが発見された古代地下墓地には、憎悪の末にドレッド・レイスと化しつつあったかつての友人カシェル=マーリンチェン(Cassiel Marlinchen)と彼女によって殺された盗賊、そして自身の犠牲者の成れの果てであるエクトプラズミック・チルドレン達が待ち構えていた。

 カシェルを見た途端に謝罪の言葉を繰り返しながらうずくまり動けなくなったジェイを護るようにグリシャン共々「また友達になろう」と手を伸ばすが、それをロリィンが遮り、ジェイの後悔や謝罪を代弁し彼女の説得を試みた結果、援護と幸運に見舞われてカシェルを改心させ思い留まらせることに成功したが、他のアンデッド達はカシェルの支配から外れてしまい戦闘に突入する。
しかし、カシェルの他はさしたる敵もおらずあっさり片付いたのを見届けると恨みの消えたカシェルは成仏し、他の犠牲者達も後に続いた。


6.最後の別れ
無事に生還し危険区画から出た一行を、コルソン=マルドリス少佐が待ち構えていた。彼は一行がジェイを伴って危険区画にある”水没の庭”へと向かったのを聞き、一行がグリシャンの秘密文章を入手したのではないかと踏んでいた。単刀直入に尋ねる少佐に対して、一行は内容を見ていないと宣言した上で文章を少佐に渡した。そしてグリシャンはジェイの口を借りて兄へと別れを告げると、呆然とする少佐を置いてその場を立ち去った。

 シナリオとしては評判通りで申し分無いのだが、早廻しの弊害で若干尺が余ってしまった為、最後の戦闘かその後に追加しておけば良かったと後悔(結局MOWで時間を潰したが)。

 また、プレロールド・キャラクターに関して言えばファイターとはいえ取りうる手段が多く計算も複雑で扱い易いとは言い難い上にビジュアル的な面でも実利的な傾向が強く、もうちょっと受け入れやすいキャラクターを作っておくべきだったと反省する。
あと、そろそろ新人勧誘向けのクラス紹介サマリーも更新したいところではある。

 セッション終了後には久方振りに幻ラジオに参加してきた。疲労が色濃かったこともあり余り呂律が回らない状態だったが、DAC東北の話題も含めてまあ話したい事は大体話せたと思う。

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