2012年9月19日水曜日

2012年09月の幻想TRPGコンベンションの話。

 私に関して言えば、ゴラリオンという世界観やパスファインダー協会を含めた様々な設定が気に入っているからこそPathfinderを遊んでいるのであって、ルール的には兎も角(とはいえ変換の手間を考えればこのままが一番楽だし楽しいが)、ゴラリオン以外でPathfinderを遊ぶことはまず無いだろう。ただ、3.5版時代にUrban Arcana(現代+魔術のみんなが大好きなアレ。勿論呪文書はスマートフォン)を翻訳までしながら結局遊べなかったこともありPathfinder Modernには興味が無い訳でもないが。

 前日にも仕事があり準備時間の心配があったが、準備を前倒しにしておくことでこれを解決し、(電磁マシマシを聴いていたので色々遅くなったが)むしろ午前1時前には就寝に入るという普段のコンベンション前日にはまず無い好調な滑り出しだった…今迄については色々な動向を見て貰えれば理解るかと。

 今回の面子は以下の通り。プレイヤー5名うち新規2名、持ち込み2名というなかなか珍しい状況でのセッションとなった。プレイヤーの人数だが、個人的には限度の6名迄居る方が有り難い。というのも人数が増えると確かにマスターの負担も増えるが、その分プレイヤー側の自由度が増し余裕が出てくるからである。
プレイヤー名前種族クラス
ハッピートリガーレギオスハーフエルフパラディン
グレートソードで敵を粉砕するアイオーメディ信徒のパラディン。最終戦闘では常に死にそうだった。
M2Oジーク人間バーバリアン/ファイター
高い移動速度と《一撃離脱》でヒット&アウェイを繰り返す蛮族戦士。しかしセーヴに恵まれず。
Bazzアメリア=ゴディバ人間ファイター
プレロールドの弓ファイターでパーティーの狙撃担当兼観測担当。カウンティングによる的確な敵撃破が光った。
MINEオニキス人間クレリック
プレロールドのサーレンレイのクレリック。後方でこのパーティーを支える担当。
Waizアリシアエルフウィザード(呪文銃士)
持ち込みの通称”弾丸の魔女”…障害物でもぶつけてやれば良かったか。
尚、以下はPathfinder Society Scenario #35:Voice in the Voidに関するネタバレを含みます。また、シナリオは随所変更されています。

 今回は派閥シナリオということで時間に余裕があったので色々充実させてみたが、協会の派閥関連はかなり色々変わっているのを確認した。特に現在は派閥数が5から10に増加しており、過去に何かがあったようでタルドールとカディーラの派閥リーダーは変更されていた。

 まず、一通りの世界観を説明しつつ毎回恒例のチュートリアル戦闘と称してアスピス組合(協会の対抗組織的な商人組合。どちらかといえば死の商人だが)の秘密倉庫に踏み込む場面から開始となる。しかし、問答無用全員一致で「よし潰そう」となる辺りは流石と言うべきか。
敵は密輸人(ローグ)x6、エンペラー・コブラx2、奴隷狩りの弓手(得意な敵:人間のレンジャー)x2、オーガのボディガード(バーバリアン)、アスピス組合の魔術師(力術ウィザード)と戦って貰ったが、オーガの一撃で前衛のhpが半減したところで「これがチュートリアル戦闘かっ!」と悲鳴を上げられる。勿論チュートリアル戦闘である…但しフロムソフトウェア的な意味で。

ただ、確かにかなり厳しめに設定してあるのだがこれは明確な意図があってのことで、というのもハロウ・カードの使い方等はやはり楽な戦闘ではなかなか覚えられず、また手に馴染んでいないキャラクター、互いの手が見えないパーティーにお互いを理解させるには、やはりある程度全力を出せる状況を準備する必要があると感じているからである…とはいえオーガバーバリアンは脅威度詐欺だが。それに一応「この戦闘でのリソースは戦闘後に補充されて、死んでも無かった事になる」と明言していたので多少の無茶が出来るというのもあるが。
戦闘の中盤でアリシアがコブラに噛まれてセーヴを落とし、毒で死に掛けたりしたものの、最終的にオーガをレギオスが《輝ける突撃》を使い肉薄し、オーガからのガントレットによる重い一撃を受けながらも返す刀で切り伏せ、アスピス組合の魔術師もアリシアのマスケットにより撃ち抜かれて戦闘は終了した。
地形については障害物ではなく移動困難で扱った方が面倒も無く楽だったかと反省。

 余談だが、アスピスのゴールドエージェントの絵は独特のタッチで愛嬌と色気がある絵を描く事で有名なCarolina Eadeによるものなのだが、絵師本人も格好が日本の萌えキャラみたいで可愛い、眼鏡だし。

 ここで良いお時間となり、いつものパスタ屋にて昼食。大体いつも通りの駄目な感じの会話を終始していた。


 そして、何とか生き残った一行が報告の為に協会の尖塔へと戻ると、運良く(運悪く?)居合わせたことにより、ヴェンチャー・キャプテンのアドリル=ヘストラム(Adril Hestram)によりブラクロス博物館で起こった家の娘イムリザード=ブラクロス(Imrizade Blakros)の音沙汰が無く、調べに送った警備員も戻らないというトラブルを解決する為に”十人の意志”によって調査へと向かわされることとなる。”十人の意志”(パスファインダー協会に於ける絶対的命令の意)、何と便利な言葉か。
更にパスファインダー協会の意向として「人助けなんてものは衛兵共の仕事だが、稀覯書や遺物を自由に調査研究して良いと言われたので協力することにした」と言い切ってしまう辺りが何とも素敵である。
準備を済ませた一行がブラクロス博物館(実はこの博物館も別のシナリオの舞台となっている)奥にある地下倉庫の入り口に揃ったところでようやっと本編の開始となった。
地下室はまず『第一倉庫』と『第二倉庫』に分かれており、順番通りにということで第一倉庫へと向かうことになった。


・忘れられた記念碑の間
永らく放置されていたと思わしき倉庫の中には、生きたまま石にされたのではないかというような石像群が立ち並び埃を被っていた。その中に一際目立つメフィストフェレスの彫像があったが、これを調べる前にレギオスがディテクト・イーヴルにより部屋の隅にあった生ける石像『ヴードラの寺院守護者』(アドヴァンスド・ガーゴイル)の存在を看破した為、動き出し襲い掛かってくる。

レギオスとアメリアが敵に挟撃されるも、特に危ういところもなくこれらを片付け、メフィストフェレスの彫像の台座に隠してあった巻物はアリシアのバックパックに収まり、寺院守護者の未だ動こうとする石像の破片はアメリアが速やかに回収した。

そして一行は先にあった「写字室」と書かれたドアへと進む。


・写字室
柱と書台の並ぶ書写の為の部屋は、最近迄使われていたらしく真新しいインクの匂いとオイルの匂い、そしてそれ以上に黴と血に溢れていた。南側の壁にはまだ息があるものの、助かりそうにない警備員のフッド(Hodd)が倒れており、その身体は黴に覆われ、酸で焼かれ、更には塞がらない傷からは今も血が溢れていた。

 事切れる様を見守ってから棍棒を取り上げるアリシア、何か無いかと物色し走り書きのメモから様々な”向こう側の領域”に関する単語と、脳を納めるミスラルの容器のスケッチを発見し非常に不安な気分となる。

扉は南と西に繋がっていたが、まずはフッドが逃げてきた隣の倉庫へ。


・古代の倉庫
倉庫に繋がる扉を開けると、振り下ろされる斧の罠に擬態していたデストラップ・ウーズがレギオスとジークを直撃し、更に扉の前で待ち構えていたミイラの絶望のオーラに晒される。
しかし罠による奇襲を免れてしまえばさしたる脅威でもないウーズは間合い内でも機会攻撃を受けないアメリアの射撃とジークの《一撃離脱》により叩き潰され、勇気のオーラを持つレギオスの前ではミイラのオーラも作用せず悪を討つ一撃により1体は葬り去られ、、太陽神サーレンレイの信徒であるオニキスのファイアボールとアリシアの汚物は消毒だと言わんばかりの秘術の銃によるファイアー・ブレスで焼き尽くされた。

 戦闘後、厚く埃の積もった木箱よりジークが古代オシリオンのファラオ系譜図を発見し、これを懐へとしまい込んでいた。

 他に部屋の奥にて黴で覆われた扉を発見して一旦戻るか先に進むかという話になり、まずは別方向から先に進もうかという話になる。


・菌糸の花園
写字室側の扉から「書庫-立ち入り禁止」と書かれたドアを開けると、天井迄届く書棚の並ぶブラクロス家の秘蔵の図書館があったものの、その半分は黴や菌糸に覆われており、更には奥に空いた大穴の近くには異星の植物セレブリック・ファンガスが繁殖していた。

 謎の言葉をわめき続けるファンガス達はブラウン・モールドを盾に相手が近寄るのを待っていたが、ジークが目聡くこれを発見し、アメリアとアリシアの射撃でファンガスを一掃して戦闘を終了。

 部屋を調べると厚く積もった黴の中からイムリザードのバックパックが発見され、更にレギオスがブラクロス家が内海地域で取り仕切っている奴隷や禁制品取引の帳簿を発見し、オニキスもカディーラとタルドール間の国境を越える為に使われている秘密の通商路の地図を入手する。
ここで一旦入り口に戻り、探索していなかった第2倉庫へと向かうことに。


・化石の間
埃の匂いが漂う部屋には、様々な生物の剥製や骨格標本が飾られていた。今度もまずはレギオスがディテクト・イーヴルにより部屋を走査して安全を確認してから踏み込むことに。
その中にはオニキスが探していた古代帝国の装備一式を纏ったドワーフの骨格やアメリアの必要とする高価なネックレスを身に付けた遺体があり、これらを調べていると唐突に黒い風が部屋の中を吹き抜け、その直後部屋の中でも最も大きなティラノサウルスの剥製が動き出し、襲い掛かってくる。
目の前に居たジークが強烈な顎による一撃を受けてhpが半減するも、しかし所詮はただのスケルトンで難なく討ち倒される。

因みに実は本来の遭遇では分裂型スケルトンを予定しており、倒して安心したところを大型スケルトンによる奇襲を掛ける予定だったのだが、残念ながら時間切れにより断念した…今考えてみると、これでアリシアに強烈な一撃を与えておけば楽しかったかも知れない(勿論頭からバクリと)。
此処で上層部の調査が完了した為、書庫の大穴より下層へと向かう。


・衝撃の真実
 下層は別の建造物らしく、さながら生物に飲み込まれたかのような壁と目の前には牙の立ち並ぶアーチがあり、黒く厚い幕により遮られている。
中央に箱があり、ジークがこれを確かめようとして剣で叩いたところ中に潜んでいたアーミィアント・スウォーム(「アリだぁーっ!」がやりたかったのでGMとしては満足)が溢れ出した上に電撃の弧の罠が作動、更にはストーン・オヴ・アラームが作動して一行の到達を敵に知らせることとなる。
スウォームに群がられ、ファイターバーバリアンマルチにもかかわらずここでジークがまさかのセーブを落とすという事態が発生し危機に陥ったが、オニキスがリムーヴ・シックネスで助け(余談だが、リムーヴ・シックネスやフェザー・ステップ辺りの呪文にはデザイナーがこの辺りの効果をどう考えているのかが透けて見える)、アリシアがガスト・オヴ・ウィンドで吹き飛ばすも、幕の先よりファイアーボールが飛来してジークに追い討ちを掛ける。


・”暗黒の帳”の歪み
焼け落ちた幕の先は部屋の内部に出鱈目な配置で埋め込まれた緑色の瞳のような丸石により病的な色で照らされ、壁は生物の胃を思い出させるような異様な様式に変容していた。

 部屋の中央には黴に覆われた身体を持つデーモン、ファンガル・デーモン(ナバッスゥの読み替え版)とその犠牲者になった警備員のグール、更に最奥には脳味噌入りのミスラル製の容器が接続されたアビシウム製(強力なパワーソースになるが、長く触れていると身体に被害が出るというスカイメタルの一種)のポータルがあり、その内側には夜空の瞬きが現れつつあった。
ポータルの前には触手のような腕に漆黒の目という異形の特徴を発現し、ポータルと繋がる植物のような触手を背中から生やした(原文には両肩と後頭部、そして尻と書かれていた…触手モノかよ)イムリザードがその容姿に似付かわしくないしわがれた声と時代錯誤な口調で傍らにいるミ=ゴと応答していた。

 敵に先手を取られてしまったこともありイムリザードは透明化、更にはミ=ゴの持つ電撃投射機(20ft爆発+反応セーヴ失敗でよろめき状態に)に苦しめられる。
しかしここでレギオスが突撃で突破口を開き、ミ=ゴへの一撃で大規模ダメージを引き起こして撃破、その後も囲まれながらも高いセーヴでグールの麻痺、デーモンの奪死の凝視を防ぎ切り、何度か死に掛けるがヒーローズ・ディファイアンスによりギリギリの所で踏み止まり、クリティカルでデーモンも一刀両断する。
この後、魔導師の弾丸によりダンシングを付けたマスケット銃で魔弾の舞踏を始めようとするも、イムリザードの巻物からのブラック・テンタクルズに前に出ていたレギオスとロールを通したアメリア以外が捕らわれ、更にファイアーボールで窮地に陥り「やめて(以下略」の声が上がるも、その次のラウンドには判定で1を振って全員解放となる…どうも私がこの呪文を使うとこうなるらしい。
そして、背後の脳こそが真の敵であると看破したことによりレギオスが触手を両断して操られていたイムリザードを解放、ジークの一撃により脳だけとなり未だ生き続けていた太古の異形のソーサラークブルーム=イスメダガン(Kubburum=Ishmedagan)は永らく誤魔化し続けていた己の運命を精算すべく、ファラズマの手で骨の庭へと引きずられて行き、ポータルも崩れ落ち消滅した。

後には正義への怒りで脳缶を破壊し破棄したレギオスと、ちゃっかりとイムリザードの懐から「アークトゥムの謎(The Aucturn Enigma)」と書かれたパピルスの巻物を回収するオニキスの姿があった。

 因みに裏でお互いの派閥当てクイズをやっていたのだが、アリシアが全員正解かつ自身の派閥指令書もこなし、この辺りは流石経験者といったところであった(一応全員に理解り易いように色々とヒントを出しつつだったのだが、この辺りは他に注意を向ける余裕の問題もあったか)。


 今回は珍しく制限時間いっぱいまでセッションをしたので楽しかったが、やはりそれでも結局終わったら疲労困憊して家で潰れているので、前日に余裕があっても体力100スタートで0になって終わるのか、50スタートで-50に突っ込んで翌日から暫くひどいことになるのかぐらいの差であまり変わりない気もするが(ただ、余裕があったので準備関係をかなり充実させることは出来たが)…子供か。

2 件のコメント:

  1. お疲れさまでした~。

    ネタばれ注意とありましたが、大丈夫!
    ここまで敵を改変したなら、まったくネタばれにはなりませんw
    知らない人が読んだら、おそらく「え?このシナリオってそんなにキツイの?」となると思います(^^;
    まぁああいうシナリオなので、あっち関係の敵を色々出したくなる気持ちは分かりますけどねw
    何にせよ、お疲れ様でした。

    いつか1~3レベルくらいの、初心者用まったりシナリオのレビューも期待してます♪

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    1. いらっしゃいませ。
      遭遇は実質Tire8相当でやっているので結構厳しいのと、相変わらずの魔改造っぷりですがこの辺は大体毎回こんな感じなので。一応ストーリーラインと仕掛けはほぼそのままやっていますが。
      こんな感じですが、毎回初心者は居る状態で回してそこそこ好評を貰っているのと、低レベルはダレが出やすいのでマスターとしてはこの辺りが一番扱いやすいと感じています。
      それと、基本的にハロウ・ポイントも含めたデザインで(理由はいずれ)回しているので、大体こんな感じになるのではないかと。

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