2013年03月の竜舞亭セッションの話。：Carrion Crown＃6-4

　とうとう迎えたCarrion Crown最終回。ウースタラヴを舞台に”囁ける大帝”タル＝バフォンの復活を目論むアンデッド教団”囁きの道”を追った旅も物語の最後に相応しく、かつてタル＝バフォン軍の拠点であった廃都アドラックの中央に聳える尖塔ガロウスパイアが今回の舞台となる（丁度Dungeoneer's Handbookも出たところだが）。
　今回は残念ながら１人欠席となってしまったが、それでも無事今回のセッションと15回の長きに渡るキャンペーンをを終える事が出来たことを感謝したい。

プレイヤー	名前	種族	クラス
雅士	メノウ・サカキバラ(榊原瑪瑙)	人間	パラディン／ファイター（武器の達人）
ミラクルサムライ瑪瑙ちゃん。とうとうＧＭにとっての脅威となるパラディンレベルが11に。
ろうなむ	グレイ＝ジェド＝アンスルーン	Augmented Human	メイガス(黒剣/剣聖)
《デルヴィッシュの舞踏》を捨て、ついでに人間であることも捨てた変態メイガス。なんだかんだで主人公だった。
Makkou	ルーティア＝Ｒ＝マイヤー	ハーフエルフ	レンジャー(都市)/ファイター(武器の達人)
スレイング・アローとネームド・ブリットを手に敵を葬る砲撃メイド。でも暴風だけは勘弁な！
Waiz	クララ＝ド＝ヴァンハルト	人間	クレリック/パスファインダー・サーヴァント
高笑いと共に太陽の威光を示すヴァリシアの核弾頭その１。但し重量過多が弱点。
ひろくん	ホロ	ハーフエルフ	ドルイド(狼)／モンク
残念ながら最終回にして欠席となってしまった狼使いのドルイド。サン・ビームを放つ姿は格好良かったのだが…
2xxP	シェオゴラス＝サシェリウム	爬虫人	ウィザード(力術-混合/巻物使い)/サイファーメイジ/ロアマスター
相変わらずパーティー１のｈｐを誇っていた蜥蜴人の秘術使いにして核弾頭その２。そして時は動き出す。

今回もセッション前日が12時間出勤日だったが、準備そのものは何の支障もなく、また幾つかの重要でないフィギュアや極大フィギュアをペーパーフィギュアに切り替えて荷物のダウンサイジングも完了。プレイヤー側のモチベーションの高さは直結してＧＭ側にも跳ね返ってくるので本当に重要である。

　尚、以下はPathfinder Adventure Path #48『Shadows Of Gallowspire』終盤に関するネタバレを含みます。また、シナリオは随所変更されています。

前回儀式完遂の寸前でガルダナ伯を救出したことにより、”囁ける大帝”タル＝バフォンの復活はひとまず阻止することが出来た。しかし儀式の首謀者であるアドヴィオン＝アドリスタントは既に”腐肉の冠”の秘薬を手にガロウスパイアへと向かった為、一行はこれを追って廃都アドラックへと向かう。
そしてアドラックを根城とするレッドドラゴン・ラヴナー”マロウガス”を撃退し、一行はとうとう全ての元凶であり、今も尚ウースタラヴを蝕む災厄の中心であるガロウスパイアの扉に手をかけた。
　因みに外周を飛んで頂上に行けないか？　という質問があったが、毎ラウンド負のレベル２、暴風レベルの風に加えて20%の確率で落ちる10d6ポイントの負のエネルギーの雷、更に毎ラウンドドレッド・レイスやその他非実体クリーチャーに囲まれると説明したところ大人しく扉を開けて内部を進もうという話になった。

　重厚なアダマンティンに骨の装飾が施され、強力な魔力で保護されたたガロウスパイアの扉だったが、何らかの負のエネルギーを与える事で作動させることが出来ると判明。しかし誰もそのような手段を持っておらず「じゃ、叩き壊すしかない」と瑪瑙がアダマンティン製ナギナタを構えたところで、ルーティアがハロウ・カードを使用しての負のエネルギー接触を思いつき扉の作動と侵入に成功する。


１．ガロウスパイア塔基部

基部は一辺200フィートの広さがあり、中央に聳える黒い柱の周囲には骨で出来た階段が螺旋を描いている（因みにアンデッド操作呪文により作動して自動的に運び上げてくれる…エスカレーター？）。

　内部は既に激しい戦闘が繰り広げられた後らしく、砕け散った床と武器や鎧が散らばり、鉤爪の生えた壁面には多数の死体に加えて６体のエンジェルの新鮮な死体が磔にされ、床面を血で濡らしていた

そして一行が踏み込んだところで門の上に隠れていたクリプト・シングのモンク”鉄門の守護者（実際はディヴァウラーだったが変更）”が降り立ち、一行を四散させるべくテレポートの爆発を使用するもこれは残念ながらホロの相棒を除く全員に防がれる、が高速化ディメンジョン・ドアで一行の背後に回り込まれる。更に次いでタル＝バフォンの夢が実体化したアニメイテッド・ドリーム”囁ける大帝の夢”が床や壁から出現し、クララに一斉に襲い掛かり危うく死に掛ける（１回は瑪瑙が肩代わりし、もう１回は《神聖なる干渉》でチャイした。判断力を吸収する”悪夢の呪い”は全てセーヴに成功される…畜生め）。その時瑪瑙はパラディンズ・サクリファイスによる自動失敗でグレイと結婚式を挙げるという悪夢を見ていた。

加えて、何故かガロウスパイアに住み着いている（一応ちゃんとした理由は説明されているが多分デザイナーの趣味）レンの蜘蛛が一行の頭上より襲い掛かり、まずは厄介なパラディンを無力化しようと瑪瑙に蜘蛛の糸を吹きかけるも、次のラウンドには脱出される。

　そして一行の手番となり、反撃に転じる。”囁ける大帝の夢”はシェオゴラスがハロウストーン刑務所所長バッジを使用しての《呪文越境化》ファイアー・ボール２連発とルーティアにより一掃、”鉄門の守護者”はルーティアと瑪瑙により蹴散らされ、レンの蜘蛛は瑪瑙による反撃を受けて一刀両断される。


２．ガロウスパイア塔中層

中層は吹き晒しの階段が塔の外周を走り、４つの火鉢が暴風雨の中青い焔を上げて燃え盛っていた。いかにも厄介な雰囲気を感じたのか星のハロウ・カードによる説明を求められたのでアンホーリィ・グレーター・ファイア・エレメンタル４体とテラー・グレーター・ライトニング・エレメンタル２体、加えて毎ラウンド湧くドレッドレイスとガロウスパイアの嵐のまっただ中が待っていると言うと「んなもん死ぬわ」と返されてアーケン・アイで螺旋階段の先を覗いてディメンジョン・ドアで上の階層へと飛ぶことに…実のところＧＭとしてもこの遭遇は時間が掛かる割にそれほど面白くない為、積極的に飛ばす事を推奨したというのもあるのだが。

　この後、午後を考えて若干早めに中断となったが、丁度隣の卓とタイミングが合った為にいつもの居酒屋で半ば宴会のような昼食となった。その中で大府勤労会館の話となったが、会議室を借りずに最初からチェックインし、宿泊施設の方で遊ぶというのもなかなか面白いアイデアだった。


３．ガロウスパイア塔最上部

塔の最上部には全身に天使の返り血を浴びたナイトウォーカー”セイ’ロック将軍(General Sey’lok)”とナイトウィング、そして取り巻きのグレーターシャドウ達が待ち構えており、更に壁がなく嵐が吹き荒れる塔の上層からは人のものとは思えない絶叫が響き渡っていた。

グレーターシャドウはクララとシェオゴラスによるサンバーストの滅びの光で吹き飛ばされたものの、アンティ･パラディンである将軍がルーティアの全力射撃をものともせず近寄り、オーラの範囲内に捉えたところで高速化フィアーからグレイへ指輪への武器破壊を試みるも、これは瑪瑙が割り込みパラディンズ・サクリファイスで肩代わりし、リング・オブ・プロテクションを破壊される。
そして直後に反撃のグレイによる一撃がクリティカル・ヒットとなり、セイ’ロック将軍は真っ二つにされた。

　ナイトウィングもディーパー・ダークネスを使用して一行の視界を遮るも、クララによる後光で解呪され瑪瑙による機会攻撃がクリティカル・ヒットで叩き込まれてこちらも真っ二つに。

そして、キャノン・ゴーレムによる上方からの砲撃（キャノン・ゴーレムの大砲は攻城兵器なので風の影響を受けても射撃が出来る）に対処すべくグレイが塔の頂上へと飛ぶ。


４．ガロウスパイア塔頂上の決戦

頂上中央の床にはミスラル製の巨大な扉があり（今回は開かれることはなかったが、実は塔部分はガロウスパイアの入り口に過ぎず、この扉を開けて地下へと行き、”偉大なる封印（Great Seal）”を超えてやっと本番である。プレイヤーからは「”夜牙塔”じゃねぇか」と言われたが。）、その前には今昇っている筈のガロウスパイア塔があり、骨の腕が突き立つ不毛の荒野の幻影の中で倒れ伏し絶叫を上げながら滅びつつあるアドヴィオン＝アドリスタントの姿があった。

一行に追い詰められた彼は最後の手段として僅かな可能性に賭けて自ら”屍肉の冠の秘薬”を呷ったものの、”囁ける大帝”の血統の１滴すらその身体に持たず、経箱も無い状態では儀式が完成する筈もなく不完全なリッチであるフォーセークンリッチとなり、その身を暴走する死霊術のエネルギーで灼かれながら滅びを迎えつつあった。しかし、絶叫の中”囁ける大帝”タル＝バフォンに助命を求めた彼へと一条の雷が落ち、彼の身体を貫く。するとその手にはタル＝バフォンの象徴といえる大兜”ナラガの双角”が収まっていた。

　この辺りは実は最初”屍肉の冠(Carrion Crown)”の名を聞いた時に真っ先に思いついたネタだったりする。アーティファクトはいつの間にか手に収まっていたり、消えたりすると解説にもあるので。描写はガイキング・ザ・グレート辺りのノリで１つ（存在的にはどう考えても超魔竜ドボルザークだが）。

　ナラガの双角を被り、ガロウスパイアの持つ膨大なエネルギー（高速治癒20）によって滅びを退けるに至ったアドヴィオンは、ようやく対峙するに至ったグレイに向けて暴走するエネルギーを光線として放つ。血統の持つ力、高貴なる血統の持ち主の義務を叫ぶアドヴィオンだったが、既に名前を知られていたことが災いし、シェオゴラスが建てたウォールオブストーンによって暴風が遮られた後、ルーティアのネームド・ブリットによって呆気なく倒される。

　しかし、暴走した死霊術の力と”屍肉の冠”秘薬が高笑いを叫ぶアドヴィオンの身体を膨れ上がらせ、更なる災厄を招く。身体は何十もの屍肉の集合体となり超巨大サイズまで膨れ上がり、到る処から囁く声を発する”ファロウズの悪夢（カーネル・コロッサス）”として顕現し、更にタル＝バフォンの先触れとなるゴーストリィ・ネクロマンサー”囁ける伝令”がエンシェント・ブラックドラゴンシャドウ”ナラガの影”に乗り出現する。この辺りはもう何というかＧＭのやりたい放題である…矢張り最後の強敵は不定形に限る（クリティカル効かないし）。

”囁ける伝令”による開幕メイジズ・ディスジャンクションで呪文を剥ぎ取られ（ついでにキャノン・ゴーレムも活動を停止したが）、次いで”ファロウズの悪夢”から放たれた古代の声（周囲にホールド･モンスターの効果に加えて１％の確率で知力が恒久的に＋２される…どう考えても宜しくない知識だが）、そしてブラスフェミィを受け、特にクララは声をまともに受けた上にアント・ホールを失い重量過多で移動不可能となり、更には、塔の外壁に掛かっていた死体がガロウ・デッドとなり動き出して迫り大ピンチに陥る。

だが、シェオゴラスがタイムストップからヘイスト、リミテッド･ウィッシュからのサークルアゲンストイーヴルをかけて体勢を立て直し、酸のブレスを放ってきた”ナラガの影”をメイズで消し飛ばし、また螺旋階段の下より迫るガロウ・デッドをウォール・オブ・フォースで遮る。

　その間に瑪瑙がグレイ、ルーティアに対してパラディンの切り札である正義のオーラを使い反撃を開始、甚大なダメージを叩き出すも更に追加されたネムハイン２体による遠隔ハームとガロウスパイアの高速治癒含めて１ラウンドに320ポイントものｈｐを回復させられ、膠着状態に陥る。
”ファロウズの悪夢”の叩きつけは近接ダメージこそ低いものの、攻撃回数が多くまた掴みからの【判断力】吸収の能力というこのパーティーにとっては即危機に陥る能力を持っており、グレイは指輪により、瑪瑙は高いＡＣ（とＧＭの出目）によって何とか１ラウンドを凌いだが、戦闘が長引くことは即死に繋がりかねない為、ここでルーティアが対象を切り替えグレーター・スレイングアローを使いネムハインを一掃、次いで瑪瑙の連撃から、グレイの全力全開の攻撃による最後の一撃によって、とうとう”ファロウズの悪夢”は滅び去った。

そして後には溶けて階下へと流れて行く屍肉の塊と、干からび骨と皮を残すのみとなったアドヴィオン＝アドリスタントの骸が残され、それもやがて珍しい事に嵐が止み空から差し込む陽光に晒され塵となり、風に吹かれて消えていった。

　一行の活躍によりアドヴィオン＝アドリスタントが試みた”屍肉の冠”の儀式は阻止され、ラヴェングロより始まった文字通りの意味でウースタラヴ全土を巡る一行と”囁きの道”の邪悪なる計画を巡る旅は今ここに結末を迎えた。この後、ケンドラ＝ロロミール嬢によりこの話を元とした物語が綴られ、ウースタラヴ全土で広く知られるようになったり、新造されたカリファスの劇場にて演じられ好評を博すことになるのはまた別の話である。

　最終戦闘は３時間もの長丁場となったが、様々試みたこともあり充実した最終回となった。ＧＭとしては１人ぐらい殺したかったが全員生還出来たというのもまたプレイヤー側の努力による結果だろう。
一行による冒険はここで一度結末を迎えるのだが、次回より３回程、一部キャラクターをそのままでMoonscarを開始するのでもう少しだけ付き合って貰うこととなるだろう。

何はともあれ、まずは毎回の無茶に付き合ってくれる卓のプレイヤー諸氏に感謝したい。