2015年4月13日月曜日

2015年04月の幻想TRPGの話。-Pathfinder Society Scenario『アブサロムの奴隷船』

最近めっきりご無沙汰の幻想TRPGコンベンションだが、というのも新体制になってから毎回10前後は卓の立候補があり、そうなると参加希望者の少ないルールである此方としてはなかなか立卓出来ない環境が続いていた。
しかしながら、今回は折良く参加希望者が集まり、以前に惜しくも立卓しなかったシナリオをやっと遊ぶ機会が得られた。

今回の面子は以下の通り。今回も準備していたプレロールドキャラクターのアーチャーは選ばれず…ただ、基本的に戦場が狭いシナリオなので、活躍出来たかどうかは怪しいが。参加者はいずれも数回程度の経験があり、サポートにwaiz氏が入ってくれたこともありGMとしても存分に楽しむ事が出来た。
プレイヤー名前種族クラス
こおりブルート=ヴルツェル人間パラディン
プレロールドの少し気弱な人間の青年パラディン。パスファインダー協会に出会いを求めることは間違っているのだろうか?
Gataラス人間モンク
下の名前はプーチン。巨大化しながら殴るモンク。
いたち姫ヌレバティーフリングスレイヤー
黒。低い魅力故に世を拗くれた目で見る担当。その所為か観察学習をよく忘れる。
waizジャン=ルイ人間クレリック
プレロールドのデズナ信徒のクレリック。高い機動力とACを活用して壁となる予定だったが…名前がフラグか。
PONフォルモーントハーフエルフソーサラー(荒ぶる血統:賢者)
名前は満月の意を持つ、マジックミサイル・ワンドに全てを賭けるプレロールドのソーサラー。
尚、以下はPathfinder Society Scenario#06-05:Slave Ships of Absalomに関するネタバレを含みます。また、シナリオは随所変更されています。


0.導入とシナリオの裏側
 今回は程々の余裕で相変わらずの引かれるレベルの荷物を持って会場入りしてセッション準備を開始する。参加する面子からしてPathfinderを何度か遊んだことがあるプレイヤーばかりなので基本的な部分、所謂内海地域五派閥+1(現在進行中の第六期の派閥名称は大きく異なるが、現在でも中核は五つの国+グランド・ロッジ&シルバー・クルセイドだが)と神格の話題を多めに盛り込んで説明を行う。

最終的に断片だけ覗かせたが、今回の冒険の背景は以下のようなものだった。
『3年前、当時のカディーラ派閥のリーダーであったパシャ=ムーヒア=アル=ジャカリ(Pasha Muhlia Al-Jakri)はタルドール派閥の指導者ジャコー=ダルシネ男爵(Baron Jacquo Dalsine)と協会の不可侵協定を超えた敵対関係にあった。それは、タルドールに潜伏していたサーレンレイの司祭であったムーヒアの妹がダルシネ男爵のいとこであるカルフォン=ダルシネが画策した殺人事件の被害者となったからである。
 アブサロムと他の派閥による影戦争の勃発により、ムーヒアは復讐を断念せざるを得ず鬱屈した日々を過ごしていたが、”ハオ・ジンの綴織り”の事件に協会が没頭し始めると、協会と対立関係にあるアスピス財団との関係を築き始めた。
やがて、シェリアックス人の召喚術師であるタンクレッド=ディシマイア(Tancred Desimire)の兄弟であるアグローン=ディシマイア(Aglorn Desimire)と懇意になったムーヒアだったが、協会によるアグローンの死へタンクレッドと共に復讐を誓い、そのタンクレッドもワールドウーンズの戦いで死に、何もかもを協会によって奪われたムーヒアは協会への復讐を固く誓い、深く静かに潜伏していった。

訓練されたスパイであるムーヒアは、確実な復讐の為の第一歩が確実な情報収集にある事を熟知しており、またアスピス財団との繋がりにより、豊富な資金の後ろ盾を得て水晶球を用いた覗き見を行っていた。悪名高いオケノ海賊のワヒーダ=ワーダック(Captain Waheeda Wardak)と手を組み、意志の弱い奴隷を監視の対象として送り出すことでアブサロムの高貴なる者達への盗聴を行いながら機が熟するのを待っていた。」

 固有名詞が多いが、基本的にはかつてパスファインダー協会の派閥のリーダーだった女性の裏切りと復讐に関する話である。


1.アブサロムの冒険者達
既に何度も共に冒険をしており気心も知れた集団である一行は、今日も協会の依頼により、盗賊達に奪われた荷物を奪還する為に隠れ家である港付近の倉庫を突き止め、今まさに突入するところだった。という訳で各自の自己紹介をや各種ルールの説明を交えつつのチュートリアル戦闘だったのだが、思った以上に敵が弱かった為に肩慣らしとしては些か不十分だった気もする。

そして翌朝、協会本部スカイリーチへと任務完了の報告へと向かうと、ヴェンチャー・キャプテンのアンブラス=ヴァルシン(Venture-Captain Ambrus Valsin)が今まさに君達が必要であると言わんばかりに待ち構えていた。彼によると、協会の魔術教官であるアラム=ゼイ(Master of Spells Aram Zey)の友人で秘術学院の学長にしてアブサロム下院議員の1人でもあるマディナミ=ダーチャナ夫人(Lady Darchana Madinani)は、友人が連れているメイドが魔術的に盗聴されていることに気が付き、これを秘密裏に調査して欲しいと依頼してきたとのことである。

アンブラスはこれが協会の後援者になりそうな相手との覚えを良くし、コネを構築するまたとない機会であることを強調し、奴隷(公言はしないが、アブサロムでは所持及び売買は合法である)の持ち主であるシルヴィアナ=ディモラ夫人(Lady Silviana Dimora)とそのメイド長ミラナ(majordomo Milana)、そして夫人の事務弁護士ソルビウス=サルバス(Solicitor Solvius Salbus)の名前を教え、一行を早速仕事へと取りかからせた。

読んで理解る通りこのシナリオは非常に政治や社会問題的な色が強く、力業による解決はどちらかといえば最終手段となる為、戦闘メインでキャラクターを考えて来ていると、色々難しかったようである。個人的にはこういう世界に則した、苦味を伴うようなシナリオというのが兎に角大好きなのだが。

此処で丁度良い時間だったこともあり、昼食となった。更に近所に評判の良いケーキ屋があったので、皆で買いに行き卓が甘味地獄の様相を呈する羽目に(美味かったが)。



2.手掛かりを求めて
まず、最初の手掛かりを求めて高級住宅街である花弁地区(The Petal District)に居るディモラ夫人の元へと向かった一行だったが、夫人は2日前にタルドールへと旅立っており、戻るのは当分先になるとメイド長ミラナより伝えられる。実はこれは、スキャンダルの露呈を防ごうとするダーチャナ夫人の手配によるものだった。メイドに関する話題なら夫人よりもメイド長の方が詳しいだろうとミラナに話を聞くと、〈交渉〉に成功して奴隷の名前がアトラグであり、雇用してから3週間経過していること、雇用にはソルビウス=サルバスという弁護士を経由し、マフシューブ=マフディー(Mahjub Mahdi)という名の奴隷商人より買い取り、既に返品されていることを教えられる。
更に、メイド長からは身分的に奴隷の代金の返金を求められない夫人に代わって、誰か請求してくれないかと言外に要求されることになる。

 次に、商業区画の貨幣区にある弁護士事務所へと向かった一行は、そこでサルバスより夫人から出発前に手紙を受け取っており、一行にミザリー・ロウの奴隷業者の住所と名前を教えた上で手荒な真似はしないようにと忠告する。
ミザリー・ロウ(Misery Row)の”マフディーの奴隷店”へと向かった一行だったが、店の様子がおかしいことに気が付く。店は開いておらず、中から話し声がしていた。ヌレバが〈装置無力化〉で錠前を外して中の様子を伺うと、ごろつきを引き連れた”強請屋”メズクがマフディーを脅しており、そのままではマフディーを攫われる可能性があった為に彼の救出することに。フォルモーントがグリッター・ダストの巻物でメズク達の目を潰そうとするが、抵抗され逆上したメズクにフォルモーントが迫られるが、守りに入ったブルートが勢い余って殴り殺す。しかし結果オーライと残った雑魚に話を聞くと、最近羽振りが良いが後ろ盾を失ったマフディーから金を強請り取ろうとしていたと聞かされる。

助けられたことを感謝し一行へと親愛を示したマフディーだったが、事が件の奴隷の件に及ぶと途端に商売人の顔に戻り、一行に代金を請求する。メズクの装備と財布でこれらの代金を支払い、奴隷はワヒーダ=ワーダック船長という名のオケノ海賊により連れてこられたことを聞かされ、更に誤魔化そうとしていた裏帳簿の存在も看破され、奴隷の代金の払い戻しを請求し、満面の笑みを浮かべながら握手を求めるブルートに対して「ラマトゥーシュに喰われちまえ」と吐き捨てるも、「貴方にアイオーメディの加護がありますように」と返されるという微笑ましい場面もあった。


3.マディナミ=ダーチャナ夫人
情報を揃えた一行が花弁地区にあるダーチャナ夫人の豪華な三階建ての邸宅を訪れると、彼女の財産管理人であるジェミナ(Jemina)の案内でダーチャナ夫人の書斎へと通される。そこで形式的で大仰なやり取りの後、一行から話を聞いたダーチャナ夫人は覗き見の犯人がストーンスパイア島にいることまでは掴んでいたことを語り、またワーダックの船である”海原号”が過去に関税の誤魔化しを行っていること、艤装した船が”カット・シーズン号”であることをを台帳から突き止め、それを盾に監査という名目で船に乗り込む為の裏工作を15分で済ませ、一行に自身の署名が入った委任状を預けた。





4.海賊船”海原号”
 港湾官事務所でハーフリングのリリア=ジンシー監査官(Inspector Lilia Ginsi)へと委任状を渡し、ドワーフの船頭ジギル(Zigil)の案内で一行は沖に停泊中の”カット・シーズン号”へと近付く。雑に塗り潰した船体に書かれた”カット・シーズン号”の文字の下に”海原号”の文字をヌレバが確認し、船上へと上がると、そこには銃を手にした船員とグレート・ソードを持ったハーフオーク、そしてグレートアックスを手にしたノール2匹が慌ただしく動き回っていた。
「船長がお待ちだ」と銃を手にした船員に誘導されるが、お互いに嘘を見抜いていた為に戦闘に突入する。ラスが銃使いこと一等航海士ブレオラン=ベリッティオ(First mate Bleoran Berttio)が銃を構えるよりも早く《朦朧化打撃》で昏倒させて倒し、ハーフオークも沈黙させるが、ジャン=ルイが運悪くノールの斧によるクリティカル・ヒットで受けて危うく死に掛ける…ああっ、ジャン=ルイが! このノールには青いリボンでも付いていたのか…最近流行のアレではなく。
そして甲板の的を片付けた一行は、二手に分かれて下へと降りるが当然待ち伏せており、犬番が引き連れたトロルハウンドに苦戦を強いられる。
更には一旦はトロルハウンドを倒すものの、隠れていたワーダック船長と死霊術使いに苦戦しているうちに再生し復活されてしまう。クイック・ランナーズ・シャツを起動させて《強行突破》で刃をすり抜けて迫る船長によるククリの二刀連撃でラスとフォルモーントが昏倒し、危ういところまで追い詰められるがブルートがハロウ・カードを的確に切り放った”悪を討つ一撃”が船長を捉えこれを撃破、生き残った者達も降参したことで戦闘は終了した。
船長の部屋には固定された火鉢があり、その中には燻る羊皮紙の束が突っ込まれていた。大半は既に燃えてしまい読めなかったが、僅かに残った断片より”ムーヒア”の名を読み取る事が出来た。

 という訳で今回のセッションも無事終了となったが、実はこのシナリオは#6-11: The Slave Master's Mirrorへと続く話なのだが、レベルが高めなのと、どうにもこちらの評判が宜しくない為、続編を遊ぶかどうかは微妙なところである。

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